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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
04-Feb-2013

アプリケーション・ノート#9
ポリマー:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)を使ったポリマーの溶媒探索法:ある高分子があったときに、それを溶解する溶媒を探索したいという要望は多いと思います。ハンセンのSP値を使った、溶媒、混合溶媒の探索方法を紹介します。ポリマー同士の溶解性や相溶化剤の設計にも溶解度パラメータの考え方は重要です。一つ一つは貧溶媒でも、混合溶媒になると良溶媒になる場合があります。この現象を理解しようとするなら、HSPを使わなくてはダメでしょう。


2009.9.9

HSPiP Team Senior Developer, 横浜国大非常勤講師 山本博志

 

詳しい内容は
化学工業社、化学工業2010年4月号をご覧ください。 ここには抜粋のみを置きます。

Sphere(球)というのは、ある溶質を溶解する溶媒は、ハンセンの溶解度パラメータが似ていて、それを3次元空間(ハンセン空間)にプロットすると似た位置に球を構成するという、ハンセン先生が考えた理論です。

その際(1967年)には上のような装置を組み、溶媒のHSP(ハンセンの溶解度パラメータ)の位置に溶媒名を書いたタグを付けて、溶解したものとしなかったものを色分けして、検討したそうです。

 

ポリマーの溶媒探索

 ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を用いた高分子の溶媒を探索する方法を簡単に紹介します。通常のSP値(ヒルデブランドの溶解度パラメーター)を用いて溶媒探索をした場合にはその的中率は50%ちょっととされています。どうしてそのように低い値になるのかはHSPを使う10の理由で詳しく述べていますが、HildebrandのSP値は蒸発潜熱が近いものは同じような値になってしまうからです。
それに対してHansen Solubility Parameter(HSP)はSP値を分散(dD)、極性(dP)、水素結合(dH)の3つに分解し、3次元のベクトルとして捉えます。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

そして、そのベクトルが似たものがお互いを溶かすという理論で、的中率は非常に向上します。さらにHansenの方法は相互作用半径(R0)というものを導入して、さらに的中率を向上させる仕組みを持っています。 これはポリマーを扱った事のある人なら感覚的によくわかる事だと思いますが、ポリマーには色々な溶媒に溶解しやすいポリマーと、フッ素系高分子のように溶ける溶媒がほとんどないポリマーがあります。つまり、溶媒のベクトルがポリマーのベクトルと多少離れていても溶かしたり、ほとんど一致していても膨潤ぐらいしかしないもの、その中間に分かれます。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

そこでHSPではポリマーごとに相互作用半径(R0)を定め、その半径に入れば溶解する、半径の外なら溶解しないと決めます。そこで、溶媒とポリマーのHSP距離を計算し、それが相互作用半径よりも小さければ溶解する確率が非常に高くなります。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧でしたら、上にキャンバスが現れるでしょう。これはPMMAを溶かす溶媒(赤い小さな球)と溶かさない溶媒(青い小さな球)をハンセン空間にプロットしたものです。幾つかの例外もありますが、赤い溶媒は3次元的に似たような位置を占めていて、それらを取り囲むSphere(球:緑色の大きな球)があると理解します。そこでPMMAを溶解する溶媒を探索したいのであれば、溶媒のHSPがこの緑の球の内側に来るようなものを選べばいいことがわかります。

中略

次に、各溶媒のハンセンの溶解度パラメータを入手します。HSPiPというオフィシャルのソフトウエアーを購入すれば最新のHSPのデータベースも含まれていますし、データベースに記載の無い化合物については推算値を得ることができます。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

そしてHSPの値が得られたら、次の表のようにまとめます。ここでScoreは1が溶解するもの、0が溶解しないものです。この表の化合物の名称から先をタブ区切りのテキストファイルでセーブ(拡張子をssdにする)すれば、それをHSPiPで読む込む事ができます。その後はソフトウエアーがポリ塩化ビニルのHSPは[18.8, 9.2, 6.3]で相互作用半径は7.3であるとたちどころに計算してくれます。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

中略

 

2011.4.22

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

こうしたSphereが2つあると仮定して探索する新しいアルゴリズムも付け加えられました。もしChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れます。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

また、溶媒は混合溶媒でも同じように取り扱われます。ひとつひとつが貧溶媒でも上の例のように、HSPの混合ベクトルが球の内側に来ればその溶媒に溶解します。


ここではHSPiPをまだお持ちでないと仮定して、簡略的にポリマーのHSPを求めてみます。つまり、溶解する溶媒のHSPの平均値をポリマーのHSPと考えてみます。
平均値は[17.7, 7.9, 5.5]になります。
次に,ポリ塩化ビニルのHSPが [17.7, 7.9, 5.5]だとした場合に、各溶媒からのHSP距離を求めます。ベクトルの距離なので差の2乗和のルートを取れば良いのですが、HSP距離と言った時にはdDの前に4.0という係数がつきます。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5


