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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#36
HSP応用:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)とマイクロ波加熱:最近マイクロ波(MW)加熱が有機合成の分野でも利用され始めている。それでは、どんな化合物がマイクロ波をよく吸収するのか?を数値で表すことは出来るのだろうか?ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使った方法を提案する。

2010.2.26

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

鈴木カップリング反応,ノーベル賞おめでとう!!

マイクロ波加熱はとても面白い加熱方法で、最近、有機合成にも多く利用されるようになってきています。グリーン・ケミストリーの分野では重要な技術だと言えます。しかし、全く加速されない反応もあり、トライ&エラーで実験を進めている事も多いと思います。

Hcode Name DielectricConstant Tan delta DielectricLoss
696 water 80.4 0.123 9.889
398 formic acid 58.5 0.722 42.237
303 DMSO 45 0.825 37.125
297 DMF 37.7 0.161 6.07
10 acetonitrile 37.5 0.062 2.325
368 ethylene glycol 37 1.35 49.95
534 nitromethane 36 0.064 2.304
531 nitrobenzene 34.8 0.589 20.497
456 methanol 32.6 0.659 21.483
521 NMP 32.2 0.275 8.855
325 EtOH 24.3 0.941 22.866
7 Acetone 20.7 0.054 1.118
569 propyl alcohol 20.1 15.216
481 MEK 18.5 0.079 1.462
570 isopropyl alcohol 18.3 0.799 14.622
92 butanol 17.1 0.571 9.764
380 2-methoxyethanol 16.9 6.929
93 sec-butanol 15.8 0.41 7.063
431 isobutanol 15.8 0.522 8.248
367 1,2-dichloroethane 10.4 0.127 1.321
234 o-dichlorobenzene 9.9 0.28 2.772
524 methylene chloride 9.1 0.042 0.382
617 THF 7.4 0.047 0.348
5 Acetic Acid 6.2 0.174 1.079
328 ethyl acetate 6 0.059 0.354
156 Chloroform 4.8 0.091 0.437
148 Chlorobenzene 2.6 0.101 0.263
698 xylene (o-) 2.6 0.018 0.047
637 toluene 2.4 0.04 0.096
417 hexane 1.9 0.02 0.038

たまたま、溶媒の誘電損失の一覧を手に入れました。その本によると、誘電損失の大きな溶媒は良くマイクロ波を吸収するそうです。溶媒の誘電率のデータは比較的入手しやすいので、それと誘電損失の値を比べてみました。

大まかには、誘電率の高いものは誘電損失も大きいのですが、例外も多いです。
また、有機合成を考えた時には、反応試薬の誘電率はほとんど手に入らず、直感に頼らざる得ないのが現状です。

そこで、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使って、誘電損失を推算するQSPR式を作ってみました。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

結果はDMFと蟻酸は全然合わないのですが、それ以外は結構良好に推算できる事が分かりました。蟻酸はダイマーを作る事、DMFは水素結合のネットワークを作る事から、外れるのではないかと考えています。そうした問題はあるにしても、HSPiPを使えば有機化合物のHSPは計算できる事を考えると、非常に有用だと言えます。
ここまで分かると、次にはどの項がどのように効いているのかが知りたい所です。
もともと、HSPのうち、分極項(dP)は誘電率とダイポールモーメント、分子体積から決定されていました。のちにはダイポールモーメントと分子体積のみから決定されるように変更になりました。ですからHSPの分極項は誘電率とは密接な関係があります。(そこで、HSPと誘電損失に大きな相関があるのではないだろうかと考えるのは、あながち無謀ではありません。)

そこで、dPがメジャープレーヤーであることは理解できます。
上のデータとは別に、溶媒に1分間MWを照射した時に温度が何度になったというデータを入手しました。

name 1min dD dP dH Vol
Water 81 18.1 17.1 16.9 18
methanol 65 14.7 12.3 22.3 40.6
Ethanol 78 15.8 8.8 19.4 58.6
1-Propanol 98 16 6.8 17.4 75.099
n-Butanol 109 16 5.7 15.8 92
1-Pentanol  106 15.9 5.9 13.9 108.6
1-Hexanol 92 15.9 5.8 12.5 125.2
1-Chlorobutane 76 16.2 5.5 2 104.5
1-Bromobutane 95 16.232 6.88 3.33 109.35
Acetic acid 110 14.5 8 13.5 57.6
Ethyl acetate 73 15.8 5.3 7.2 98.6
Dichloromethane 41 17 7.3 7.1 64.4
Chloroform 49 17.8 3.1 5.7 80.5
Acetone 56 15.5 10.4 7 73.8
DMF 131 17.4 13.7 11.3 77.4
Ehtyl ether 32 14.5 2.9 4.6 104.7
1,4-Dioxane 53 17.5 1.8 9 85.7
n-Butyl amine 70 16.2 4.5 8 98.8
Tripropylamine 56 15.5 3.88 2.07 188.96
n-Hexane 25 14.9 0 0 131.4
n-Heptane 26 15.3 0 0 147
Carbon tetrachloride 28 17.8 0 0.6 17.81
1minute radiation of MicroWave Achieved temperature

