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HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#40
バイオ・化粧品:配糖体化合物のハンセン溶解度パラメータ(HSP):薬の中には配糖体を持つものがある。これは薬効成分自体は水に溶けにくく吸収しにくいが、グルコースがくっついているために溶解性が向上していると考えられる。このような2面性を持つ化合物を溶解度パラメータを使って解析する方法を紹介する。このようなときは、全体だけでなく部分ごとの ハンセン溶解度パラメータ(HSP) を見るのも大事だ。オリゴマーなど中規模分子を扱う時にも参考にしていただきたい。

2010.7.14

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

医薬品の溶解度を研究している方から相談を受けた。配糖体の部分をどう扱うかについてだ。そこで、ここでは、ヘスペリジン(hesperidin)を例に説明をする。これはタミフルの所でも紹介したが、チンピ由来の化合物で、毛細血管の透過抑制作用があるとされている生薬だ。こうした構造の化合物を扱う時に、HSPをどう取り扱ったらいいか? 例えば水ーエタノール混合溶媒に対する溶解度を推算できるか?というのが質問だ。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

この化合物のCAS#は15512-51-3で、ChemSpiderなどのHPへ行けば直ぐにSmilesの構造式が手に入る。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。


O=C4c5c(O)cc(O[C@@H]2O[C@H](CO[C@@H]1O[C@H]([C@H](O)[C@@H](O)[C@H ]1O)C)[C@@H](O)[C@H](O)[C@H]2O)cc5O[C@H](c3ccc(OC)c(O)c3)C4

HSPiPというソフトをに搭載のY-MB機能を使えば簡単にHSPは計算できる。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

[19.1, 11.8, 25.6]という結果が得られる。
(下の図はver. 3.1に搭載されるdH項をドナーとアクセプターに分割した値も示されている。)
このHSPが求まれば、例えばある(混合)溶媒からのHSP距離を計算すれば溶解性を見積もる事ができる。

混合溶媒のHSP

[dDm, dPm, dHm]=[(a*dD1+b*dD2), (a*dP1+b*dP2),(a*dH1+b*dH2)]/(a+b)

混合比率は体積で計算する。

Pirikaの混合溶媒を設計するJAVAアプレット・デモ、GSDはこちら。
dHをdHdo,dHacに分割した混合溶媒の探索は最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい

パッキンの耐溶剤性の所でも述べたが、混合溶媒のHSPは体積分率a:bのとき、上の図のように混合溶媒のHSPがベクトルの和として計算される。EtOH [15.8, 8.8, 19.4] 水[15.5, 16, 42.3]とした時に、先ほどの ヘスペリジンのHSP [19.1. 11.8, 25.6]に最も近いのは、エタノール分率が70%の時の[15.71, 10.96, 26.27]になる。

もし実験的に ヘスペリジンのHSPを決めたいならば、エタノールの分率を変えながら実際の溶解度を測定し、その結果をHSPiPで解析しHSPを決定すれば良い。(カプサイシンの例を参照のこと

ある程度大きい分子に対しては、構造の部分部分にHSP値を割り振る、Region Map法を推奨している。これは分子を適当なところで切断し、部分部分のHSPを計算する方法だ。様々な溶質のHSPを検討すると、溶質が2面性を持つ場合があることが解っている。そのような場合には、溶質を溶かす溶媒群は2種類あって、良溶媒はハンセンの溶解球のどちらかに所属し、貧溶媒はどちらの球にも所属しない。そのような球を2つ見つけるのがV3.1.xから搭載された、Double Spheres機能だ。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

この方法で見ると、配糖体の部分は,ほとんど水と同じHSPを持ち、核の部分は,ほとんどEtOHと同じHSPを持つ事が分かる。従って ヘスペリジン全体としてのHSPからの距離で見た以上に、広い範囲のエタノールー水溶媒に可溶なのではないかと考えられる。

多くの場合、配糖体は胃酸で加水分解してしまうと言われている。加水分解した後のHSPが腸壁のHSPと近ければ腸で吸収されるだろう。従って、配糖体を取り除いた化合物のHSPを実験的に求めておく事も非常に重要だろう。その結果が推算値と合っていたかどうかお知らせ願いたいものだ。

領域ごとのHSPを見る、領域マップ法についてはこちらにもまとめたので参照して頂いたい。

最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい。

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