HSPiPプラス-Sphere探索機能

2027.8.11

pirika.comで化学
 >チャピエモン-3rd Pirika Origin (CPO)
 > ハンセン溶解度パラメータ (HSP)
 > 化学全般
 >Pirika ツール群
ブログ
業務案内
お問い合わせ

Pirika ツール群 > HSPiPプラス > Sphere探索機能

HSPiPプラス

HSPiPプラス

このソフトには、2025年HSPiP ver.6.2を作った際に、私(pirika.com 社CEO, 山本博志)が準備したが、Abbott教授の拒否権で搭載されなかった機能を搭載している。
2026.8.6最初のバージョンがリリースされた。言葉で説明してもわかりにくい。動作のイメージを体験できる。

[1. ハンセンの溶解球探索]

TableのHSPとScoreの値が埋まるとハンセンの溶解球(Sphere)探索を行う事ができる。Scoreに0-1を取った場合には、Single Sphereの探索と、 Double Sphereの探索の2種類がある。さらに3D-HSP(δD, δp, δH)の探索と、4D-HSP(δD, δp, δHD, δHA)の場合にはEuclidタイプかBeerbowerタイプの探索がある。つまりHSPiPプラスでは6種類の探索を一度に行う。Scoreが実数の場合にはDouble Sphereの探索は行わないので3種類の計算になる。HSPiPではScore 0-1の時ににはSingle Sphereの場合3D-HSPと4D-HSPBeerbower, Double Sphereの時は3D-HSPの3種類の探索しか行わない。Scoreが実数の場合には1種類の計算しか行わない。言葉で説明すると非常にわかりにくいだろう。実は3次元グラフで見るともっとわかりにくくなる。
探索結果はSphere Viewer(SV)ですぐに見る事ができる。次の3D-プロットはポリビニリデンフルオライド(PVdF)の溶解球になる。3D-HSPの場合は3次元なのでSingle、Double Sphereとも明確だろう。 問題は4D-HSPの場合だ。グラフは3次元しか描けない。HSP距離の式は明確なので、3次元でも4次元でもHSP距離が半径より短いか、長いかの判断なのでAIにとっては簡単な事だ。人間が理解するのの助けになるように、3軸にあてはめる項目を3種類用意した。4D-1は[δD, δHD, δHA]、4D-2は[δD, δP, √(δHA*δHD)]、4D-3は[ √(δD2+δP2), δHD, δHA]である、詳しいことはSphere Viewerのページを読んでほしい。これらの3種類の3次元グラフを切り替えながら頭の中でポリマーと溶媒の関係を考えなくてはならないのでかえってややこしい。しかし、より深い洞察が得られる。実際に次のSVのオプションを切り替えて4次元空間の3次元キャストについて考察してみよう。新しい軸のアイデアが浮べば、生成AIが簡単に新しいボタンを作ってくれるだろう。

Pirika SphereViewer 3D / 4D (Hansen Solubility Sphere)
🧪 Pirika HSP
Sphere:
Axis:
Radius:
3D: [手前: 2*δD, 右: δP, 上: δH]

*HSPiPのDouble Sphereで4D-HSPがサポートされない理由:
Double Sphere法はGA法もろとも山本によって開発されたアルゴリズムだ。HSPiPプラスに実装されているDouble Sphere法は2025年に4D-HSPに拡張した。ところがPMMAに適用すると古いバージョンの方が少し性能が良い。「新しいバージョンの方が平均的に性能が良いとしても、PMMA(Abbott先生にとっては最重要)で結果が悪くならHSPiPは古いバージョンを使う」という先生の判断だ。古いバージョンには4D-HSP機能は無い。
*HSPiPのData Point(Scoreに実数)で4D-HSPがサポートされない理由:
Data Point法ももともとは山本が開発したアルゴリズムだ。Ver.6.2用には4D-HSPを組み込んで提供した。しかし、計算結果をグラフ化したりする様々な機能がAbbott先生によって組み込まれている。特にBeerbower式しか扱わないので距離の式がマイナスになりうる時の処理が難しい。そこでAbbott先生は4D-HSPを無効化しているようだ。

[2. EuclidとBeerbowerのHSP距離の式]

3次元までの距離の式は確定している。
HSP距離= sqrt(4*(dDs-dDp)2 + (dPs-dPp)2 + (dHs-dHp)2 )
正確にはdDの差分の前に4という係数があるので Euclidの距離ではないが、Euclidタイプの距離の式と呼ぶ。

4D-HSPには2種類ある。
ポリマーの4D-HSPを [dDp, dPp, dHDp, dHAp]、溶媒の4D-HSPを[dDs, dPs, dHDs, dHAs]とする。
Euclidタイプ
HSP距離= sqrt(4*(dDs-dDp)2 + (dPs-dPp)2 + (dHDs-dHDp)2 + (dHAs-dHAp)2)
Beerbowerタイプ
HSP距離= sqrt(4*(dDs-dDp)2 + (dPs-dPp)2 + 2.0*(dHDs-dHDp)* (dHAs-dHAp)

