10月23日は化学の日。モルを克服しないと化学系AIは無い。

水を18g計り取ると、そこには水分子が6.02*100000・・・000個ある。0の数は23個だ。10を23個掛けたものだから10月23日になったらしい。

この、6.02*1023の事を、1モルと呼ぶ。
分子は分子量という重さがある。分子を作っている原子の重さから簡単に計算できる。
その分子量に相当する重さ分だけ、その化合物を取ってくると、その中には、1モルの分子があるのだ。

でも、これは気体みたいに小さな分子で見つけた法則なので、大きな分子でも本当にそうなのかは誰も数えたわけではない。

こうした、化学の領域にも人工知能(AI)が入り始めているが、中々難しいようだ。

お手本の脳は、1000億個のニューロンがあるとされている。
たかだか、1011=100,000,000,000個だ。
これは、だいたい、この銀河の星の数に等しいらしい。

脳と銀河の違いは、ニューロン同士は平均1万個のシナプスで結合していることだ。
そうすると脳の中には、1011*10000個のシナプスがあることになる。
1015だ。
このシナプスに情報を溜め込む。

コンピュータはといえば、メモリーをT(テラ)積んでいても、高々1000,000,000,000=1012 しかない。

化学の問題の難しさは、このモルに依存していると自分では思っている。
しかも電気のプラス/マイナスの2値ではなく100個以上の原子の組み合わせになる。

例えば、ガラスの組成を考えてみよう。
SiO2以外、10種類の酸化物を100種類の酸化物から選ぶ。(実際にはフッ化物、塩化物もある)
100C10 (Cはコンビネーション)
1.7*1013の組み合わせがある。選んだ組み合わせで更に使う量を1%刻みで変えたガラスを作ると直ぐにモルの世界の組成が出てくるだろう。
僕が、ちまちま集めているガラス組成のデータベースは15万件ぐらい。
組織的に集めている所でも10,000,000=107は行かないだろう。

つまり、何らかのデータがある確率は、107/1023 = 1/1016 まー、0%だ。

有機物を考えても、CAS番号の付いている化合物は3000万種類、工業的に生産されている化合物は10万種類、年間1000トン以上生産されているのは5000種類と種類はガラスと比べても圧倒的にビッグ・データだ。
その混ぜ物となると、やはりデータがある確率は0%だ。

ある、こんな物性のガラスが欲しいというのがあった時に、物性値が目標値に入るガラス組成を逆算するAIを考えてみよう。

分子動力学法を使って物性値を計算して、目標値に入っていたら、候補として抜き出す?計算した結果が未達だったら、組成をどの方向へ動かす?
目標が複数あったら?
気が遠くなる。

10月23日をどう乗り越えて行くかが、AI/ML/DXのキモとなるんだろうな。
ガラスに関しては、物性推算と逆設計の論文を以前に書いた
2009年なので随分前のことだ。
来年の4月で退職後3年縛りが解けるので、ガラスに関してもリスタートしようかな。

こうした化学系の仕事を会社で20年以上やったノウハウは今も生きている。

若い研究者が早く乗り越えられるといいのだけど。

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