2026.9.8
[HSPiPに搭載されている分割法]
δHの酸、塩基性分割
HSPiP ver. 3.1から搭載(2010年)
δH2 =δHacid2 +δHbase2 トータルの蒸発潜熱と矛盾しない
δHAcid : δHBase=Abraham-acid : Abraham-base 比率をAbrahamのものと揃える
初期のδHAcid、δHBaseはδHを、YMBで推算したAbraham-acid、Abraham-baseを用いて分割した。(ver.4.7まで)
現在はδHAcid、δHBaseは直接YMBを用いて推算している。(ver. 5から)
[経緯]
HSPiPで呼ぶドナー/アクセプターはプロトンのドナー/アクセプター、つまり、Acid/Baseになる。
HSPiPの中ではδHD、δHAと記載されているがδHAcidとδHBaseと説明する。
デンマークの化学者、ブレンステッド(Brønsted)の定義した酸、塩基はプロトンを与えるか(酸)、プロトンを受け取るか(塩基)だ。与えるを英語にするとDonor, 受け取るを英語にするとAcceptorなので、HSPiPの表記も間違いではない。
ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)の問題点として、酸性/塩基性顔料などの分散性がHSPでは合わないといった指摘があった。
そこで、水素結合項をAcid/Baseに分割する、試験的な試みが開始された。多くの時間が費やされたが、HSPの距離の取り方、類似度の計算方法など問題が多く残り、一部は宿題になっている。
基本式はトータルの蒸発潜熱と矛盾しないように、
dH2 =dHacid2 +dHbase2 式(1)
を満足する、dHacid:酸性項、dHbase:塩基性項を計算する。
その際のAcid/Baseーの比率については、UCL(University College London)
Abraham教授のAcid/Base値を利用し、
dHAcid:dHBase=Abraham-a:Abraham-b 式(2)
比率が同じになるように設定する。
古いやり方では、このように式(1)が成立した。
ところが、dHとAbraham-a、Abraham-bの3つを推算して、分割比率を決めるのでは誤差が大きくなる。そこで、dHacidとdHbasicを直接推算するように変更した。そこで現在では式(1)は成立しない。
Abraham教授のパラメータを利用している以上、dHacid:酸性項、dHbase:塩基性項にしかならない。
式(1)と式(2)を満足するようにdHacid,dHbaseを決定する機能をY−MBに搭載した。
HSPiPのV.3.1.Xから利用できる。
[問題点]
ブレンステッドの酸塩基
酸:相手に水素イオン(H⁺)を与える物質(プロトン供与体)
塩基:相手から水素イオン(H⁺)を受け取る物質(プロトン受容体)
ただし、例え塩基に分類される化合物でも、自分自身より強い塩基が来たら酸となってプロトンを供与する。相対的なものである。ヘテロ原子を持ちBipolarなアルコール、アミン、カルボン酸以外はプロトン受容体になる。
Apolar(無極性)
炭化水素(ヘキサンなど)
四塩化炭素
Monopolar (H-donor)酸
クロロホルム
HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)
2,3,4-トリクロロフェノール
Monopolar(H-Acceptor)塩基
ケトン、エステル、エーテル、アルデヒド、カーボネートなど
Bipolar(両極性)
水、アルコール、フェノール、
アミン、カルボン酸、アミド
Abraham教授の定義はブレンステッドの酸塩基になる。そこでアルコール、アミン、カルボン酸化合物のδHD(プロトン供与性)はゼロになり、δHA(プロトン受容性)はδHそのものになる。
[3Dから4Dにしても効果がない]
水素結合項をHSPiPに搭載の方法でδHD,δHAに分割する。4次元のHSPのうちδD,δHD,δHAの3軸を選び3次元表示する。ブレンステッドの酸塩基の定義ではアルコール、カルボン酸、アミン以外はδHDがゼロで壁に張り付いてしまう。
3D-HSPのδHは実は水素結合項ではなく、水素結合とそれ以外の相互作用エネルギーを全て含んだものになる。壁に張り付くことなく良好に溶解性試験の結果を表現できる。
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