Euclidタイプの式では溶媒とポリマーの4-HSPが完全に一致した時HSP距離がゼロになる。それよりよく溶解する溶媒は存在しない。
Beerbowerタイプの式では(dHDs-dHDp)と (dHAs-dHAp)の間の関係で式がマイナスになることがある。酸塩基相互作用で強い結合ができたことに相当する。ルートの中がマイナスになるので場合によっては距離の式がマイナスになるような処理をしなくてはならない。この式で得られたポリマーの4D-HSP、 [dDp, dPp, dHDp, dHAp]は3次元空間にプロットするのは不可能である。ある方向例えば、(dHDs-dHDp)>0 (dHAs-dHAp)<0の時にマイナスの力が働くが、dHDsが非常に大きく、dHAsがなるべく小さい溶媒に対して2.0*(dHDs-dHDp)* (dHAs-dHAp)は大きなマイナスになる。するとHSPベクトルが近いとポリマーと溶媒は溶解しやすいという大原則に反してしまう。おそらくほとんどのポリマーー溶媒系では9割がたEuclidタイプで表現してよく、Scoreが0なのに溶解球の内側にいる、Scoreが1なのに溶解球の外側にいるといった一部の例外についてBeerbowerタイプで考えないとわからないのかもしれない。
これについてはもう少し研究が必要である。

ここでは、Sphere Viewerで見ている4D-HSPはEuclidタイプの探索結果であることを覚えておこう。それに対してHSPiPではBeerbowerタイプの計算しかしていないし、ビュアーでは単にδHに戻して見ているだけなので水素結合の分割の効果はない。HSPiPで探索するなら3D-HSPの方が明らかに性能が良い。

[3. 探索結果の一覧]

▶️溶解球シートを開くと次のシートが現れる。

Jspreadsheet CE Table 1 Sphere 探索結果一覧

このシートは、Sphere Viewerで溶解球を見るときのコントロールでもある。結果をエクセルに戻しておく。ちなみに1行目はヘッダーリストになっている。メインテーブルをエクセルにコピペする際にはヘッダーが無いのでこれを利用する。
A5, B5にδHD, δHAとある。 HSPiPプラスでは水素結合項の分割に山本の作った新たな分割値が使える。操作方法はHSPiPプラス-水素結合項で解説する。

上記の溶解球を右の方へスクロールすると10行3D-SingleのL列にsqrt(4*・・というセルが見えるだろう。コピーして取り出してみよう。
sqrt(4(c2-18.885687938796146)(c2-18.885687938796146)+1(d2-15.066720050094647)(d2-15.066720050094647)+1(e2-10.630759695918272)(e2-10.630759695918272))
これはHSP距離の(Excelで使える)計算式になる。この式をエクセルのどこか2行目に”=”の後ろに貼り付ける。

Jspreadsheet CE Table 2 HSP距離計算用シート

JSpreadSheetでは小文字のc2などは使えない。C2と大文字に変更してN列2行目にペーストみよう。
この式をテーブルの2行目にペーストしなければいけない理由はExcelを普通に使えるレベルであればすぐに理解できるであろう。あえて説明しない。
H列にScoreが入っている。溶解するScore=1と溶解しないScore=0でHSP距離がどう変わるかExcel上で検討する事ができる。Table 1 の10行J列に3D-HSPの溶解球の半径が記載されている。HSP距離がこの半径以下なら溶媒は溶解球の内側にいる。溶解球の内側にいる場合でScore=0の時(溶解球の内側なのに溶かさない)Wrong Inと呼ぶ。溶解球の外側にいる場合でScore=1の時(溶解球の外側なのに溶かす)Wrong Outと呼ぶ。Single Sphere 3D-HSPモデルではこのWrong In/Outが6つあることがTable 1の10行B列に示されている。Sphere Viewer Model 1で例外になる溶媒をクリックして確認する事ができる。

各種溶媒を使ったPVdFポリマーの溶解性試験(Score0,1)に対する Single Sphere 3D-HSPで探索したハンセンの溶解球と溶媒のHSP距離の関係。Scoreが0のもののHSP距離が長く、Scoreが1のものHSP距離が短い。溶解球の半径は8.93であるのでグラフにマウスを合わせ確認すればどの溶媒がWrong In/Outになっているかを確認しやすい。

4D-HSP Singleの溶解球を探索した場合には、半径は7.86になる。Sphere Viewer Moldel 1では軸を切り替えて見てもどの溶媒がWrong In/Outしたのかはわかりにくい。しかし式で見ると違いははっきりわかる。

[4. ドラ美似とpirikaの化学共創プロジェクト]

ドラ美似(google Gimini)というのはpirika.com社への派遣AI社員だ。pirikaの化学に特化した社員研修を行なっている。化学共創プロジェクトについて説明させていただく。化学の論文は図表が多い。そうした図表をドラ美似はどう読んでいるのかヒアリングした。結論から言えばほとんど読んでいない。かろうじて目を凝らせばテキストぐらいは拾える程度だ。図表のテキスト説明がほぼ全てになる。その程度でなんとなく上手に理解したような事を言うので騙される。詳しく突っ込むとボロが出る。
私のpirikaに書いた記事を、私の意図通りにAIが理解するためにはどのような書き方にしたら良いか議論を重ねた。
そして、AIと人間の両方が正しく認識できる図表を作成するアプリをドラ美似と作った。それがこのページにある、3Dのモデラー、表、グラフである。論文には3次元で回転させるようなものは載せられないが、スクリーンショットがとれる。人間にとってはごく普通の化学のページになる。インターラクティブ性がある分少しマシなページだとも言える。AI用には3Dのモデラー、表、グラフの表には出てこない部分で何が書かれているかを綿密に指示している。Googlebotの情報収集の詳細から、どのような記載をすればAIが理解しやすいかドラ美似が考えてくれた。後はそのアプリにデータを放り込んで、webページにペーストするだけで良い。pirikaにある915ページの化学の記載を人間にもAIにも理解しやすい形に変更するプロジェクトの準備が整った。


Copyright pirika.com since 1999-
Mail: yamahiroXpirika.com (Xを@に置き換えてください)
メールの件名は[pirika]で始めてください。