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ハンセン溶解度パラメータ・ソフトウエアー(HSPiP)の購入方法とインストール

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Last Update
27-May-2017

医薬品など: 自分でやってみようFFE; 経皮吸収型ドラッグデリバリーシステム

2012.4.26

HSPiP Team Senior Developer, 非常勤講師 山本博志

 

TDDS(Transdermal Drug Delivery System)、経皮吸収型ドラッグデリバリーシステムに関する論文を見つけた。

Yakugaku Zasshi 127(4) 655-662 (2007) 久光製薬の肥後さんという方の書かれた論文でTDDSの概略を知るには良い論文だ。その中にこれまでに開発されてきたTDDSの特徴のまとめがあった。

構造は上のようなものがあるらしい。

Hcode Name Delivery rate mg/day MW MP logKow
20441 Clonidine 0.1 230 140 0.83
20323 Estradiol 0.05 272 176 2.49
22349 Fentanyl 0.6 337 83 2.93
X1 Isosorbide dinitrate 11 236 70
1198 Nicotine 5 162 <-80 1.17
1112 Nitroglycerine 2.5 227 13.3 2.05
X2 Oxybutynine 3.9 357 57
20332 Scopolamine 0.17 303 59 1.24
X3 Tulobuterol 0.5 228 93 0.82
X4 Selegiline 6 187 <25

こうした薬が経皮でどれだけ吸収されるかは、融点が低く、分子量が小さいほど、また適度に脂溶性を示す薬物が皮膚から吸収されやすいことが、このテーブルから明らかであろうと記載してある。

これをグラフ化してみよう。横軸のDelivery rateは個人差があるためか、範囲で示してあったが、最小量の値を採用した。

分子量の効果は下図のようになった。

融点の効果、

オクタノール/水分配比率(logKow)

と思ったほどの相関は無い。これではある構造の薬を作った時にどのくらい経皮吸収されるか、構造のみから予測する事は困難であろう。そこでハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使って検討してみよう。

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標です。ヒルデブランドのSP値と異なり、溶解性を多次元のベクトルで表し、そのベクトルが似ているもの同士は溶解性が高いと判断します。”似たものは似たものを溶かす”、”似たものは似た所にいたがる”というのがHSPの基本です。このベクトルは[分散項、極性項、水素結合項]で表されます。分散項はファンデルワールスの力、極性項はダイポール・モーメントの力、水素結合項は水、アルコールなどが持つ力です。(さらに水素結合項をドナー、アクセプターに分割すると4次元になります。)


”似たものは似たものを溶かす”と言う単純な考え方で、ポリマー、医薬品などがどんな溶剤に溶けるか? 高分子の添加剤がどれだけポリマー中に居やすいか? 匂い物質が鼻の嗅覚細胞にどのくらい溶けるか? 医薬品がレセプターにどのくらい溶けるか? ガスクロやHPLCの充填剤にどのくらい溶解しやすいか? 化粧品の皮膚への溶解性は?などを理解するのに役立っています。

PirikaのHSPを計算するJAVAアプレットのデモ、HSPLightはこちらから。
最新の研究はパワーツールで紹介しています。どのような方向に進化しているのか知りたければ覗いてみてください。

Hcode(ハンセンコード)がある場合にはDBを検索するか、各薬のSmilesを用意してYMBで計算する。

HSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)

HSPを効率的に扱えるように、ハンセン先生とアボット先生がHSPiPというWindows用のソフトウエアー、データベース、電子書籍の統合パッケージを開発されました。これを使うと溶解性に関する様々な疑問に答えてくれます。もちろん材料設計は溶解性だけで決まるほど単純ではありません。そこで、Y-MBという分子を自動的に分割し、様々な物性を推算する機能が付け加えられました。Y-MBはver.4 からはY-Predictというパワーツールとしても提供されています。

概要についてはこちらをお読みください。(2013.1.22)
機能についてはWhat Newをお読みください。
自分が使いたい化合物が計算できるかは使用できる官能基のリストで確認ください。
HSPiPの購入とインストール方法をまとめてあります。
他の会社はどんな使い方をしているのか? 特許をまとめてみました

 

(画面はYMB31Eを使って分子を描き、各種物性値を一括で計算した所)

