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悲しき酒(片々草抜粋)

 

 

 

 

 

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02-Jan-2013

同 期 会

 昔、新入社員の入社合宿教育を担当したことがある。その連中が入社二十年になったからという記念の同期会に招ばれた。あの(紅顔の美?)少年達がもう四十歳になるという。

 日石ドライブ観光N・F君の肝いりでゴルフを含めた一泊旅行。一行二十名ゴルフ組はひと足先にプレイして、観光組と旅館(伊豆高原・花吹雪)で合流。札幌・大阪からも仲間が駆けつける。

 六時半、観光組を交えて開宴ーーー。参加直前にバイク事故で足を骨折して参加できなくなった札幌K・Y君から無念の電報。「・・・ニネンガカリノキカクヲ ニネンゴシデ タノシミニシテイマシタガ ミンナノ マエヤクヲ マトメテヒキウケテシマイマシタ」・・・後は、お定まりの入り乱れての終りなき宴会・・・席を移して二次会・三次会・・・。

 翌朝は大変な吹き降り、同室のY・A氏のイビキに悩まされ、六時に起きだして離れの檜風呂へーーー。既にM・S君が入っていて、二人で昨夜(今朝?)の武勇・回顧・反省談。 ”お先に・・・”とS君が出て行った後玄関に出たら、脱ぎ捨てていた下駄が、さりげなく ”出舟”に揃えてあった。

 そのまま幹事の部屋でだべっていたら、昨晩所用で参加できなかったT・K君が、風雨の中四時起きで ”せめて皆と朝飯だけでも・・・”と駆けつけてくる。マイカーでは酒も飲めないのに・・・、と皆朝酒に酔った顔で感激しながら、夫々が持参した各土地自慢の名物を出し合っての朝食。
 午前十時。全員五年後の再会を約束して五台の車に分乗して流れ解散。雨の中を夫々の方向に消えていった。

 日石の先端に拡がっているこのようなインフォーマルな人間関係が、日石一朝ことあるときの底力になる。皆、臨時の出費はちょっと嵩んだけれど、そこはそれ、 ”男の美学?”いや、”男のやせがまん”でサリゲなく・・・。
 何はともあれ、幹事さん、ご苦労様でした。

        セフティーネット

 プロの写真家の仕事に立ち会った。動かない被写体だが、必要な資料の一枚の写真のために、慎重を期して何回も何回もシャッターを押す。ところがこのカメラマン、ある枚数を撮ったら、途中でフィルムを抜き出し封印して、別のフイルムで同じ動かない資料を撮り始めた。万一このフィルムを失くしたら、光線が入っていたら?。一本がパーである。
 多分起りえないことだけど、絶対に起こらないとは限らない。万一に備えて予めは無駄と思える、多分無駄となる全く別のスペアーを準備しておく慎重さ。

 アメリカでは、万一の事故のために、大統領と副大統領は一緒の飛行機には乗らない。その上、大統領に事故あるときは、副大統領、それも駄目な時は・・・と、十四番目までの継承者が決められているのだと言う。

          タ ク シ ー

 個人タクシーの運転手との会話。
 ”このところ燃料費が安くなって助かるでしょう?”
 ”はあ、お陰さまでー。
 ”個人タクシーだったら、毎日働いた分だけ現金が入って来るんだし、働く場所も、時間も、休みも自分で自由に決められるしねえ”。
 ”そりゃあ、前に雇われていた時よりずっといいですよ。ーーーだけど、お客さん、実はそれなりに悩みがありましてねえ”。
 ”フン、フン”
 ”以前は、売り上げの中から適当に小遣いを浮かしてうまくやっていたんですがね、。最近それがカミさんにばれましてネ。それ以来カミさんが表を作って,帰宅したときのメーターと売り上げを毎日チェックするんですよ。いやあ、身内にゼイムショが居るようなもんで、こりゃあ切ないですよ”。

(87・S・62・8)