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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#10
バイオ・化粧品環境環境ホルモンと疑われる化合物のハンセン溶解度パラメータ(HSP):内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質67化合物について、HSPを計算した。またHSPと分子体積を入力に用いて、これら67種類の化合物を自己組織化分類を行った。大まかには6種類の分類になった。また新しいHSPiPを用いて、これらの化合物の環境影響関連の物性値を計算し実験値と比較検証を行った。

2010.2.24

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

内分泌かく乱物質、環境ホルモン

日本の(旧)環境庁が1998年「内分泌撹乱作用を有すると疑われる化学物質」を67化合物発表した。その化合物の構造からHSPを計算した。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

例えば、これらの化合物の、生物濃縮性、logBCF(bio concentration factor), logP, logS の情報は次のように求まっている。(HSPiPのデータベースに収録されている。HCodeというのはHansen Codeの略で、このコードを使いDBから検索できる。)

name HCode LogBCF logP logS
alachlor 20878 1.1206 3.52 -1.62
aldrin 20487 3.7404 6.5 -5.77
atrazine 10806 0.9 2.61 -2.46
benzophenone 7761 1.0792 3.18 -2.12
butyl benzyl phthalate 6450 1.2129 4.73 -3.57
bisphenol A 7765 1.6415 3.32 -1.82
carbaryl 20504 0.9542 2.36 -1.96
trans-, cis-chlordane 20489 4.2911 6.16 -5.25
cypermethrin 20985 2.62 6.6 -6.40
p,p' -DDT 12873 4.2923 6.91 -6.26
p,p'-DDE 20491 4.08 6.51 -5.40
di-n-butyl phthalate 5449 2.2227 4.5 -2.95
2,4-dichlorophenol 8867 1.5302 3.06 -0.55
dieldrin 20638 3.9516 5.4 -4.71
diethylhexyl phthalate 5540 2.7694 7.6 -4.57
endrin 20641 3.8739 5.2 -4.60
fenvalerate 20982 2.8463 6.2 -5.62
HCB 9058 4.331 5.73 -6.30
hexachlorocyclohexane, BHC 20741 2.57 -3.10
heptachlor 20492 3.9428 6.1 -4.74
kelthane 20683 3.7853 5.02 -4.10
malathion 16548 1.5212 2.36 -1.84
4-nitrotoluene 7576 0.9031 2.37 -1.49
octachlorostyrene 20919 3.9085
PCDDs 20524 4.9868 6.8 -7.70
PCDFs 20981 3.608 6.53 -7.16
pentachlorphenol 9142 2.6628 5.12 -2.85
nonylphenol 7767 2.1903 -3.20
simazine 20697 0.5647 2.18 -3.21
trifluralin 20527 3.3579 5.34 -4.74

logS、水への溶解度の一番大きいものでも-0.55であるので、比較的疎水性の化合物が多いようだ。logBCF(生物濃縮性)とlogP(オクタノールー水分配比率)には、おおまかな相関があるが、その範囲は広く、どういった化合物が環境ホルモンとして悪玉なのかはこうした指標からは分からない。

 

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばlogPがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPower ToolsのSmilesを参照して頂きたい。

そこで、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)をHSPiP ver.3 を使って計算してみる。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

このHSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

結果は下の表のようになる。Hansen Solubility parameterの説明は他の記事に譲るとして、このHSPの値を使ってSOM(Self Organization Map)を使って分類してみる。

SOM: Self Organization Map Neural Network 
(N次元のベクトルを2次元にマップする方法)

HSPのような多次元ベクトル(分散項、分極項、水素結合項+体積など)が溶媒の数だけあったときに、その多次元ベクトルが似ているものは似た2次元位置に配置したい。3次元までは実際の3次元位置に配置すれば、どれとどれが近いかは簡単にわかる。SOM法を使うと、自己組織化をおこし、自ずから似たベクトルが集まってくる。2次元中のある領域に集まったベクトルは、似たような性質をもつと考えられる。