それをプロットして見るといくつかの例外はありますが,HSP距離が5.4±0.5の領域では溶けるか溶けないか微妙になる。それ以下だと溶解する。それ以上だと溶解しない。そう考えた時に的中率は約80%になります。外れるものは,DMF,DMSO,Dioxane, Toluene, Vinyl Chlorideの5つです。HSP距離が短いのに溶けない理由としては,例えば分子のサイズが大きくポリマーの中まで浸透しない,溶解する方向ではあるが溶解するのに非常に長い時間を要する,特に室温でガス上の化合物など,液密度が低いなどが考えられます。逆にHSP距離が長いのに溶解する溶媒は解釈が難しいです。例えばポリマー中に数%水酸基が入っただけで(ポリマー全体としてのHSPはあまり変わらないのですが)溶解度が大きく変わる事(そのような系の解析方法はこちらを参照)はよくあります。またHSPの現バージョンでは未考慮ですが,ドナーーアクセプターの考え方(こちらの記事を参照)が必要な場合,ポリマーの分子量,分子量分布の効果,開始剤,添加剤の効果など様々な要因でいくつかの例外が出てきてしまいます。

中略

HSPiPには”Solvent Optimizer”が搭載されており,こうした(混合)溶媒の探索がたちどころにできます。

混合溶媒のHSP

[dDm, dPm, dHm]=[(a*dD1+b*dD2), (a*dP1+b*dP2),(a*dH1+b*dH2)]/(a+b)

混合比率は体積で計算する。

Pirikaの混合溶媒を設計するJAVAアプレット・デモ、GSDはこちら。
dHをdHdo,dHacに分割した混合溶媒の探索は最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい

こうした混合溶媒を取り扱える溶解度理論はHSPだけではないでしょうか。

ポリマーのIPNを設計したい場合などは、ポリマー同士の球がどのくらい重なり合っているかを調べる必要がある。ポリマーの相互作用半径が重なるものはポリマー同士も相互溶解しやすい。相溶化剤を設計したいなら片方の球に溶解する部分ともうひとつの球に溶解する部分とをひとつの分子に持たせる必要がある。

エポキシ系やウレタン系の接着剤などを検討する場合には注意が必要である。エポキシ基やウレタン基はどちらかというと極性が高く、それ以外の部分は極性の低いポリオールであることが多い。そのようなミクロ相分離構造をとるポリマーの場合、オーバーオールのHSPを考えても溶解性は理解出来ないことがある。V.3.1.xに搭載のDouble Spheresの機能を使うと、両方の部分構造に相当する球が見つかる。相溶化剤やオリゴマーなどにも適用することをおすすめする。

2011.6.11
分子を描くと電荷を計算するプログラムを作ってみた。 これは横浜国大での講義用のプログラムだ。水素結合をするような化合物は計算から外れることがある。YNUの学生はこんな計算にもトライしてみて欲しい。


2010.12.2 追記

化学工業の連載第2回でポリマーの溶媒探索に関してPMMAの解析の失敗例を説明した。
これは溶媒の多様性が足りなく、限られた溶媒だけでHSPを決めると正しい答えにならないよ、というものだ。今回、データを継ぎ足して、新しくPMMAのHSPを決め直してみた。
求まったHSPは[17.7, 6.7, 6.2]で相互作用半径は8.96になった。
使った溶媒は57種類。溶解しないとされる溶媒で、緑色の球の中に入ってしまった例外が4点あるが、
53/57=93%の確率で溶解する、しないを判定できるという結果になった。

 

Ver.3.1.xのDouble Spheresの機能を使うと、
[16.7, 9.7, 8.4] 半径7.24 の球と
[18.4, 3.2, 2.9] 半径4.22の球があり、例外となる溶媒は2つある事が解る。

2011.4.22

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、このSphereを見ることができる。

 

