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2022.8.1

関西大学、山本秀樹教授がハンセン溶解度パラメータの推算法を自称している件について

関西大学の山本秀樹教授が、ハンセン溶解度パラメータの推算法を自称し始めたのは、先に述べたアミノ酸の計算が初めてではありません。

佐藤 隆志
2015-03-31
関西大学
学位授与番号 34416甲第569号
学位論文で、 「このようにして得られたその他の環状有機化合物のデータを蓄積して解析することで、Hansen 溶解度パラメータの推算方法の一つである分子グループ寄与法(van Krevelen & Hoftyzer 法)を改良した。その結果、環状有機化合物のHansen 溶解度パラメー タを現在報告されているグループ寄与法よりも高精度で推算することが可能にした。」
と記載しています。

2015年には「自称-ハンセン溶解度パラメータ」推算式を作っていたことになります。

関西大学の研究者は、2015年あたりに報告されているグループ寄与法として、Stefanis & Panayiotou 法(S-P法)を挙げて、自分らの推算法は既存の物より優れていたと主張しています。

佐藤氏は、どのHSPiPを使ったのでしょうか?
学位論文にはバージョンは記載されていません。

HSPiPのバージョンは次のようになっています。


Ver.1 2008年11月販売開始
Ver.2 2009年3月 Y-MB搭載 Smilesの構造式から原子団に分割
Ver.3.0.02  2010年2月 (マイナーVer. 3.0.03-38)
Ver.3.1.03 2010年12月 (マイナーVer. 3.1.04-26) 10KDB
Ver.4.0.03   2013年1月 (マイナーVer. 4.0.04-08) Y-MB3.5 低分子物性推算機能
Ver.4.1.03  2013年8月 (マイナーVer. 4.1.04-07) Windows 10以前のOSで動く 以降はWindows 10のみサポート

Ver.5.0.03 2015年11月 (マイナーVer. 5.0.04-13) QSAR機能
Ver.5.1.02  2018年11月(マイナーVer. 5.1.02-08)
Ver.5.2.02  2019年8月 (マイナーVer. ) YPB2019
Ver.5.3.02 2020年6月 (マイナーVer. )

関西大学、山本秀樹教授は2012年にHSPiPを購入しています。
従って、佐藤氏の使っていたHSPiPは ver.4.0かver.4.1だったと思われます。

ver.4.0からはY-MB3.5が搭載されており、環状有機化合物の原子団も拡充され、HSPiPを利用すれば精度高くHSP値は推算できるようになっていました。

そして、敢えて、Y-MBと比較するのではなく、古く、更新されていない、Stefanis & Panayiotou 法を比較対象に選び、それよりも精度が高いと主張しています。

そして、公式ソフトウエアーHSPiPとは異なる値を算出する方法を「ハンセンの溶解度パラメータ」推算法と自称し始めました。

自分達の目的に合致するパラメータを作り出したいなら、何故、関西大学版-3次元溶解度パラメータを名乗らないのでしょうか?

著名で、世界的に評価の高い「ハンセンの溶解度パラメータ」を自称する事によって、HSPの名声にタダのりするためでしょうか?

それとも、HSPiPを購入できない所に、無償で提供できるようにするためでしょうか?

JKU-HSPを関西大学、山本秀樹教授に使わせて貰えば、HSPiPを購入しなくても同等の結果を得られると考える企業もあるかもしれません。(実際にHSPiPを購入せずにハンセンの溶解度パラメータ研究を名乗っている会社もあります。)

自称は、どこまで行っても自称であって、どんなに良い研究をしても疑われるだけなことは先にも触れました。

同じ化合物に公式ソフトウエアーの値と自称-HSPの2種類が存在するのですから疑われて当たり前です。
公式値より都合がよければ、パラメータをいじったと言われるだけですし、どちらの値とも書かなければ、両方のうち都合の良いものを選択していると言われるだけです。

学位研究として、なんの役にも立たない、恣意的な数値を「自称-ハンセンの溶解度パラメータ」と呼び、HSPに混乱を与える事をどう考えているのでしょうか?


このように2015年に行われていた、恣意的な値を計算する「自称-HSP」推算法は、先に述べたアミノ酸の計算へ拡張されています。

山本秀樹教授の行っている、セミナーのタイトルを見ると現在も精力的に拡張しているようです。

14.HSP値計算ソフトHSPiPプログラムおよびJKU-HSPプログラム
14.1 HSPiPプログラムの紹介
14.2 JKU-HSPプログラムの紹介
14.3 JKU-HSPプログラムの新しいパラメータの開発状況
14.4 JKU-HSPプログラムの推算精度と応用
14.5 HSPiPプログラムの応用

6.10 JKU-HSPプログラム2018(関西大学)と各種計算例
6.11 関西大学HSPプログラム2021(関西大学)と各種計算例

しかし、どう拡張しても、恣意的な値を計算するだけの「自称-HSP」推算法以上にはなれません。

また、セミナーではHSPiPに関しても色々話しているようですが、関西大学、山本秀樹教授は単なるHSPiPの1ユーザーであって、HSPiPの中身について、何を知っているわけでもありません。中身を知らずに、私の作った機能をどう説明しているか、一度セミナーを聞いてみたいものです。

関西大学の、山本秀樹教授は、この「自称-ハンセンの溶解度パラメータ」の推定方法の特許も出願しています。

特開2018-173336 ハンセン溶解度指数の推定方法


ハンセンの溶解度パラメータは、ハンセン先生の分割ポリシーによって、蒸発のエネルギーを、分散項、分極項、水素結合項へ分割したものです。

「ハンセン先生の分割ポリシーを推定する方法を発明した」と言う事でしょうか?
そして、「ハンセン先生の分割ポリシーの結果出てくるハンセンの溶解度パラメータ」を独占する権利を得ようと言う事でしょうか?

私は、2008年からハンセン先生と一緒に研究していますが、未だに先生の分割ポリシーについて質問させていただくことが多いです。

一度もハンセン先生にお会いしたこともなく、話したこともない、関西大学の山本秀樹教授が、ハンセン先生の頭の中を推定する特許を書いたことを知ったら、ハンセン先生はどう思われるでしょうか?

研究者としてやっていいことを逸脱していると思うのは私だけでしょうか?

これも、学位論文とほぼ同じ内容なので、中身的には恣意的な数値を「ハンセンの溶解度パラメータ」と呼んでいるだけのものです。

そのような計算方法は、タダで使わせてもらったとしても価値はありません。
なんの信用も信頼もない自称パラメータを使うことが、企業の名誉につながるかをよく考えて頂きたいと思います。

反論も含め、ご意見をお待ちしています。

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HSP推算法を自称するために、自称を重ねる。


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