PirikaのSOMを表示するJAVAアプレットのデモ、SOMDemoはこちら

ID LogBCF dD dP dH sqrt(Volume)
20878 1.1206 18.6 8.3 5.7 15.5
20487 3.7404 19.7 9.4 0.8 14.9
10806 0.9 18.4 8.6 12.8 13.4
7761 1.0792 20.4 7.5 4.6 12.8
6450 1.2129 18.5 8.2 3.9 16.7
7765 1.6415 19.0 5.9 12.1 14.5
20504 0.9542 19.6 9.6 7.6 12.9
20489 4.2911 19.4 12.7 1.4 15.4
20985 2.62 19.1 7.1 5.2 18.1
12873 4.2923 20.1 3.9 2.9 15.8
20491 4.08 20.5 6.6 3.2 15.1
5449 2.2227 17.3 8.1 3.7 16.3
8867 1.5302 19.9 8.1 12.0 10.9
20638 3.9516 20.0 11.0 1.2 15.0
5540 2.7694 16.8 5.6 3.4 19.9
20641 3.8739 20.0 11.0 1.2 15.0
20982 2.8463 19.4 6.2 5.3 18.7
9058 4.331 21.2 4.5 3.1 12.5
20741 2.57 18.3 15.9 4.1 14.1
20492 3.9428 19.4 11.5 1.1 14.8
20683 3.7853 20.5 4.4 7.8 15.8
16548 1.5212 15.2 8.6 9.3 16.4
7576 0.9031 19.4 7.2 4.1 11.0
20919 3.9085 20.9 5.7 2.3 14.3
20524 4.9868 20.7 5.1 4.9 14.1
20981 3.608 21.5 5.0 3.8 13.7
9142 2.6628 20.8 4.9 9.4 12.1
7767 2.1903 17.2 3.8 6.7 15.6
20697 0.5647 18.7 9.2 13.9 12.8
20527 3.3579 18.0 5.8 3.3 16.2

SOMへの入力ベクトルは[dD, dP, dH, sqrt(Volume)]とする。SOMはこの4次元ベクトルを2次元に、似たベクトルは似た位置にマッピングする。結果は下の表のようになった。この結果から見ると大まかには6種類の化合物群に分けられる。

Code no name
dD
dP
dH
sqrt(V) Cl LogBCF
5449 12 di-n-butyl phthalate
17.3
8.1
3.7
16.3 0 2.22
20985 9 cypermethrin
19.1
7.1
5.2
18.1 2 2.62
6450 5 butyl benzyl phthalate
18.5
8.2
3.9
16.7 0 1.21
20527 30 trifluralin
18.0
5.8
3.3
16.2 0 3.36
20982 17 fenvalerate
19.4
6.2
5.3
18.7 1 2.85
Average
18.4
7.1
4.3
17.2 2.45
20491 11 p,p'-DDE
20.5
6.6
3.2
15.1 4 4.08
20919 24 octachlorostyrene
20.9
5.7
2.3
14.3 8 3.91
20981 26 PCDFs
21.5
5.0
3.8
13.7 4 3.61
9058 18 HCB
21.2
4.5
3.1
12.5 6 4.33
12873 10 p,p' -DDT
20.1
3.9
2.9
15.8 5 4.29
Average
20.8
5.2
3.0
14.3 4.04
20487 2 aldrin
19.7
9.4
0.8
14.9 6 3.74
20489 8 trans-, cis-chlordane
19.4
12.7
1.4
15.4 8 4.29
20492 20 heptachlor
19.4
11.5
1.1
14.8 7 3.94
20638 14 dieldrin
20.0
11.0
1.2
15.0 6 3.95
20641 16 endrin
20.0
11.0
1.2
15.0 6 3.87
Average
19.7
11.1
1.2
15.0 3.96
20683 21 kelthane
20.5
4.4
7.8
15.8 5 3.79
20524 25 PCDDs
20.7
5.1
4.9
14.1 4 4.99
7767 28 nonylphenol
17.2
3.8
6.7
15.6 0 2.19
20878 1 alachlor
18.6
8.3
5.7
15.5 1 1.12
Average
19.2
5.4
6.3
15.3 3.02
7761 4 benzophenone
20.4
7.5
4.6
12.8 0 1.08
20504 7 carbaryl
19.6
9.6
7.6
12.9 0 0.95
7576 23 4-nitrotoluene
19.4
7.2
4.1
11.0 0 0.90
Average
19.8
8.1
5.4
12.2 0.98
7765 6 bisphenol A
19.0
5.9
12.1
14.5 0 1.64
8867 13 2,4-dichlorophenol
19.9
8.1
12.0
10.9 2 1.53
16548 22 malathion
15.2
8.6
9.3
16.4 0 1.52
10806 3 atrazine
18.4
8.6
12.8
13.4 1 0.90
20697 29 simazine
18.7
9.2
13.9
12.8 1 0.56
Average
18.2
8.1
12.0
13.6 1.23
9142 27 pentachlorphenol
20.8
4.9
9.4
12.1 5 2.66
20741 19 hexachlorocyclohexane, BHC
18.3
15.9
4.1
14.1 6 2.57
5540 15 diethylhexyl phthalate
16.8
5.6
3.4
19.9 0 2.77

