Pirika logo
JAVA,HTML5と化学のサイト

Pirika トップ・ページ


HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

代理購入?
英語で諦めていませんか?HSPiPの代理購入なら映像工房クエスチョンへ。すぐにお見積りします。
(日本語ドキュメントサービス中)。Mail

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)
 HSP基礎
 HSP応用
 ポリマー
 バイオ・化粧品
 環境
 物性推算
 分析
 化粧品の処方設計
 その他
 自分でやってみよう

Pirikaで化学
 物性化学
 高分子化学
 化学工学
 分子軌道
 情報化学
 その他の化学
 アカデミア
 DIY:自分でやろう
 プログラミング

雑記帳

Ad Space for you

 

Ad Space for you

 

Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#6
HSP応用FFE:液液抽出とハンセン溶解度パラメータ(HSP):液液抽出の溶媒が非極性であれば、分配係数は溶質と非極性溶媒のHSP距離で整理できそうである。しかし、抽出溶媒が、クロロホルム、ジエチルエーテル、オクタノールと極性を持ってくると、分配係数とHSP距離の相関はなくなる。クロマトグラフィーでカラムの極性が低いODS-カラムを用いた場合、ヘキサンを用いた液液抽出と同様で、クロマトの保持時間とHSP距離の間に相関が生まれる。

2010.5.31

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

液液抽出は分離操作としては,蒸留に次いで重要な技術でしょう。分子サイズが大きくなる医薬,化粧分野では特に重要になります。その分離操作を設計する時に,ある化合物が有機相へ行きやすいのか水相に居やすいのかが判ればすごく助かります。それをハンセンの溶解度パラメータを使って整理してみます。

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

模式図で表すと,ある溶質が合った時にその溶解度パラメータ,HSPが有機溶媒と似ているか,水と似ているかを見れば,"似たものは似たものを溶かす"という原理で分配係数が判らないか?というのが今回の話です。似ているかどうかの尺度はHSP距離を使います。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

logP,オクタノール-水分配比率はデータとしては最も豊富で,我々のHSPiPのデータベース12000件中5700化合物についてデータがあります。またHSPiPにもこのデータを解析して得られた推算式が搭載されていますし,clogPなどlogPを推算するソフトもあります。ところが,このlogPという物性値は溶解性を表す指標ではない事がわかりました。

そこで、他の有機溶媒ならどうなのかを検討してみました。
データ集から,オクタノール,ジエチルエーテル,クロロホルム,四塩炭,ベンゼン,ヘキサンのlogKDの値を集めました。
表の一部を下に示します。

Hcode 542 255
[16,5,11.9] 158.2 [15.49,2.9,4.6] 104.7
Solute Hcode dD dP dH
Vol
1-octanol
DistA
diethyl ether
DistB
methyl alcohol 456 14.7 12.3 22.3
40.6
-0.77
13.0
-1.15
20.1
ethyl alcohol 325 15.8 8.8 19.4
58.6
-0.31
8.4
-0.57
15.9
propyl alcohol 569 16 6.8 17.4
75.1
0.25
5.8
-0.02
13.4
butanol 92 16 5.7 15.8
92
0.88
4.0
0.89
11.6
1-pentanol 552 15.9 5.9 13.8
108.6
1.56
2.1
1.20
9.7
1-hexanol 930 15.9 5.8 12.5
135.8
2.03
1.0
1.80
8.5
1-heptanol 931 16 5.3 11.7
141.8
2.41
0.4
2.40
7.6
acetic acid 5 14.5 8 13.5
57.6
-0.17
4.5
-0.34
10.4
propanoic acid 576 14.7 5.3 12.4
75
0.33
2.7
0.27
8.3
butyric acid 114 15.7 4.8 12
92.6
0.79
0.6
0.61
7.7
hexanoic acid 1022 16.3 4.2 11.5
126.3
1.92
1.1
1.95
7.2
pentanoic acid 1023 15 4.1 10.3
109.5
1.39
2.7
1.00
5.9
Trichloroacetic Acid 861 18.3 7 13
101.6
1.33
5.1
1.21
10.9
dichloroacetic acid 945 18.2 8.1 12.2
83
0.92
5.4
1.31
10.7
chloroacetic acid 129 17.7 10.4 12.3
68.8
0.22
6.4
0.37
11.6
methyl acetate 464 15.5 7.2 7.6
79.8
0.18
4.9
0.43
5.2
ethyl acetate 328 15.8 5.3 7.2
98.6
0.73
4.7
0.93
3.6
acetone 7 15.5 10.4 7
73.8
-0.24
7.4
-0.21
7.9
ethylamine 331 15 5.6 10.7
65.6
-0.30
2.4
-1.18
6.7
propylamine 580 16 4.9 8.6
83
0.28
3.3
-0.54
4.6
o-vanillin 10812 19.3 11.1 13.9
127.7
1.37
9.2
1.35
14.6
i-vanillin 21944 19.3 11.1 13.9
127.7
0.97
0.82
isobutanol 431 15.1 5.7 15.9
91.9
0.65
4.4
0.53
11.7
Phenobarbital  20331 19.9 16.4 10.4
181.3
1.71
13.9
1.51
17.1
Pent​obarbital 21943 17.7 14.2 9.6
201.3
2.10
10.1
1.28
13.1

