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FFE(Formulating for Efficacy)

2011.11.20

FFEは経皮のドラッグデリバリーシステム(DDS)を取り扱うソフトウエアーだ。化粧品、経皮医薬品の処方設計(Formulating)する。どんな処方にしたときに効き目(Efficancy)が最大になるかを検討するのに役立つ。Prof. Dr. Johann W. Wiechers(オランダ)とProf. Dr. Steven Abbott(イギリス)によって開発された。 Johann教授はIFSCC(International Federation of Societies of Cosmetic Chemists )、国際化粧品技術者会 の2007年会長だ。Abbott教授はHSPiPをハンセン先生と開発された教授だ。残念なことにProf. Dr. Johann W. Wiechersは2011.11.6亡くなられた。FFEについては、プログラムの開発、バージョンアップについてはAbbott教授(溶解度パラメータ、物性推算に関する部分については自分も協力する)がこれまで通り行う。Johann教授のやってきたSkin Scientist としての役割は、Dr Majella LaneとProfessor Jonathan Hadgraftが代行してくれることになった。ふたりとも著名なSkin ScientistでJohannが行うはずだった学会発表も代理で発表する。

考え方の基本はハンセンの溶解度パラメータ(HSP)だ。HSPは”似たものは似たものに溶ける”という簡単な原理で様々な化学物質の溶解性を考慮することができる。ある医薬品を皮膚を介して体内に吸収させることを考えたときに、医薬品の効果(Efficancy)を最大に設計(Formulating)するために考えだされたのがFFEというソフトウエアーだ。湿布薬のようなものを考えてみよう。コンピュータばかりやっていると肩がこる。肩こりの薬はどのようなものに溶解するのだろうか? 湿布薬は、まず、イブプロフェンのような消炎鎮痛剤をバップ材に混ぜこねる。このパップというのは粥状、泥状という意味だ。このパップ剤は水を多く含む。医薬品がこのパップ剤にどのくらいよく溶けるかがHSPからわかれば、どんなパップ剤を使えばよいかの重要な指標になる。しかし、もしパップ剤に対する溶解性が皮膚よりもものすごく良かったら湿布を貼っても薬は体内に移行しないだろう。パップ剤と皮膚との溶解性のバランスが重要になる。このようなドラッグデリバリーシステム(DDS)を設計するするツールがFFEだ。プラスター剤のようなプラスティックのフィルムを使う場合も同様だ。 ただし、先生たちはDDSとは言わない。化粧品の有効成分のデリバリー(Cosmetic Actives Delivery) CAD と呼んでいる。

こちらの製品に関しては、日本でのサポートをアボット先生にお願いされている。とは言っても、自分が確実にサポートできるのは溶解度パラメータの部分だけだ。内容が込み入った化粧品のことになるのであれば、先生への橋渡し(英語が得意であるのなら直接メールのやりとりをしたほうが良い)のお手伝いをさせていただこうと思う。

FFEの製品概要

Prof. Dr. Johann W. WiechersのHPの製品概要を Johannに許可を得て日本語に翻訳した。どのような事ができるか、知りたい場合に参照して頂きたい。

経皮吸収型ドラッグデリバリーシステム(TDDS: Transdermal Drug Delivery System):気管支ぜんそく薬など胸にパッチをあてて薬を経皮で送り込むシステムにHSPがどのように役に立つか検証してみた。HSPだけでなく表面張力も大事という意外な結果になった。

アセトアミノフェンの定量的溶解性:Paracetamolは解熱鎮痛薬の一つで、軽い発熱や頭痛などに用いられる医薬品だ。 これがどのような溶媒にどのくらい溶けるかをHSPを使って定量的に解析を行った。アセトアミノフェンと特異的に相互作用する溶媒があることがわかった。

共結晶形成剤:インドメタシンと共結晶を作る共結晶形成剤について。HSPが似ている形成剤は共結晶を作りやすい。融点を低下させる特徴は、分極項(dP)からくる事が示唆された。自由混合ではない、結晶中ではdP項は反発を意味して融点を低下させているようだ。

化合物の皮膚透過速度:ある化合物がそのくらい皮膚を透過しやすいか? は経皮吸収薬を設計する上で非常に重要だ。意外な事に分子の大きさは余り効いていない。重要なのは皮膚のHSPと化合物のHSPの距離であった。次に重要なのはどんなパラメータであろうか?