そこで、この到達温度を予測する式を作ってみました。

(2*dP+dH)*Volume*dD が、到達温度と一番良い相関になりました。
こうした相関が得られると,ある反応にMWを使う場合,原料よりも,溶媒のこのインデックスが高いとMWは溶媒を暖めるのに使われます。スーパーヒートの効果もあるかもしれませんが,それでは通常加熱と同じになってしまいます。HSPiPを使ってこのインデックスの低い混合溶媒をさがせば,かけたMWは反応に使われ,おもしろい結果になるのではないでしょうか。

対応するブラウザーをお使いなら、上のキャンバスに分子を描けば水と比べてどのくらいかを得る事ができる。詳しい使い方はPowerToolsのSmilesを参照して頂きたい。 他の原子を使いたいという要望が多ければ考えます。

 

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

HSPと分子体積を計算するには、Smilesの構造式を準備します。

Smilesの構造式

分子の水素は書かずに重原子の元素記号だけ線形に表記する。
有機化学用のC, N, O, P, S, F, Br, Cl, Iは角括弧は省略。他の原子には[]をつける。
枝分かれは()を使う。
2重結合は=,3重結合は#で表す。
環状構造は環の結合を一つ切りその両端に1以上の同じ数字をつける。
PirikaのSmiles構造式を得るJAVAアプレットはこちらから
分子の描画によってSmilesの構造式を得るDraw2SmilesがHSPiP Ver.4 パワーツールに搭載されました。

電荷を持つものは今のところ計算できませんが、分子の構造式のみで必要な物性が手に入ります。このインデックスと例えば収率の関係を是非とも見てみたいものです。


2010.9.6
鈴木カップリング反応がノーベル賞を受賞した。
この反応は,パラジューム触媒と塩基でビアリール系芳香族を作る反応です。
詳しい事はChem-Stationの記事を参考にして欲しい。

何故この反応をマイクロウエーブの記事で取り上げているかと言うと,この反応がパラジウムが無くてもマイクロウエーブの照射で進行すると,一時期話題になったからです。
ICP-AESを使ってPdは検出限界(0.1ppm)以下だったのに反応が進行したので,MW利用,有機合成の観点から注目されました。
結果的には,それは間違いで,20-50ppbのパラジウムが存在しないと反応が進行しなかったのですが,逆に言えば,MWの照射で触媒量が劇的に減らせると言うのは,それはそれでグリーンケミストリーといえます。

このマイクロウエーブは反応のどちらに効いているのでしょうか? 上の記事で作った
(2*dP+dH)*Volume*dD
という指標で考えてみましょう。

まず,ホウ素化合物ですが,
dHが大きいですね。
指標は54600になります。
上のテーブルの溶媒の中でも
一番大きい値です。

もう一方の臭素体はdPが大きいです。dPは値が2倍されるので,
指標は72200と極端に大きくなります。

2011.6.11
分子を描くと電荷を計算するプログラムを作ってみた。 これは横浜国大での講義用のプログラムだ。YNUの学生はこんな計算にもトライしてみて欲しい。

 

水の指標は,分子が小さい事もあって,30000程度なので,これらの化合物は非常に良くMWを吸収し発熱するだろうと判ります。特に臭素体は極めて発熱が高いと言う予測になるので,おそらく芳香環とBrの間は激しく振動しているのでしょう。
もう一つのホウ素対もMWを吸収して,これも芳香環とホウ素の間で激しく振動していて,両者が出会うと交叉カップリングが起きる。

通常の加熱では,分子全体の結合が(どの結合とは言わず)伸びたり縮んだりする。そこでPdがちょっぴりBr-Phの結合を延ばしてやる必要があって,通常加熱の場合には触媒が多く必要になるのでしょう。

このような指標が受け入れられれば,鈴木カップリングが余り有効でない系に対して,保護基をこう付けると,dPの値が大きくなって,MWが有効に働くのではないか? とかいう分子設計につながって行くとおもいます。

それにしても,分子の構造があるだけで,どのくらいMWで発熱するかの指標が得られるなら,マイクロ波有機合成にとても有効だと思います。

興味のあるかたは,HSPiPを試してみて下さい。

 

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