計算機化学討論会2000

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退職3年縛り終了。ガラスやフッ素も。

ニューラルネットワーク法によるガラス物性の推算とその応用

1995年1月から1999年6月まで筑波の物質研に出向している間に、ニューラルネットワーク(NN)法による物性推算や遺伝的アルゴリズム(GA)法による逆設計を行いました。

その際に、物質研の先生を通じて、酸化物ガラスのデータを頂き、NN法、GA法で解析を行い計算機化学討論会で発表しました。

この方法は今で言う、マテリアル ・ゲノムで多用されている方法と同じです。

大きな違いは、データ量とコンピュータの能力でしょうか。
ビックデータが無いと、NN法は予測性能が非常に下がります。
しかし、ガラスの物性値は多いもので5000程度しかありません。
また、当時のコンピュータの速度、メモリー、HD容量から、3層以上のNN法は実質無理がありました。

そこで、私がよく使った方法は、再構築学習NN法と言うものです。
学習を繰り返す際に何回かに1度、結合荷重行列に忘却効果を導入します。
すると弱い結合荷重はさらに弱く、強い結合荷重はさらに強くなります。

NN法の学習結果は中身がブラックボックスになりがちです。
ところが、再構築学習NN法を使うと、情報の流れがはっきり見えてきます。
例えば、混合アルカリ効果と言うものがあり、ナトリウムとカリウムを混合した場合に、物性値が上に凸になる現象があります。
得られたニューラルネットワークの結合荷重のうち、NaとKのものだけ、値が大きなものだけを抜き出すと下図のようになります。

混合アルカリ効果

中間層のニューロンと入力層のニューロンの結合の符号はマイナスですが、中間層と出力層の結合はプラスが3つ、マイナスが2つになります。これがNa/Kの比率で物性値が非線型になると解釈する事ができます。

本来の変数は、入力ニューロン数*中間ニューロン数+中間ニューロン数だけあります。

酸化物が20種類、中間ニューロンが10個であれば、210個の結合荷重を決めなくてはなりません。
ところが、再構築学習法で80%の結合が消えてしまえば、40個程度の結合荷重で物性を予測できることになります。

それはすなわち、少ないデータでも予測式を作ることが可能であることに通じます。
少ないデータ。
過学習をさせない。
学習データの無い酸化物のデータを補完する。

今でも大事なものは変わりません。

発表スライドPDF

学会発表の時に使っていたJavaアプレットの復刻版を作りました。実際に動きます。

このプログラムに、KとNaの量を変化させて予測値を得ると、混合アルカリ効果の予測値が得られるということです。

逆にほしいガラスの物性値が決まっていて、それを満足する組成を得るには逆設計プログラムを使います。

他の物性値を同じにして軽量化を図りたい時にこうしたプログラムを作り、コンピュータに組成の候補を作ってもらいます。

ドラ美似がAIにも読みやすいパワポ資料に変換してくれました。(2026.9.13)

スライド 1: 2p21  ニューラル
図1:2p21  ニューラル
📑 図1のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
よるガラス物性の
ネットワーク法に
推算とその応用
旭硝子中央研究所 山本博志
NN法のネットワークをブラックボックスにしない。現象説明可能なNNを求めて 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 2: ・
図2:・
📑 図2のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】



J
X1
X2
Xn
W1j
W2j
Wnj
神経細胞
閾値
多数のシナプスからの刺激(情報)の総和が閾値を超えるとニューロンが興奮(発火)する。
様々な入力情報に対し、最適な結合強度が決まる。
ニューロンの結合強度が認識や記憶を形成する。
人間の脳の構造 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 3: 中間層
図3:中間層
📑 図3のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
SiO2
Al2O3
B2O3
CaO
入力層
4
Fe2O3
18
wy1
wy2
wy3
物性
wx11
n



