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05-Dec-2018

物性化学:臨界圧力(Pc)の推算

2011.6.16

非常勤講師:山本博志 講義補助資料

 

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HSPiPの購入方法

プログラムによってどんな原子団が使えるかはこちらで確認のこと

沸騰の科学についてまとめました。こちらから参照してください。臨界圧力の理解に役立つと思います。

臨界温度( Tc ), 臨界圧力 ( Pc ), 臨界体積 ( Vc ) は純物質の物性定数の中で非常に広範に用いられる物性値である。これらの臨界定数は化学工学の分野でも非常に重要だ。なぜなら多くの熱物性値は沸点と臨界定数から対応状態原理を使って推算できるからだ。そこで精度の高い臨界定数の推算は非常に重要になる。

臨界定数を推算する式はいくつか知られている。

  • Ambrose
  • Lydersen, JOBACK
  • Fedors
  • Riedel
  • Vetere
  • Klincewicz

これら全ての式で,臨界温度を推算するには標準沸点の値が必要になる。そして,Tcの推算精度は入力した沸点の値に強く依存してしまう。従って全く未知の化合物の場合,沸点を推算して,推算した沸点を使って臨界温度を推算することになり,誤差が2重になってしまう。それに対してPirikaの推算式はニューラルネットワークを使って沸点を使わずに構造から直接臨界温度を推算してしまう。

臨界温度の推算では原子団寄与率のトータルと,分子量(重原子の数)などから良好に相関がとれる。しかし,臨界温度,臨界圧力どちらの場合も,原子団ー原子団相互作用があるような分子の場合には正しい推算値を与えることができない。そこで原子団(官能基)を2種類以上持つ化合物の推算誤差は5%近くになる。Pirikaの推算式は原子団ー原子団相互作用だけでなく,水素結合の効果も取り込むので,従来の方法と比べても推算精度は高い。

臨界体積や臨界密度(分子量/臨界体積)の実験値はTcやPcほどは無い。いくつかのデータ集では実験値ではなく推算値の値を収録している。この物性値は構造にそんなに敏感ではない。しかし,この値を用いて液体密度の推算を行おうとした場合には,実験値なのか推算値なのかは大事だ。Pirikaのニューラルネットワーク法は,分子軌道計算で最適化した分子構造の分子体積から補正係数を導き出すやり方を使っている。

推算式

Joback法(Wiki Pedia)の臨界圧力の推算式は次のようになる。

Pc = (0.113 + 0.0032nA- ΣΔPc)-2       nA: # Atoms

加算因子(Pcは真中のもの)

これを評価してみると次のような結果になった。

臨界温度の場合には沸点を入れることによって補正がかかるが、この場合は原子の数の補正しか入らないため、ハロゲン原子のように非常に大きい原子でちゃんとした補正が行われるかは疑問が残る。これを改良するために、沸点のところでも説明したようにハロゲンの原子団を追加して推算式を再構築してみる。

こうした操作によって推算式の精度は向上することがわかる。

しかし、臨界温度のところでも説明したように、臨界圧力の実験値はさらに少ない。従って原子団を現状の167種類使おうとすると、圧倒的にデータが足りない状況になる。

臨界温度の場合には、Tc/BPが約1.5になる事をベースに新しい推算式を構築することができた。しかし臨界圧力に関してはそのような相関は知られていない。そこで新たな関係式を探すことからはじめなくてはならない。その際には、やはり化学の知識を総動員して考える必要がある。

様々な相関を検討したところ、臨界温度の補正と同様に、沸点と分子体積が非常に重要な役割を果たしていることが解った。つまり、臨界圧力とはどういうことだろうか? それは臨界温度での圧力でしかない。物質は温度を上げれば圧力が上がる。沸点とはその圧力が大気圧に等しくなる温度のことだ。その沸点が高いということは、分子と分子が相互作用して蒸気になりにくいことを示している。相互作用を打ち消すほど熱エネルギーを多く必要とする。例えば水は分子量18と非常に小さいにも関わらず、非常に高い沸点を持っている。それは水素結合という相互作用が非常に強く、それを打ち消すのに高い温度が必要になるということだ。しかし、目立った相互作用の無い炭化水素系の化合物でも、分子が大きくなるに連れ沸点は高くなる。従って体積あたりの沸点、つまりBP/Volumeは体積以外の相互作用がどのくらい大きいのかの指標になる。それを臨界圧力に対してプロットしてみると、いままでどの物性推算法の教科書にも記載されていない上のような相関が得られる。これが各原子団入ることによって相互作用が生じていると解釈すると、新しい原子団の加算値が得られる。これが大きく外れる分子はどんな分子で何故そうなるかを考えることは非常に楽しい。どこかで紹介しよう。

臨界温度の推算のところでも述べたが、幾つかの推算式を使ってクロス・チェックをすることは非常に重要だ。3番目の推算式は臨界温度の所でも紹介した蒸気圧法だ。

蒸気圧をCox温度に対してプロットすると、蒸気圧曲線は直線になり、その延長線上に臨界点がくる。詳しい説明はこちらにまとめたので参照して頂きたい

この方法を使っても臨界圧力の推算式を構築することができる。

どの方法が、どんな化合物に強く、どんな化合物に使ってはいけないか、原理を正しく知ることが重要となる。

この物性はHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)というプログラムに搭載されている。最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい。

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