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HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#12
バイオ・化粧品FFE辛みとハンセン溶解度パラメータ(HSP):この辛みというのは実は味では無いらしい。感覚的には痛みに属するらしい。味であれ痛みであれ、味蕾だかなんだかのレセプターに、化学物質が溶けこんでくるので刺激として認識出来るのであろう。このレセプターに対する溶解性をHSPを用いて解析してみた。HSPだけではどうも説明できないようだ。また、辛くはないが、脂肪燃焼作用のある化学物質の溶解度パラメータを解析してみた。

2010.3.30

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

自分は辛い食べ物が大好きだ。

唐辛子などの辛みはTRPV1というレセプターによって認識されているとあった。
TRPV1: transient receptor potential protein vanilloid receptor subtype 1 (43℃<)
このレセプターに対する溶解性をハンセンの溶解度パラメータを使って解析してみる。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

まず、天然ハーブのデータベースから辛みをもつ化合物を抜き出してみた。

HSPiPというソフトを使うと、化合物のSmilesの構造式を用意するだけで、その化合物のHSPと分子体積などを計算してくれる。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

結果をまとめると、下のテーブルのようになった。

No Name dD dP dH Volume
1
 pellitorin
16.3
6.4
6.6
246.7
2
Spilanthol
16.4
6.8
7.3
238.0
3
α-Sanshool
16.4
6.5
7.2
264.0
4
Tadeonal
17.5
8.9
6.3
227.6
5
gingerol
17.8
6.5
11.5
276.6
6
capsaicine
17.8
7.8
10.1
290.6
7
Piperine
18.7
7.2
7.8
242.4
8
chavicine
18.7
7.2
7.8
242.4

この結果から見ると辛み化合物のHSPの平均値は [17.4, 7.2, 8.1] 、分子体積は 253.5である事がわかる。構造は違っていてもHSPは良く似ている事が分かる。特に4の構造は他のものとずいぶん異なる。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)がどのくらい離れていたら、似ていなくて、どのくらいなら似ているのかは初心者には判断が付きにくいだろう。もし、iPadやHTML5対応のブラウザー(Chrome, Safari, FireFox4など)でこのページをご覧であるなら、上にキャンバスが現れるだろう。 溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。溶媒はHansen博士が最も広くHSP空間にちらばるように選定した85溶媒を3次元にプロットしてある。その一番広い空間上に目的の化合物がどこにプロットされるかで判断してほしい。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

この溶質をレセプター、辛味を持つ化合物を溶媒と考えると、 TRPV1 レセプターのHSP(溶解度球の中心)は平均値の [17.4, 7.2, 8.1] に近いだろうと思われる。

HSPiP ver. 3 には"Find Molecules"という機能が搭載された。これを使ってカプサイシンと同等のHSPを持つ化合物を探索してみる。カプサイシンが出てくるのは当たり前だが、15化合物が探索された。

CAS# 499-44-5

檜チオール

 

 

Iyral
CAS# 31906-04-4

例えば上記の構造などが相当する。もし口に入れる勇気のある人が居たら結果を是非教えてほしい。
Iyral [17.27, 7.61, 10.37] は香料に使われているが、これはアレルゲンとされているので口に入れるのはお勧めしないが....。

味の素が"カプシエイト"というカプサイシンの同族体を開発した。これは唐辛子のような脂肪を燃焼させる機能を持ちながら、辛みは1/1000だそうだ。辛いものが苦手でもダイエットできると評判になっている。この構造はカプサイシンのアミドの部分がエステルに変わったものだ。

CapsiateのHSPは [17.6, 5.6, 7.9]になる。

ショウガは gingerolという辛み成分を持っている。そして gingerolは加熱されると shogaolに変わる。この shogaolはそんなに辛くないが、風邪のひき始めに飲む生姜湯はやはり脂肪を燃焼させるのか、体が温まる。

ShogaolのHSPは[17.8, 5.8, 8.5]だ。これはカプシエイトのHSPとほぼ完全に一致する。

ユーザーからメールを頂いた(2010.4.4).
Para Hydroxy Phenyl Butanone (Raspberry ketone) はカネボウ食品が開発した、辛くなく、脂肪を燃焼させる能力はカプサイシンの3倍あるということだ。

この化合物のHSPは [18.4, 7.2, 10.5]になる。この化合物のHSPはカプサイシンのものとほぼ同じだ。だとすると、TRPV1 レセプターはHSPだけで効いているのでは無いことになる。脂肪燃焼酵素(リパーゼ)は比較的HSPだけに依存しているのだろうか?