緑と黄色で示された化合物は比較的似ている。大きなdDの値と小さなdHを持ち、多くの塩素原子がついた、logBCFが4付近の化合物である。違いはdPの値の大小である。このSOMの計算には塩素の数やlogBCFの情報は入れていない。それなのにSOMは結構賢く分類していると思う。水色の化合物は大きなdHを持つ化合物である。ピンクの化合物はオレンジの化合物群に似ているが、分子の大きさが小さく、logBCFの値も小さい。紫の化合物は他に分類し直した方が良いかもしれない。
25はグリーンに、28はオレンジに、21と27は新しいグループに。1は例外。

自分は生体の事はあまり詳しくないが、HSPの言う事は、似たHSPの化合物は似た溶解性を持つということだ。生体が持っている様々なホルモンがこの分類表のどこに位置するかを考えた時に、これらの化合物の作用機構が分かるのではないかと思う。

21488   ESFENVALERATE 19.4 6.2 5.3 18.7 1 18.7
20764   heptachlor epoxide 19.7 13.1 1.5 14.9 7 14.9
20508   2,4-dichlorophenoxyacetic acid 19.8 8.6 10.7 12.3 2 12.3

こうしたHSPを使うと、上のような化合物がどこに分類されるかはHSPと分子サイズからだいたい見当がつく。

例えば Benzo[a]pyrene のHSPは下のような値になるのだが、これはどこに分類されると思うか?

11548 Benzo[a]pyrene 22.8 4.8 1.8 14.28285686 0 14.3

こうした定性的な解析をせずに、いきなりQSARモデルを考えても、あまり成功はしないように思える。専門家の意見を聞いてみたいものだ。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

これらの化合物がそのような位置関係にあるか3次元表示してみる。もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧であるなら、上にキャンバスが現れるだろう。球をクリックすれば撹乱物質の名前が現れる。実際に試してみていただきたい。この例題は分子体積は使っていない。

 

HSPiのデータベースには10000化合物のデータが収録されている。
そこで緑色にマークした範囲の化合物を検索してみた。
dD= 20 - 22
dP= 4 - 6
dH= 2 -4

66化合物がヒットした。その多くは塩素化合物であったが、下に示すものもグリーンの領域に入る。

これらは環境ホルモンだろうか?

少なくとも(旧)環境庁が指定した67化合物だけを管理すれば良いと考えるのは間違いな気がする。化審法などを考えている人たち,公的な機関の人たち,大学の先生方、WebKis-Plusなどのデータベースをやっている人たちがこうしたHSPの有用性に気づいてくれればと思う。

環境関連物性値の推算

1. HSPiPを使うと、Smiles, InChIの構造式から簡単に物性推算をすることができる。

テキストフィールドにSmilesの構造式を入れる。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。

PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

計算ボタンを押す。
すぐに推算結果が現れる。

Y−MBの推算式をVer. 3.1にアップグレードしたので、その精度を環境ホルモンの化合物を使って検証してみた。データは
http://www.ecosci.jp/env/eh_logp.htmlにあるものを使った。

ひとつだけ (HCode=21051) 大きく外れるものがある。

HCode 21051
logP=3.18
HCode 20877
logP=5.94
HCode 20927
logP=6.31

HCode 20928
logP=6.23
HCode 20929
logP=6.63
HCode 20931
logP=6.67

HSPiPのデータベースから似たものを検索すると、他のものは皆6付近なので、21051の化合物のデータが誤りだと思う。

HomePageでは他の計算ソフトを使った場合の結果が記載されていた。
SciQSAR, ScilogPなどと比べて圧倒的にY−MBの精度が高い事が分かった。
(もしかしたらバージョンが古く、今はもっと良くなっているかもしれないが)

logSとlogPには上のような関係がある事が知られている。
しかし、logPからlogSを推算するのはちょっと無理があるだろう。

原子団寄与法をベースにするY-MBではこのぐらいの精度でlogSを推算する。
構造式のみから推算する方法としては最高の部類に入るだろう。

logBCF(生物濃縮性)についても、そこそこの精度で推算することができる。

環境影響評価をする上で、かなり大きなこうした分子が構造式だけから、こうした物性を推算する事ができる。Y-MBの新版にご期待ください。

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