化粧品用の配合処方設計

2021.11.16

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解析したいデータの例 no.1

JP2014172871A-花王(株)日焼け止め用皮膚外用組成物

油溶性紫外線吸収剤と極性油とを配合することによるべたつき感、のびが悪い等 の使用感の低下を改善し、紫外線防御効果及び安定性に優れた皮膚外用組成物の提供。

(A) 無水ヘキシトールジ脂肪酸エステル
(B)25℃で固体の紫外線吸収剤
(C)25 ℃で液状の極性油

本来は表中のDグループの化合物もCの溶剤に分類されるが、解析用には分けてある。各溶媒は次のようになる。

MIRAIによる計算と、通常の重回帰計算は、これまでに説明したやり方で計算する。
実際の計算は、どこで計算を打ち切るかが重要なポイントになる。
何回もトライアンドエラーを行ってセンスを磨くと良いだろう。

低温安定性

このデータは1と5の2値しかない。

MIRAIで解析すると、ほぼ完全に2値に分かれる。

MIRAI Scheme=7.00064034174331-1.9876+-0.668164205214253*(POWER((C2*3.44216771570947+1),-2.00744096320269)*POWER((D2*0.908118279152832+E2*0.570139725055307+F2*0.37625232660908+1),1.04064594475472)*POWER((G2*1.19489201159308+H2*0.680101142263637+1),2.94910089836751)*POWER((I2*0.304413904092071+J2*1.50794665824571+K2*1.51467963044839+L2*0.346956417159736+1),-3.23000791441168))

Multiple Regression=-0.0411313108792548*C2+-1.29688166434577*D2+-0.588207599677923*E2+-0.160209244709936*F2+-0.25905635727487*G2+-0.505776309955706*H2+-0.130559148850567*I2+0.372948005039899*J2+-0.0899311739430626*K2+-0.0359403130776294*L2+6.4725554050876

各式をコピーしてエクセルの適当な第2行目にペーストすると自動的に計算を行う。それを全体に広げ、予測の結果を列を移動するとグラフが得られる。

のびの良さ

MIRAI Scheme=7.40760341336399-1.9876+-0.423574263325211*(POWER((C2*0.046127397319823+1),-3.74477989298387)*POWER((D2*1.03573044227489+E2*0.244376020167694+F2*0.0249610682874818+1),0.736502917323914)*POWER((G2*-0.275785494184122+H2*1.073467555282+1),0.306289945157491)*POWER((I2*0.500098253983768+J2*0.414117013727958+K2*2.34866879954796+L2*0.605374875531054+1),1.04066165743802))

Multiple Regression=-0.00174645438503073*C2+-1.28801179078924*D2+-0.267183525562053*E2+-0.199199170361763*F2+-0.0863707941281202*G2+-0.0974741172841326*H2+-0.147064019684285*I2+-0.360288117537336*J2+-0.257068127501052*K2+-0.102793426178765*L2+5.52907036115247

艶感

MIRAI Scheme=7.2999508257271-1.9876+-0.326504928728761*(POWER((C2*4509.17548109755+1),-0.108370174121308)*POWER((D2*0.277438897246814+E2*0.284229847059444+F2*-0.0292787903755693+1),1.0127644562234)*POWER((G2*0.126707713554201+H2*-0.33718540907577+1),-0.426990849559048)*POWER((I2*0.624300237793183+J2*0.286461500612122+K2*0.817668866571907+L2*0.440894388837066+1),1.16037818322729))

Multiple Regression=-0.0557757470188677*C2+-1.07759025590708*D2+-0.455006218915757*E2+-0.208525030566608*F2+-0.15252658607052*G2+-0.199254219177157*H2+-0.172628067779127*I2+-0.136793240165224*J2+-0.308425945789609*K2+-0.123332029273651*L2+6.18456010606718

保湿

MIRAI Scheme=8.25990936389547-1.9876+-1.28078553640537*(POWER((C2*20.5045887048779+1),-0.140145654637914)*POWER((D2*0.193254593965668+E2*-0.0187862681606147+F2*-0.0274695360976116+1),0.8335206153264)*POWER((G2*-0.126665949248757+H2*0.151270739672444+1),1.08921984025163)*POWER((I2*0.394036032148441+J2*0.192419422430546+K2*0.75036140143747+L2*1.74076629176138+1),0.956003646340265))