各薬のHSPベクトルが得られたらSphereを計算する。

HSPiPのバージョン3.1からハンセンの溶解球(Sphere)を探索すアルゴリズムに定量的なSphereを探索するアルゴリズムが追加されている。SphereというのはHansen先生が導いた概念で、ある溶質をよく溶解する溶媒のHSPベクトルを3次元空間にプロットすると、よく溶かすものはHSPベクトルが似ていて、3次元空間(ハンセン空間)で集まってきて球を構成する。未試験の溶媒のHSPベクトルがその球の中に入ってくるなら、それもよく溶解するだろう、という概念だ。

ハンセンの溶解球

ある溶質を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセンの溶解度パラメータを3次元空間(ハンセン空間、HSP空間)にプロットすると、溶解する溶媒は似たところに集まっている。そして、その集まっている溶媒はハンセンの溶解球と呼ばれる球を構成する。

その球の中心を溶質の溶解度パラメータと定める。球の半径を相互作用半径(R0)と呼び、半径が長いものは多くの溶媒に溶けやすく、半径の短いものは溶かす溶媒が少ない。溶解球が2個あるとして解析を行うDouble Spheresという拡張機能がV3.1.xから搭載された。

Pirikaの溶解球を見る、HTML5のアプレットはこちら。
このSphereを見るHTML5のプログラム、SphereViewerがHSPiP ver. 4からパワーツールとして提供されている。

その”良く”というのの概念が球の半径を規定する。そこで、Delivery Rateが3mg/dayの薬を堺に、それ以下のものをScore=0, それ以上をScore=1として、Score=1の薬がハンセンの溶解球の内側に入り、Score=0のものが球の外側に来るような、最小半径のSphereを求めるのがHSPiPに含まれる通常のハンセンの溶解球を決定するアルゴリズムだ。そうして求めた球は4mg吸収しようが、10mg吸収しようが球の内側であるとしてしか判断されない。そうすると、薬に官能基をつけたりして溶解性を変えたいなどと言う時に定量性ある予測ができずに困った事になる。

そこで新しいアルゴリズムが開発された。それは10mg吸収したものは4mg吸収してものより球の中心に近い所に配置されるような球を求めるアルゴリズムだ。球の中心からの距離と吸収”量”に相関をもたせた定量的な球を求めるアルゴリズムだ。(HSPiPのGAオプションの中に搭載されている。)

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

もしiPadやChrome、Safari (iPad/iPhoneのMobile Safari)、FireFox4などのHTML5対応のブラウザーをお使いなら、上にキャンバスが現れるだろう。小さな球をクリックすれば薬物が現れる。緑の大きな球が皮膚を表す。

そのアルゴリズムを使って溶解球を求め、delivery rateと相関を調べてみると以下の図のようになった。(この場合、溶解球の中心は皮膚のHSPと考えてよい事になる。)

Delivery Rateが低い領域では皮膚のHSPと薬のHSPの差、HSP距離が長くなるほどDelivery Rateが小さくなる事が分かる。HSP距離が短くなる、すなわちHSPベクトルが似てくると、”似たものは似たものを溶解する”という原理が働く。しかし上図の結果は、ある程度HSP距離が短くなれば溶解の効果は飽和に達してしまう事を示している。つまり高いDelivery Rateの所では何か他の効果によってDelivery Rateが加速される事を意味している。それは何であろうか?

そこでYMBの吐き出す様々な物性値と先に得られたHSP距離を使って、変数選択重回帰を行った。得られた結果からHSP距離の次に重要なのは化合物の表面張力であった。HSP距離と表面張力からQSAR式を構築すると下の図に示すように、そこそこの相関が得られる。(表面張力に関してはPirikaのこちらの記事を参照のこと)

表面張力はどのような役割をしているのだろうか? 表面張力の値が大きい薬ほどDeliver rateは下がる方向に働いている。つまり、logKowとは逆に脂溶性が高いものほど表面張力の値が小さくなり皮膚との接触性が変わるのかもしれない。

接触が良くなれば後は溶解度で効いてくると理解すればいいのだろうか?

論文にあったDeliver rateの値は個人差があるためか範囲で指定してある。QSARの計算では一番小さな値を採用したが、図中のエラーバーに示すように、個人差はかなり大きい。こうした個人差を理解する上で、被験者の皮膚の表面張力を是非とも測定して頂きたいものだ。

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