カプサイシンのハンセン溶解度パラメータ

最近の湿布薬には唐辛子のカプサイシンが混ぜられ、温感タイプとして販売されている。唐辛子などの辛みはTRPV1というレセプターによって認識されている。そのレセプターのHSPを考察してみた。

うさぎの経皮LD50

経皮毒性に関してはうさぎのデータが最も多い。経皮毒性と経口毒性の差を考える事によって、医薬品の経皮透過性を考えてみた。

液液抽出

液液抽出の溶媒が非極性であれば、分配係数は溶質と非極性溶媒のHSP距離で整理できそうである。しかし、抽出溶媒が、クロロホルム、ジエチルエーテル、オクタノールと極性を持ってくると、分配係数とHSP距離の相関はなくなる。クロマトグラフィーでカラムの極性が低いODS-カラムを用いた場合、ヘキサンを用いた液液抽出と同様で、クロマトの保持時間とHSP距離の間に相関が生まれる。皮膚への分配も重要な知見を与える。

オクタノール-水分配比率(logP,logKow)と溶解度パラメータ

ハンセン溶解度パラメータ(HSP)とオクタノール/水分配係数(logP, logKow):医薬品や界面活性剤、リポソーム、いろいろなところでlogPの値が使われている。生体脂質と水で化学品がどう分配するかを知る上で重要な指標だ。しかし、この値は、あくまでも比率で、100/100でも0.01/0.01でも同じ値になってしまう。分子設計が必要ならlogPに加え、ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を併用することの重要さを説明する。

アレルゲン

アレルギー性物質の溶解性。様々な食品、化粧品でアレルゲンを除去、低減したものが開発されている。化粧品のアレルゲンの一覧を入手した。似たものは似たものを溶かすというハンセンの溶解度パラメータの考え方からすれば、あるアレルゲンは、そのHSPベクトルが似たレセプターに溶解する。各アレルゲンのHSPを決めてみた。そしてそのHSPをSOMを使って自己組織化し、似たHSPをもつアレルゲンはどんな特徴を持つのか解析した。

電子書籍の要約版(マックによる機械要約)

Chapter 14 Skin deep (HSP and Skin Absorption) e-Book: 第14章 お肌の奥深く

 ある化学品が肌にどれだけ深く浸透するかを知る事は重要だ。肌のHSPをもとに予測を試みる。

Chapter 16 It’s your call (Rational Selection of Chemical Protective Gloves) e-Book: 第16章 あなたが決めてください

 非常に高い細胞毒性のある薬を安全に扱うことを事のできる手袋を病院のスタッフに推薦するとしたらどれを勧めますか?

Chapter 23 Attacking DNA (HSP for DNA , Drugs, and Biological Membranes Compared) e-Book: 第23章 DNAへの攻撃

 化合物の毒性は作用機構によって全く異なる。しかし、(例えば経皮毒性は)化合物が細胞膜にとけ込んでDNAにたどり着く必要があるので、そうした場合にはHSPが重要になってくる。

Chapter 24 HSP for Pharma and Cosmetic applications e-Book: 第24章 医薬品と化粧品への応用

医薬品や化粧品成分のHSPを知れば、それらのDNA、皮膚などのとの一般的な生体適合性を、合理的にとことんまで考えることができる。 溶液中で重要な成分を保持するとか、望むのであれば、ある成分だけが素早く蒸発するとか、例えば、表面に濃縮するとかを理解するのに役立つ。


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