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高分子化学トップページ > ラジカル重合の化学

2013.5.21

高分子化学 : ラジカル重合の化学

化学工学を目指す学生の為の分子軌道法入門、ラジカル重合を例に

高分子の中で一番大事なのは、ラジカル重合性の高分子であろう。分子中に2重結合を持ったモノマーを、有機過酸化物やアゾビス系の開始剤を用いて重合を行う。重合の形態としても、バルク重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合など多くのバリエーションがある。日本の素材産業の根幹を支えているといっても過言ではないだろう。

自分は、若かりし頃、 パソコンによる高分子科学演習、片山将道、日刊工業新聞社, 1986 ラジカル重合論、井本稔、東京化学同人 (1987/07)

を使って高分子化学を計算で取り扱うことを学び、さらに分子軌道を使ってその理解を深める事を学んだ。当然20年以上前の本なので絶版だ。井本先生の本はそれでも時々古本屋で見かけるが、”パソコン”が死語になっているように片山先生の本はまったく見かけることも無い。

分子軌道法に関しては、 分子軌道法、電子計算機によるその応用、菊池修、講談社、1985第6刷 にあるプログラムを利用した。本の中では、フォートランのソースをパンチカードでプログラミングする方法が解説されている。それを当時利用可能になったPC-9801のMS-FORTRANに移植して動かした。CNDO/2やMINDO/2を移植して走らせた。このうちCNDO/2については、C, C++, JAVA, JavaScriptへ移植を繰り返し、今でもPirikaのHPでは計算に多用している。ただし、今回学生に実際に計算してもらうのはMOPACを用いる。その計算環境の構築はこちらを参照。HPでインターラクティブに理解する上では、このCNDO/2を使う。

コンピュータの速度が当時と比べて1万倍早くなったか、100万倍早くなったかは知らないが、中身の”化学”は廃れていない。こうしたものに代わる新しい書籍が出版されないのは非常に残念だし、アカデミアの発奮を期待したい。

井本先生の本に迫れるかと言えば難しいだろうが、その雰囲気だけでも味わって欲しい。特にインターラクティブな内容については、計算機の処理能力が上がったお陰で圧倒的に有利になっている。このプログラムはHTML5という技術を使って作成されている。この先のページはChrome、FireFoxなどのHTML5に準拠したブラウザーを使って読んで欲しい。(インターネット・エクスプローラーIEはサポートしていないので注意)

学生は、ラジカル重合の基礎を押さえ、効率的な開発が行えるように勉強しておこう。(このページは化学工学を専攻している学生の為のページで、量子化学を専攻している学生の為のページでは無い。量子化学的に不適切な説明があってもご容赦頂きたい。)

1.ラジカル重合の開始反応

Wikipediaにはラジカル重合の開始剤となるフリーラジカルを発生させるための反応には次の3つがあると記載されている。

  1. 過酸化ベンゾイル (BPO) 、過硫酸カリウムのような有機および無機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) のようなアゾ化合物を光もしくは加熱により分解し、2個のラジカルを生じさせる方法(下式を参照)。 RO-OR → 2 RO• R2(NC)C-N=N-C(CN)R2 → 2 R2(NC)C• + N2

  2. 光の作用により、励起状態となるか他の分子と反応するかしてラジカルを発生するような、光感受性分子を用いる方法。

  3. 一電子移動型の酸化還元反応(red-ox、レドックス反応)を用いる方法。このやり方では多くの場合レドックス開始剤として金属イオンを用いる。(例えば、鉄(II)イオンを過酸化水素と反応させて鉄(III)イオンとヒドロキシルラジカル (•OH) を生成させる…等。)

ここでは、1の有機過酸化物やアゾビス系の開始剤を用いた重合を取り扱おう。

この有機過酸化物は爆発事故が非常に多い危険な化学品だ。2012年の講義でも、「レゾルシン製造工場で爆発事故」を例にどうして危険なのかを説明した。また、2011年の講義では、開始剤の分解反応に対する溶媒効果を説明した。さらにじっくり見てみよう。

2.ポリマーの成長(停止)反応

ラジカル開始剤から発生したラジカルは2重結合を持ったモノマーに反応する。

3.連鎖移動反応

連鎖移動反応は、ポリマー末端のラジカルが、他のポリマー鎖、溶媒、モノマー、開始剤、その他の添加剤から水素(場合によると塩素)を引き抜く事によって起こる。

水素や塩素を引き抜かれた側は、ラジカルとなって重合が継続される。連鎖移動反応の前後でラジカルの数は変わらないが、ポリマーが分断されるので低分子量化する。

4.共重合(作成中)


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