HesperidinのHSPは配糖体の部分をMeエーテルで計算すると、[19.2, 8.4, 15.5]になる。
Tamifluの所でも書いたが、チンピからとれるこの構造は、体を温める作用があるとあった。左のフェノール性のOHが無ければ、 [19.5, 9.0, 11.8]になる。誰か合成して飲んでみてくれないかなー?

こんな事を書いていたら、カプサイシンやカプシエイトはおなかの中で加水分解するので、実体としてはdHはもっと高いのではないかと指摘をいただいた。そうかもしれないですね。こうしてみると、辛味はHSPだけでは整理がつかず、水への溶解性、加水分解のしやすさ、分子の大きさ、PHなども大事なのかもしれない。しかし、それにしてもHSPの考え方は有効であると思われる。

こうした化合物、ベンゼン環に水酸基とメチルエーテルがついたもの。

これは、クレオソート、つまり正露丸の臭いだそうです。いったいこれはどんな作用をしているのか?

 

わさびの辛みに反応するのは違うレセプターでTRPA1だ。
TRPA1(<17℃)
このレセプターのHSPは [17.0, 12.5, 8.7]ぐらいだろう。これらの化合物のHPLCの分析結果を入手した。

Name Retention time Volume dD dP dH DistODS DistODS/V
Ethyl isothiocyanate 5.574 87.0 17.1 13.3 8.5 15.85 0.18
Allyl isothiocyanate 6.135 97.3 17.0 12.5 8.7 15.30 0.16
n-propyl isothiocyanate 6.915 104.1 16.9 11.7 7.6 14.05 0.14
beta-Phen​ethyl iso​thiocyana​te 8.765 148.9 19.1 8.9 6.1 12.15 0.08
Phenyl isothiocyanate 11.031 116.4 19.9 11.3 7.3 15.13 0.13

クロマトグラフィー

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、3次元のHSPベクトルの類似度で、溶解性を評価します。例えば下の図で、溶質(オレンジ)のベクトルが、有機溶媒のHSPベクトル(青)と水のHSPベクトル(黄色)とどちらに近いかをHSP距離で評価します。HPLCのシミュレーションは、これが横に長くなり、液液抽出が連続的に繰り返されていると考えます。

そこで、溶質のHSPベクトル(オレンジ)が有機相のHSPベクトル(青)に近い場合、なかなか出てこない、つまりリテンションタイムが長くなると判断し、逆に、水のHSPベクトル(黄色)に近い場合、保持時間は短くなると判断します。ここで行うシミュレーションは有機層がオクタデカンとしているので、HPLCカラムとしては、ODSカラム相当になります。また、これまでの検討で、分子の体積の補正が有効であることが解っています。

PirikaのHPLC用混合溶媒を設計するJAVAアプレットのデモ、HPLCDemoはこちら。
HPLC用のパワーツール+はこちらから

 

これまでの検討で、HSP距離を体積で割った値はリテンション・タイムと高い相関があることが分かっている。ところが、フェニル・イソチオシアネートのHSP距離だけおかしな値になる。これのことは、芳香族に付加するイソチオシアネート基と、アルキル基に付くそれでは原子団の寄与率を変えないとダメであることを示している。これは、Ver.4への宿題だ。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を複数描けばRTがどのくらいかを得る事ができる。詳しい分子の描き方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使う、原子数の制限をあげたバージョンはPowerTools+ページを参照して頂きたい。

医薬品の場合と異なり、味やにおいのレセプターの感度はそんなに高くないように思える。
HSPが似ていれば、その化合物はそのレセプターに溶けやすい。何かが溶けてきたという信号だけでその感覚が刺激されているようだ。

2010.12.20
新聞で、帯広畜産大学の研究者が、蚊の口全体にTRPA1が働いて、これが獲物の熱を感知しているらしいと発表した。このタンパク質の機能を麻痺させるような化学物質をかけると、蚊は熱源に反応しなくなるらしい。どんな化学物質をかけたのだろうか? わさびをかけたら、自分のそばに居ても見つけられないのだったら面白いな。

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