Multiple Regression=-0.0885660679957895*C2+-1.26003751164422*D2+-0.185884419937277*E2+-0.18079067432566*F2+0.125696588355065*G2+-0.409223898239638*H2+-0.337774612147536*I2+-0.234654426695107*J2+-0.578275626792236*K2+-0.231282511605469*L2+6.57184848203525

どれも、通常の重回帰で計算するよりも記述性能、予測性能が高くなる。

解析したいデータの例 No.2

JPA 2020105109-マツモト交商, 日焼け止め配合処方
この特許は、前の特許と同様に日焼け止めの配合処方の特許である。
この特許の特徴は、説明変数が21種類あるが、実験データは11しかないことだ。

そこで、どれか1つの実験データを予測用のデータにした場合、そのデータが、特異的なデータを含んでいる場合がある。つまり、ある列のデータはある一つの実験でしか使われていない場合がある。モデル式を作るときにある列のデータが無く、予測データにだけその列の値があるのなら正しく予測はできない。

ここでは、どの実験を予測データにしたら、学習も成立して、かつ、予測性能も高いデータセットにできるか考えてみよう。

解析したいデータの例 No.3

US6890543 B2
資生堂の口紅の配合特許
データはエクセルなどにペーストしておこう。

解析方法はこれまでに説明してきたので、ここではオプションについて学ぼう。
MIRAIには、誤差の取り方として、絶対誤差最小法(MAE)と最小二乗法(RMSE)の2種類が実装されている。

絶対誤差最小(MAE)を使うと、教師値と計算値の差の絶対値の総和を一番小さくしようと係数を定める。

すると、大きく外れるものはさらに外れ、他のものはどんどん直線に乗って来る。
入力間違いなど、怪しいデータを特定するときはとても有用である。
二乗平均平方根誤差(RMSE)を使うと大きな誤差を持つものを直線に近づけようとする。
小さな誤差を各点に割り振る。小さな誤差は2乗すると、とても小さくなり影響を与えなくなる。
通常の重回帰法は線形の最小二乗法になる。我々が開発しているGROVE法は線形で、絶対誤差最小法(MAE)と最小二乗法(RMSE)の2種類が実装されている。

この4種類の計算方法を比較してみよう。
解析したデータが特許に記載のデータであること、官能評価なので定量性に欠ける事は覚えておこう。

カラーリング

指数関数の掛け算という非線形性を導入したMIRAI法の方が線形回帰法より優れていると言える。
絶対誤差最小法(MAE)は合うものはどんどん線の上に乗り、外れるものは大きく外れるという特徴を持つ。
重回帰法と比べ、GROVE-MAEはその傾向がはっきり出ている。

しかし、MIRAI-MAE法で一点乖離しているのをどう解釈するかは、判然とはしない。
そのような場合には、予測データなどを組み替えて調べる。

他の3つの物性値については、自分で計算を行い、結果から何が導き出せるか考えてみよう。

広がり性

耐久性

形状保持性

解析したいデータの例 No.4

Patent JP2014156427A 日油株式会社

【課題】洗浄時、すすぎ時、及び乾燥後の毛髪に優れた滑り性を付与しながら、べたつき やごわつきのない良好な使用感を有し、更に、洗浄時に良好な泡持続性を実現する毛髪用 洗浄剤組成物及び毛髪洗浄料を提供する。

特徴:特定のポリオキシエ チレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、カチオン性化合物類、及びノニオン性 活性剤、塩化ナトリウムからなる毛髪用洗浄剤組成物

ここでは、Coa3:コアセルベート形成性(1000倍希釈)を予測する式を作成してみる。

コアセルベート形成性(1000倍希釈)

他の物性値に関しては興味があれば自分で計算してみよう。

解析したいデータの例 No.5

Patent JPB 006348423-ロレアル

炭化水素系樹脂と不揮発性フェニルジメチコン油および不揮発性炭化水素化油を含む化粧用組成物
色移りしにくい口紅??

色移り

識別子が16種類あり、実験値が14しかないので、重回帰法では解析が難しい。
実験を行なっている者にしか解らない評価点の問題が存在するようだ。
実験値は、1,4,5のとびとびの値を取るが、MIRAIの解析では、1と評価された値のいくつかは、2か3に分類されるべきだと言っている。
従って、実験を行っているものこそが、MIRAI解析ツールを使って、評価値の信頼性を高めると効果的であると言える。

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