これは、これできれいな結果ではあるが、今回強調したいのは、ポリマーハンドブックによるとPMMAはエタノール/水の混合溶媒に溶解するという記載がある点だ。

PMMAは透明性の高い樹脂で、水族館の水槽などにも使われている。これがエタノール/水の混合溶媒に溶けるという現象をHSPを使ってさらに解析してみる。

water
EtOH
dDm
dPm
dHm
Ra
HildebrandSP
100.0
0.0
18.1
17.1
16.9
14.939
30.1
90.0
10.0
17.9
16.3
17.2
14.543
29.7
80.0
20.0
17.6
15.4
17.4
14.202
29.4
70.0
30.0
17.4
14.6
17.7
13.925
29.0
60.0
40.0
17.2
13.8
17.9
13.710
28.7
50.0
50.0
17.0
13.0
18.2
13.565
28.3
40.0
60.0
16.7
12.1
18.4
13.489
28.0
30.0
70.0
16.5
11.3
18.7
13.484
27.6
20.0
80.0
16.3
10.5
18.9
13.550
27.2
10.0
90.0
16.0
9.6
19.2
13.687
26.9
0.0
100.0
15.8
8.8
19.4
13.891
26.5
       
dD
dP
dH
Hildebrand
EtOH
15.8
8.8
19.4
26.5
Water
18.1
17.1
16.9
30.1
PMMA
17.7
6.7
6.2

水とエタノールの混合比率を変えながら、混合溶媒のHSP、[dDm, dPm, dHm]を上の表のように準備する。
そして、今回求めたPMMAのHSPを用いて溶媒からの距離(Ra)を計算する。

グラフに示すように、HSP距離はEtOHの分率が70%位の所で最小になる。
それでもHSP距離は13以上で、相互作用半径(8.96)よりも長いので常温では溶解しないと考えられる。

温度を変えたHSPで検討すると、エタノールの比率は50%で最小になり、HSP距離はさらに短くなる。温度の効果についてはさらに検証が必要と思われる。


また、アルコール/水は混合した時に発熱する。そのような系では当然、混合HSPは単純な足し算では合わない。そうした検証が必要ではあるが、通常では思いもしない混合溶媒でダメージを受けてしまう現象に対してHSPは有効である。ニトリル・ブタジエン・ゴム(NBR)がガソリンとエタノールで膨潤してしまうことも同様に理解できる。

当たり前の事ではあるが、HildebrandのSP値では何も解らない。

2012.5.7

ユーザーからの質問で多いのが、溶ける溶媒が殆ど無い場合どうやってポリマーのHSPを求めるか?というものだ。例えばフッ素ポリマーのHSPはフィルムを作り、溶媒に1週間浸漬しテンシロンを測定し、引張強度の低下率でScoreを決めHSPを決定したというような例がある。エポキシ樹脂など(こちらの記事を参照)では、膨潤度などから求める。ポリマーを細かく粉砕してガスクロのカラムに詰めてインバース・ガスクロを測定(Acta Chromatographica 20(2008)1, 1–14)している例もある。エンジニアリング・プラスティックの耐ストレスクラッキングを測定した例から求めるのもひとつの方法だ。

ポリマー同士の混合がどうなのかはこんな調べ方をします。HSP距離も大事ですが、ポリマー同士のSphereどのくらい重なっているかも大事になります。(計算する機能はHSPiPにも搭載されています)HTML5のプログラムも作ってみました。HTML5対応のブラウザーを使っているのなら試してみてください。

 

塗料などの顔料分散について検討したいなら、こちらの資料が役に立ちます。
ドナー/アクセプターを含めた顔料分散

2012.5.31

ある海外のユーザーからポリマーをYMBを使って計算するときに困ったことが起きると相談を受けた。彼らの直接のターゲットは明かせないが、ポリビニルアルコールで説明しよう。下のようなポリマーのHSPをYMBを使って計算しようとすると困ったことになる。

まず、ポリビニルアルコールの1-10量体のSmilesを準備する。(ポリマーSmilesはこちらを参照)それをYMBで計算すると、dH項がどんどん大きくなってしまう。それはアルコールの数がどんどん多くなって砂糖のようになるので、YMB的には正しい。ところがポリマーとしてみた場合に、重合度nのときとn+1でHSPは変わってほしくない。さもないと上のようにOHを修飾した場合、修飾基の効果(数、種類)なのか、OHが減った効果なのかわからなくなってしまうからだ。これは原子団の加算値と体積の加算値がずれている事に起因する。(何度も言うが低分子を扱うYMB的には正しい)他にも同様の問い合わせがあったので、評価用のプログラムを怖いもの見たさのプログラムのページに載せました。評価が固まったらHSPiPに搭載されるかもしれませんのでお楽しみに。

2012.6.15

ポリマーSmilesにXが複数あってもいいのかという問い合わせを頂いた。計算値自体は問題ないが、多量体(X-mer)を作る際には問題になる。官能基がXをまたがないように作るのがポイントだ。

 

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