wx21
wx31
Σ
i=1
18
wxij * i番目の酸化物mol%
(j番目の中間層)
wx12
wx22
シグモイド関数
f(x)=
1
1+ exp(-x)
1
2
3
wx23
物性=
Σ
j=1
n
wyj * Sigmoid
Σ
i=1
18
wxij * i番目の酸化物mol%
(
)
くり返し学習によってWx、Wyの最適値を求める。
誤差逆伝播アルゴリズム
ニューラルネットワークの動作原理 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 4: 0.08
図4:0.08
📑 図4のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
0.21
0.13
1.72
0.78
0.96
3.67
3.57
10.19
0.05
4.37
-5.70
0.40
1.47
SiO2
B2O3
Al2O3
CaO
BaO
PbO
Na2O
K2O
Sb2O3
MgO
CaF2
Fe2O3
ZnO
As2O3
-1.9
1.74
0.9
-1.9
-1.7
-1.2
-1.45
-1.1
-2.1
-0.9
-1.6
-3.3
2.1
48.2-84.0
0.0-30.0
0.0-23.5
0.0-14.0
0.0-10.0
0.0-32.7
0.0-18.5
0.0-18.3
0.0-0.6
0.0-10.0
0.0-6.8
0.0-0.3
0.0-11.0
0.0-0.2
組成範囲
重回帰係数
ニューラルネットワークによる
ガラス線膨張係数推算
重回帰による
ガラス線膨張係数推算
線形関数
中間層
シグモイド関数
線形関数
重回帰法とNN法対比 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 5: 重回帰による
図5:重回帰による
📑 図5のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
ガラス線膨張係数推算
ニューラルネットワークによる
ガラス線膨張係数推算
学習結果 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 6: B2O3
図6:B2O3
📑 図6のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
30 25 20 15 10 5 0
Al2O3
SiO2 50%
MgO 20%
図中の点は全てニューラルネットによる計算値
ホウ酸異常 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 7: 70
図7:70
📑 図7のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
80
90
100
110
120
130
140
-10
0
10
20
30
40
Na2O-SiO2(17-83mol%)のSiO2を他の
酸化物で置換した時の熱膨張係数の変化
曲線はニューラルネットワーク法による推算値
置換量 mol%
Na2O
CaO
Al2O3
B2O3
熱膨張係数 (10-7 K-1)
[BO4] 四面体構造
[BO3] 三角形
熱膨張係数下げる
熱膨張係数上げる
ホウ酸異常 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 8: 熱膨張率
図8:熱膨張率
📑 図8のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
Si
Al
Ca
B
Na
Fe
Te
Ti
Zr
-0.345
-0.387
0.457
1.445
0.835
1
2
3
4
5
6
7
8
9
12
-2.303
-1.03
-1.231
-1.234
-1.180
-1.970
1.880
2.525
0.570
1.02
中間層の7でホウ素の係数は−1.234であるのに対しナトリウムは0.570である。中間層から出力層への係数は1.445とプラスであるので、ホウ素が増えるに従い熱膨張率は下がる。
中間層の8でナトリウムのマイナス分をキャンセルすると、逆に熱膨張率は上がり始める。
ニューラルネットワーク上のホウ素とナトリウムの相互作用解析 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 9: 30
図9:30
📑 図9のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
40
50
60
70
80
90
5
10
15
20
25
30
35
ヤングモジュラス(GPa)
Li2O
Na2O
K2O
アルカリ金属置換量 (mol%)
曲線はニューラルネットワーク法による推算値
SiO2を他のアルカリ金属で置換した時のヤングモジュラスの変化
Li > Na > K イオン電場強度
アルカリ金属効果 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 10: 35
図10:35
📑 図10のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
40
45
50
55
60
65
-5
0
5
10
15
20
25
30
35
Si(80%)
推算値
Si(75%)
推算値
Si(70%)
推算値
ヤングモジュラス(GPa)
曲線はニューラルネットワーク法による推算値
一般的にKの添加はヤングモジュラスを下げる。
KとNaが混合されるとヤングモジュラスは逆に高くなる
K
Na
分相説、緻密化説、独立構造説
移動妨害説、弾性的双極子説…….。
混合アルカリ効果 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 11: K2O
図11:K2O
📑 図11のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
SiO2 50%
Al2O3 20%
Na2O
30 25 20 15 10 5 0
混合アルカリ効果 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 12: ヤングモジュラス
図12:ヤングモジュラス
📑 図12のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
Si
Al
Ca
K
Na
Fe
Te
Ti
Zr
-1.604
-2.89
中間層の2でNaはヤングモジュラス(YM)を上げる。 中間層の8でKはYMを下げる。
中間層の12ではYMを上げ(マイナス*マイナス)、 1と14ではYMを下げる(マイナス*プラス)。
1
2
3
7
8
14
12
1.238
1.308
-1.02
0.75
-2.80
-3.24
-1.36
-2.41
-1.98
-1.53