 

logKD KD=[A]solvent/[A]water [A] ml conetntration
156 122 52 417
[17.8,3.1,5.7] 80.5 [17.8, 0, 0.6] 97.1 [18.4,0,2] 89.5 [14.9,0,0] 131.4
chloroform DistC carbon tetrachloride DistD benzene DistE hexane DistF
-1.26
20.0
-2.10
25.7
-1.89
24.9
-2.80
25.5
-0.85
15.4
-1.40
21.1
-1.62
20.2
-2.10
21.4
-0.40
12.8
-0.82
18.5
-0.70
17.5
-1.52
18.8
0.45
11.0
-0.40
16.6
-0.12
15.7
-0.70
16.9
1.05
9.4
0.40
14.9
0.62
14.1
-0.40
15.1
1.69
8.2
0.95
13.8
1.30
13.0
0.46
13.9
2.41
7.3
1.67
12.8
1.91
12.1
1.01
13.0
-1.60
11.3
-2.45
16.6
-2.26
16.0
-3.06
15.7
-0.96
9.4
-1.60
14.3
-1.35
13.8
-2.14
13.5
-0.27
7.8
-0.97
13.1
-0.96
12.3
-1.76
13.0
1.15
6.6
0.57
12.1
0.30
11.2
-0.46
12.6
0.28
7.3
-0.42
11.9
-0.10
11.5
-1.00
11.1
-0.69
8.3
-1.66
14.3
-1.30
13.0
-2.63
16.3
-0.89
8.2
-2.31
14.2
-1.40
13.0
-2.72
16.1
-1.92
9.8
-2.56
15.7
-1.60
14.7
-3.14
17.1
1.16
6.4
0.32
11.0
0.53
10.8
-0.26
10.5
1.80
4.8
0.95
9.4
1.01
9.1
0.29
9.1
0.24
8.7
-0.30
13.0
-0.05
12.9
-0.91
12.6
-0.35
7.9
-1.27
12.8
-1.30
12.4
-1.77
12.1
0.26
5.0
-0.59
10.0
-0.52
9.5
-1.00
10.1
2.30
11.8
1.40
17.6
1.87
16.4
0.53
19.8
1.18
0.04
0.74
-0.85
0.34
11.8
-0.32
17.2
-0.11
16.4
-0.60
16.9
0.62
14.7
-0.63
19.6
-0.01
18.7
-2.22
21.8
1.38
11.8
-0.03
16.8
0.74
16.2
-1.30
18.0

オクタノールのlogKD(logKow)とオクタノールと溶質の距離をプロットして見るとほとんど相関が無いことが再確認されます。

 

分子体積とプロットした方がどんなにかマシかお判りいただけるでしょう。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばlogPがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPower ToolsのSmilesを参照して頂きたい。

 

ところが,ヘキサンについてlogKDとヘキサン-溶質のHSP距離をプロットすると,2本の直線が見えます。つまりヘキサンの場合には,HSP距離が短いものはヘキサンに溶解しやすく,logKDが大きくなる事がわかります。
それではこの2本の直線のうち,どのような化合物がどちらの直線に乗るのでしょうか?

アルコール,アミド化合物は上の直線に乗ります。

 

カルボン酸やエステルなどは下の直線にのります。

アミン化合物がこの全体のグラフを見にくくしていますが,他のものと随分違う挙動を示します。

それ以外に官能基を複数持ったもので例外がいくつかあります。

このユーザーフォーラムでもHSPを使ったHPLC解析はいくつか紹介していますが,ある程度似た化合物の一斉分析であればリテンションタイムがHSPから推算できるのは,この液液抽出の分配係数がHSP距離で整理できる事から考えてもリーズナブルだと言えます。ただしこれがうまくいくのは、カラムとしてODSのものを使ったときだけです。Columnの極性が上がるに連れ、以降に示すように分配係数とHSP距離の相関はなくなっていきます。lまた、最近の研究ではlogPの実験値はODSカラムを用いたクロマトのリテンション・タイムから求められています。logPが既知の化合物の保持時間で挟み撃ちでHPLCの結果から未知の化合物のlogPを決めます。それが可能なのも上のような相関が得られる非極性のODS-Columnを使った場合だけです。

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

他の抽出溶媒ではどうかというと,四塩炭,ベンゼン,ヘキサンの非極性溶媒は似た挙動を示します。

アルコール,アミド化合物などの溶質

 

カルボン酸,エステルなどの溶質

したがって,四塩炭,ベンゼン,ヘキサンなどの非極性溶媒は,溶質の構造が決まり,HSPiPを使ってHSPを計算し溶媒からのHSP距離を求めれば、logKDは予測する事ができます。

クロロホルム,ジエチルエーテルでは次のようになります。

アルコール,アミド化合物などの溶質

 

カルボン酸,エステルなどの溶質

クロロホルム,ジエチルエーテルではだんだん相関が無くなって行きます。

ここでの検討は水からの距離を無視していますが,近いうちに水からの距離も考慮に入れたQSPR式を紹介しようと思います。

2012.1.9

自分だけの式を立てたいという要望があったので、YMBを使って自分用の式を構築する方法を、自分でやろう(DIY)抽出を考えてみよう、のページにまとめたので興味のある方は参照していただきたい。

HSPiPの使い方その3:反応の副生成物を抽出除去する溶媒を探索する。使い方が分かりづらいというユーザーにハンズ・オンで説明した。その説明の改訂版。

 

HSPの応用技術トップページへ戻る。

HSPを使った化粧品の処方設計、トップページへ戻る

HSPユーザー・フォーラム、トップページへ戻る

 

メールの書き方講座