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27-May-2017

物性化学:HTML5版、沸点、蒸気圧、臨界温度、臨界圧力

2011.5.30

非常勤講師:山本博志 講義補助資料

 

蒸気圧(じょうきあつ)とは、任意の温度に対して、その物質の気体が液体状態あるいは固体状態と平衡になるような圧のことである。(WikiPedia)その場合の特殊な点として、圧力が大気圧に等しくなる温度を標準沸点と呼ぶ。このある温度と蒸気圧の組をプロットすると、一般的には曲線が得られ、これを蒸気圧曲線と呼ぶ。その曲線をどんどん伸ばしていくと、臨界点(臨界温度(Tc)、臨界圧力(Pc))にたどり着く。

これらの、沸点、臨界点の推算技術とアントワン定数の推算技術を使って、蒸気圧曲線を得るHTML5+CSS3+JavaScriptのプログラムを作ってみた。分子の描き方はこちらを参照してください。)ほとんどのユーザーはWindowsのPCでアクセスしていると思う。Windowsの場合このシミュレータが動作するブラウザーはChrome、Safari、FireFox4.0だ。IE8以下はHTML5をサポートしていない。IE9はHTML5のサポートが完全でないので動作しない。Macの場合にはSafariを推奨する。iPadのMobile Safariでも動作する。リンクをクリックすると別画面が開く。こちらの画面で説明を読みながら操作してみて欲しい。

iPhone/ipod Touchをお使いの方はこちらのプログラムを試して頂きたい。(マウスではタッチイベントが発生しないので分子が描けない)

それでは、使い方を説明しよう。

エチレン・グリコールの分子を描き、Temp.-Pressureボタンを押す。するとプログラムは分子を原子団に分割し物性推算を行う。もし、実験値の沸点がある場合には、それを入力すると、AntoineのAのパラメータは実験値から計算される値を使う。沸点の推算値は471.68Kで、実験値の沸点は470.45Kなのでかなり良く推算できていることがわかるとおもう。

計算結果をコピーすると、以下の情報が得られる。(Macではコピーが禁止されることがある。その場合は、必要な部分を選択しておき、テキストエディターなどにドラッグ・ドロップする。)

臨界温度は720K、臨界圧力は8.2MPaなので、ちょっと誤差が大きいように見えるかもしれない。しかしこの臨界点はデータベースよって値が大きく異なる。データ集によっては臨界温度は645K臨界圧力は77Barのものもある。(沸点、臨界点の推算式は10年以上前のルーチンをそのまま使っているので精度が余り出ない。YMBシミュレータでは最新のパラメータを使っている。)アントワン・パラメータは実験値は、[7.557, 1697.7, 165.69] なので、悪くない推算値になる。

Biling Point Estimation=471.68 kelvin
=198.53 Celsius
Antoine Parameters AntA= 7.7897 AntB= 1756.04 AntC= 159.2
log(P[mmHg])=A-B/(T[Cellsius]+C)

Critical Temperature (Tc)=647.16 Kelvin
=374.01 Celsius
Critical Pressure (Pc)=77.89 Bar
=58425.7 mmHg 1Bar=0.986976785*760.0mmHg
=4.7666 log(mmHg)

Paste to Spread Sheet
temp(Celsius) Cox Temp. log(Press[mmHg])
25 160.5 -1.744
33.7 186 -1.314
42.4 209.8 -0.921
51.1 232.2 -0.561
59.8 253.2 -0.229
68.5 273 0.078
77.2 291.7 0.361
85.9 309.4 0.625
94.6 326.1 0.871
103.3 342 1.1
112 357 1.315
120.7 371.3 1.516
129.4 384.9 1.705
138.1 397.9 1.883
146.8 410.2 2.051
155.5 422 2.21
164.2 433.2 2.36
172.9 444 2.502
181.6 454.3 2.637
190.3 464.1 2.765
198.5 473 2.881
374 604.2 4.496

そして、室温から沸点まで20等分した温度での蒸気圧の計算値が出力される。これを表計算ソフトにペーストしてグラフを描いてみる。

このように簡単に蒸気圧曲線を描くことができる。一番右の点は臨界温度での蒸気圧(臨界圧力)になる。このテーブルの2番目のカラムにはCoxの変換温度が記載されている。

これと蒸気圧をプロットすると、蒸気圧曲線は直線になる。Cox線図の詳しい説明はこちらをお読み頂きたい。

エチレングリコールは非常に強い水素結合があり、実験値も大きくずれる事がある。それにしては非常に良い推算式になっていると考えられる。こうした検討が分子構造だけからできる意味合いは大きいといえる。

この沸点と臨界定数は対応状態原理を使って他の物性を推算する際に無くてはならない物性値になる。ところが、自分が最も信頼するデータベース、Dipper801データベースの化合物を調べてみると

1319化合物のうち、実験値はこの程度しかない。また、実験値の無いものについては、臨界温度が非常に高温になり測定自体が難しい、高温での分子の熱安定性の問題からこれ以上の実験値が増えることは期待できない。そこで、臨界点の推算に関しては精度の高い方法が待ち望まれる。

臨界点の推算に関してはJOBACK法を改良したものが色々開発されているが、JOBACK法は臨界点の推算に沸点の値が必要になる。その沸点が推算値だった場合には誤差が伝播して臨界点の推算値が大きくずれる。Pirikaの推算式は沸点を使わず、原子団のみからNN法で推算してしまう。それにしても、NNに使うデータ数が少なく、学習が完全ではない。

Cox線図の説明でも触れたが、Cox線図では同族の化合物の蒸気圧直線を延長すると、Cox点という一点で交わる。臨界点はその手前にあるのだが、そこを拡大してみてみよう。

このように、臨界点はCox-Antoine線図の上にあり、分子が大きくなると温度は高い方向へ、分子が球状になると温度は低い方向へ行くことが判る。これからすると、臨界点はAntoine定数と、形状パラメータから推算することが可能であることがわかる。(この内容は、2007年、化学工学会、北海道の展望講演で紹介した。)

このような、手法は定量的構造物性相関(QSPR)というPIRIKAで多用する推算方法である。

この推算式を使って、臨界定数の値の無い、1,2プロパンジオールを推算してみた。原子団寄与法を使って推算すると青丸で囲った位置に、Antoine定数を使った推算では赤丸で囲った位置にくる。赤丸で囲った位置はCox-Antoine線の上にあり、推算値としてどちらを採用するかと考えたら、自分はこちらを採用するがいかがだろうか?

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