Pirika logo
JAVA,HTML5と化学のサイト

Pirika トップ・ページ


HSPiP Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)HSP統合ソフトの本家HP

ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

代理購入?
英語で諦めていませんか?HSPiPの代理購入なら映像工房クエスチョンへ。すぐにお見積りします。
(日本語ドキュメントサービス中)。Mail

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)
 HSP基礎
 HSP応用
 ポリマー
 バイオ・化粧品
 環境
 物性推算
 分析
 化粧品の処方設計
 その他
 自分でやってみよう

Pirikaで化学
 物性化学
 高分子化学
 化学工学
 分子軌道
 情報化学
 その他の化学
 アカデミア
 DIY:自分でやろう
 プログラミング

雑記帳

Ad Space for you

 

Ad Space for you

 

Last Update
27-May-2017

アプリケーション・ノート#46
環境:ハンセンの溶解度パラメータを使った環境に優しい溶媒選択:グリーンソルベントを考えるときに、まず重要なのは代替溶媒がターゲットを溶解することだろう。溶解性をそろえた上で、引火点やその他の環境関連の物性値が妥当であるか評価しなければならない。こうした物性値はHSPiPを使えば簡単に入手できる。

2010.7.28

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

グリーンソルベントと言っても、溶媒である以上は、その溶解性は一番重要な物性である。溶解性を考える上でハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、まず第一に重要な指標である。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

 

環境に優しい溶媒(グリーン・ソルベント)選択

引火性でない。(危険物)
VOC規制(揮発性有機化合物規制)
HAPs規制(有害大気汚染物質規制)   米国
化審法(化学物質の審査および製造等の規制に関する法律)  日本
Reach ( registration, evaluation and authorization of chemicals) EU
TSCA (Toxic Substance Control Act) 米国
ODP (Ozone Depression Potential, Montreal protocol)
GWP (Global warming Potential, Kyoto protocol )

こうした規制に該当しない溶媒の選択(混合溶媒の設計)

混合溶媒のHSP

[dDm, dPm, dHm]=[(a*dD1+b*dD2), (a*dP1+b*dP2),(a*dH1+b*dH2)]/(a+b)

混合比率は体積で計算する。

Pirikaの混合溶媒を設計するJAVAアプレット・デモ、GSDはこちら。
dHをdHdo,dHacに分割した混合溶媒の探索は最新の研究はPowerToolsのプログラムで紹介している。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみて欲しい

 

HSPiPの例題

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

1. 顔料、染料のバインダーポリマーのHSPを求める。
バインダーを溶かす溶媒、溶かさない溶媒から球の中心と半径を決定[18.6, 10.1, 7.8] R0=8.5

2.  溶媒とのHansenの距離(Ra)を求め、それがR0以下であれば、
(0に近いほど良く溶解する) 候補となりうる溶媒。
N-メチル-2-ピロリドン [18.0, 12.3, 7.2]ー>高価、蒸発しにくい、健康上問題、安全上問題

3. 混合溶媒でポリマーと同等のHSPを持つ組み合わせを探索する。
(混合物のHSPは相加平均で求める。)
Optimizerを使うとPropylene carbonate: Dipropylene Glycol: Aromatic Hydrocarbon=38:33:29で混合溶媒HSP [18.3, 10.2, 7.7]がたちどころに求まる。

という例題が記載されている。これを他の例題を用いて実際に見てみる。

Ex.アセトニトリル溶媒代替探索

リーマン・ショックの後、アセトニトリル溶媒が市場から消えた事がある。
(アセトニトリルはアクリロニトリル[ポリマーの原料]の副生成物で、ポリマーのニーズが無くなったためアセトニトリルも無くなった。)
この溶媒は、HPLC用の溶媒、有機合成用の溶媒として無くてはならないので、非常に困った。

液クロ用の溶媒は無理にしても、有機合成用の溶媒なら探索できるかもしれない。
有機合成用の溶媒探索に関してはこちらを参照してください。
合成用の溶媒では、反応させる基質を溶解するのがまず第一に必要だ。
そこで、アセトニトリルと同じ溶解度パラメータを持つ溶媒をHSPiPの例題と同じように探索する。