-1.90
ニューラルネットワーク上のカリウムとナトリウムの相互作用解析 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 13: Al
図13:Al
📑 図13のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
Na
曲線はニューラルネットワーク法による推算値
SiO2-Na2O(75mol%-25mol%)のガラスのNa2OをAl2O3で置換した時の密度変化と屈折率変化。
密度
屈折率
[AlO4]
網目形成イオン
[AlO6]
網目修正イオン
アルミナ異常 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 14: 硝子の組成を遺伝子に
図14:硝子の組成を遺伝子に
📑 図14のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
突然変異
交叉
遺伝子のプール
ある確率で
新しい組成
ある確率で切ってつなぎ変える
評価
ニューラルネットワークを用いて、その硝子組成での物性値を推算
適者を次世代の遺伝子プールへ
目標とする
ヤングモジュラス
熱膨張率
密度
の組成決定
データベースから
ヤングモジュラスが目標に近いもの100
熱膨張が目標に近いもの100
密度が目標に近いもの100
初期値として
遺伝子300個
評価関数=
100
(|YM誤差|+|熱膨張誤差|+|密度誤差|)
遺伝的アルゴリズム 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 15: ハッブル宇宙望遠鏡の反射鏡
図15:ハッブル宇宙望遠鏡の反射鏡
📑 図15のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
スペースシャトル耐熱タイル
低熱膨張率を要求される
Si-Ti 系ガラスは非常に低膨張率であるが難溶性
他の物性はそのままにガラス転移温度を150℃下げる組成候補をスクリーニング
SiO2
Al2O3
B2O3
K2O
Li2O
MgO
ZnO
P2O3
GeO2
TeO2
Fe2O3
YM
TEC
DEN
Tg
90.82
0
0
0
2.64
0
0
0
6.54
0
0
66.22
8.43
2.29
607.1
86.98
2.5
0
0
3.03
0
0
0
7.49
0
0
66.99
9.45
2.31
629.1
87.14
0
0
0
3.05
0
2.28
0
7.53
0
0
67.8
11.3
2.37
581.9
87.58
0
0
0
3.05
1.83
0
0
7.54
0
0
66.7
11.99
2.33
601
87.33
0
0
0
3.04
0
0
2.11
7.52
0
0
64.61
12.14
2.32
579.5
88.76
0
0
0.51
3.09
0
0
0
7.64
0
0
65.77
12.5
2.31
580.2
79.75
10.61
0
0
2.78
0
0
0
6.86
0
0
70.69
12.82
2.34
779.9
84.91
0
0
0
2.96
0
0
0
7.31
0
4.82
69.05
13.01
2.47
515.11
86.33
0
0
0
3.02
0
0
0
7.46
3.18
0
64.75
13.57
2.44
537.6
85.02
0
4.7
0
2.96
0
0
0
7.32
0
0
64.01
13.86
2.31
582.7
ニューラルネットによる推算値
ヤングモジュラス(YM) 65
熱膨張率(TEC)     10
密度(DEN)       2.3
ガラス転移温度(Tg)  750
低熱膨張率ガラスの設計 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 16: SiO2
図16:SiO2
📑 図16のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
Na2O
PbO
SrO
MgO
Al2O3
B2O3
CaO
K2O
Li2O
ZnO
P2O3
TeO2
YM
TEC
Den
Tg
57.47
15.85
17.79
8.89
0
0
0
0
0
0
0
0
0
63.61
100.23
3.56
417.1
56.59
14.2
17.66
9.44
0
0
0
0
1.7
0.41
0
0
0
65.14
104.31
3.55
406.4
53.88
17.4
17.34
9.76
0
0
0
0
0
0
1.61
0
0
64.18
103.86
3.59
415.3
57.94
14.53
16.31
8.15
1.33
0
0
0
1.74
0
0
0
0
64.69
103.94
3.47
412.3
50.25
16.23
17.92
8.96
1.46
0
0
0
0
0
0
5.18
0
61.39
98.1
3.58
402.2
55.03
16.15
18.12
9.24
1.47
0
0
0
0
0
0
0
0
64.52
101.04
3.58
416.1
54.61
17.64
15.35
10.19
1.66
0
0.56
0
0
0
0
0
0
66.48
103.75
3.46
418.1
40.83
17.19
16.33
0
0
12.52
4.96
0
0
0
8.17
0
0
65.14
102.54
3.5
409.1
45.25
18.26
18.26
0
0
13.88
0
1.84
0
0
0
0
2.51
62.08
103.17
3.5
419.4
TV用ブラウン管、ファンネル部分
通常の組成
Si  51%
Al   4%
Pb  23%
Na   6%
K  7.5%
Ca  8.5%
ニューラルネットによる推算値
ヤングモジュラス(YM) 64
熱膨張率(TEC)    104
密度(DEN)      3.91
ガラス転移温度(Tg)  410
強度が落ちると、厚くなる。
重くしたくない。
パネルやネックと接合する。
TEC変わると困る。
ガラスの溶解条件、変更したくない。
1割軽量化したい。
3.50へ
鉛ガラスの軽量化 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します
スライド 17: 応用
図17:応用
📑 図17のスライド詳細テキスト・解説を開く
【スライド本文】
ガラス組成の自由度が
非常に高い
ニューラルネットワークによる物性推算システム
遺伝的アルゴリズムによる組成決定システム
研究者のカンと経験による
ガラスの設計
ガラスの組成と物性値が
線形で無い
情報化学を駆使した
ガラスの設計
低熱膨張ガラスの設計
鉛ガラスの軽量化
まとめ 【発表者ノート・詳細解説】
ここにノートを入力します

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