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02-Jan-2013

5月の終わり頃からこのページがアクセス数トップに躍り出ている。全日本梅酒協会のホームページからリンクでもされたのだろうか?

2004.2.22

うちの梅の木は去年ここに引っ越してきた時におやじ様からもらったものだ。ちょうど梅の実がなっている5月ぐらいに植え替えたので実は全部落ちてしまった。新しい葉っぱもほとんど出てこなかったのでちゃんと根がつかなかったのではないかと心配していた。葉っぱも無い枝にモズがとかげを刺していくし受難続きの梅も2月になると立派に花が咲いた。

この梅の木は紅梅と白梅が一つの木に咲く。太めの枝が3本の3本仕立てというものになっているらしいがそのうち2本は白梅、1本は紅梅が咲く。先日新聞の花の欄で”思いのままに”という梅の種類があって、それは八重咲きで一つの木に紅梅と白梅が咲いたり、一つの花で赤白が混じったりもするという記載があった。思いのままとは何としゃれたネーミングだろうか。うちのは八重咲きではないけど思いのままという品種であると認定する。この梅は匂いもほのかに甘く早春を飾るにはうってつけの花である。

 しかも、この梅は実がなる! いままでは鉢植えだったので実は大きくなる前にみな落ちてしまったらしい。地植えになったらどうか愉しみである。自分はかれこれ20年近く梅酒を作ってきた。この梅酒というのは実に化学なのである。この化学を駆使して作った梅酒は実に美味しい。いろいろ細かいことはあるが化学に限って紹介すると、梅酒つくりは浸透圧をものすごく上手に使う。まず、梅の実とアルコールと氷砂糖が合わさると、梅の実の中が一番濃いのでアルコールは浸透圧で梅の中に入り込む。梅の実はパンパンに膨れ上がる。そしてそのアルコールは梅のエキスを良く溶解する。そのうちに外では氷砂糖が溶けてくる。そうすると外が濃くなる。すると今度は梅の中からエキスを溶解したアルコールが外に出てくる。梅の実はしわしわになる。そうしたら梅の実は出してしまう。(そのままにしておくとまた膨れてしまう。)こうすることによってアルコールにしか溶けない(多分)分子量の大きい香成分、味成分が溶け出てくる。しかし外の液体はアルコール分が少ないので分子量の大きいものは溶けきらずに沈澱する場合もある。この沈澱が出切った辺りから飲み頃である。寒い時期のお湯割りは格別である。あっためる事によって分子量の大きな香成分が蒸発して何とも言えないいい香りがする。味もふくよかさが格別である。インターネットがいくら発達してもこの味と薫りはまだ当分伝えきれないだろうな。我が家へのお客さまだけが味わう事ができる逸品だ。これを目当てに訪れるお客もいるくらいだ。

 最近の作り方を見ていると(読んでいると)梅の実にようじで穴をあけなさいとか書いてある。言語道断である。そんな事をしたら浸透圧は作用しなくなる。いきなり梅の水分がざーっと出てしわしわになって終わりである。エキスはしわしわの中に閉じ込められてしまう。氷砂糖の代わりに白砂糖を使いなさいというのもメーカーの陰謀である。白砂糖を使った場合にはすぐにアルコールに溶けて外の濃度が高くなってしまいアルコールは梅の中に移らない。これをまもったからってすぐに美味しい梅酒が作れるわけではない。配合処方とか細かい事は20年間のノウハウでこれは企業秘密である。

 思いのままに梅酒を作るにはスローフードに徹するしか無い。

2004.4

おやじ様が来て曰く、「なんだこの梅は実がなっていないじゃ無いか。」「えーそうなの?」「今の時期に実が付いていなければダメだよ。来年に期待しな。」

もしかして琵琶の木と同じくうちにはメスは生まれない???

2004.6

今年も一杯梅酒と梅のジュースを作る。梅は今年はどこも不作なのかな? 余り値段が下がらずに高いし、しかもちょっと熟れ過ぎ。