1. Acetonitrile HSP[15.3, 18, 6.1] dPが非常に大きい。dDは小さい。

2. 代表的な81溶媒から単独溶媒を探索する。

10   Acetonitrile 15.3 18 6.1  Ra
115   gamma-Butyrolactone (GBL) 18 16.6 7.4 5.73
535   1-Nitropropane 16.6 12.3 5.5 6.29
608   Sulfolane (Tetramethylene Sulfone) 18 18 9.9 6.60
363   Ethylene Carbonate 18 21.7 5.1 6.62
303   Dimethyl Sulfoxide (DMSO) 18.4 16.4 10.2 7.60
7   Acetone 15.5 10.4 7 7.66

アセトニトリルの特徴はハンセンの溶解度パラメータのうち、分極項(dP)が非常に大きいことである。そして分散項(dD)も小さめである。dPが大きい単品の溶媒はdDが大きい傾向があり、最もアセトニトリルに近い物でも、γーブチロラクトンのHSP距離(Ra)=5.7となってしまい、良好な代替溶媒が無い。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)2 + (dP1-dP2)2 +(dH1-dH2)2 }0.5

 

3. 代表的溶媒81種から混合溶媒探索
そこで、溶媒81種を使い、2元系、81*80の組み合わせで、混合比率10%刻みでHSP距離がアセトニトリルから一番短くなる組み合わせを自動探索した。結果は下の表に示すように、エチレンカーボネートをベースにする混合溶媒であった。(JAVAのアプレットを使って実際に計算するPirikaのデモはこちらのGreen Solvent Designerをお試しください。HTML5バージョンはこちらから。)

A A ratio B dDm dPm dHm Ra
7:Acetone 0.5 363:Ethylene Carbonate 16.75 16.05 6.05 3.49
363:Ethylene Carbonate 0.7 963:t-Butyl Acetate 17.1 17.05 5.43 3.78
363:Ethylene Carbonate 0.6 369:Butyl Glycol Acetate 16.92 16.02 5.78 3.81
363:Ethylene Carbonate 0.7 666:Texanol 17.13 17.02 6.51 3.81
363:Ethylene Carbonate 0.7 440:Iso-Propyl Acetate 17.07 16.54 6.03 3.83

では、こうした混合溶媒の候補のうち、どれから試すか? 優先順位の付け方を考えてみる。

日本における危険物の分類

日本においては危険物は大まかに引火点によって分類される。(引火点はHSPiPを使うと推算することができます。詳しい記事はこちらを参照してください。)
そこで今回探索された混合溶媒のうち両方が第3石油類に入る、エチレンカーボネートとBGAの60:40の混合溶媒が第一候補となる。

引火点を意識して混合溶媒を設計したため、沸点が非常に高い混合溶媒になってしまった。合成溶媒に用いた場合に分離精製に支障があるかもしれないが、混合溶媒の設計方法の紹介という事で理解していただきたい。

引火点以外の環境影響に関する物性値はVOCの記事で検証を行ったのでそちらを参照いただきたい。

この内容は、分離技術会の、”物性定数とその最近の動向”という講習会(2009.3)で発表したものです。

2012.7.26

印刷用のインキを溶解する、ジクロロメタンとジクロロプロパンが胆管ガンを引き起こすと問題になっている。これらの溶媒の4D HSP[dD, dP, dHdo, dHac]が
ジクロロメタン [17, 7.3, 6.9, 1.7]
ジクロロプロパン[17.3, 7.1, 1.4, 2.5]
として、どのようなグリーンソルベントが同等の溶解性になるか、実際に計算してみよう。

目標値を入れてSearchボタンを押すと結果が表示される。それを全てコピーして表計算に貼付ける。(一部のブラウザーと表計算で、タブや改行コードが正しく機能しない事があるようだ。特にWindowsは\r\nを改行につかっているので問題となる。インターネット標準は\nだ。不具合が出た場合は一旦高機能なテキストエディターにペーストして、そこからコピー、ペーストする。)意外とというか、あたりまえというか、ジクロロメタンにぴったりする混合溶媒は無い。しかも、HSP距離の短い混合溶媒は、酢酸や蟻酸など臭気の強い溶媒ばかりになる。ジクロロプロパンはまだましだ。MIBKなどのケトン系の溶媒とRhodiasolv DIBなどの混合溶媒などが提案される。

 

PowerToolsのプログラムのページに、このプログラムのフルバージョンがある。自分だけの溶媒リストを作る機能などは評価が高い。

HSPと環境関連技術のトップページへ戻る。

HSPユーザー・フォーラム、トップページへ戻る

 

メールの書き方講座