COVID-19用の治療薬のハンセン溶解度パラメータ(HSP)とシクロデキストリンへの包摂定数

2022.9.30改訂(2020.4.28)

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概要

米国立衛生研究所(NIH)がレムデシビル(Remdesivir)の臨床試験の結果を発表していた。(2020.4.30)

治療期間の短縮にはそれなりの効果があるとされた様だ。

特例承認されるようなので、明日にでも(5/7)使えるようになるかも知れない。

アビガン(ファビピラビル)も近いうちに使えるようになるかもしれない。



これからは、投与の方法などが問題になってくるのだろうか?

(薬剤の溶解性を変える共結晶形成材も参考になるだろう。)

内容

新型コロナウイルスに対する治療薬について調べてみると次のようなものがあった。
(これ以外の薬で構造の分かっているものがあったら是非知らせて欲しい。)

薬は、そのlogKow(オクタノール/水分配比率)で整理される事が多い。

体のどこから吸収されて、体内のどの部位に作用(溶解)して効果を発揮するのか考えるためだろう。


私たち(HSPiP開発チーム)は、薬を溶解度の観点から考えたいなら、logKowではなくハンセンの溶解度パラメータ(HSP)で考えた方が良いという立場だ。



ハンセンの溶解度パラメータは蒸発潜熱に基づくエネルギーを、δD(分散項)、δP(分極項)、δH(水素結合項)に分解し、それを3次元ベクトルとして捉え、このベクトルが似たものは、似たものを溶解するという理論だ。



Hansen先生の言葉によれば、”Like Seeks Like” (似たものは似たものを探す)とも言う。

HSPiPソフトウエアーY-MBに、分子の構造をSmilesの式で入れて、Breakすると分子を構成する官能基に分解し、その化合物のHSPを計算してくれる。

ShotはHSPiP ver. 5.2.04のものだ。(GUIはバージョンによって異なる)

  1. DIYを選択する。
  2. YMBタブを選び
  3. Smilesの構造式をペーストする。
  4. 計算ボタンを押し
  5. 結果のうち、HSPの値と
  6. 分子体積の値を控えておく。

HSPiP(もしくはYMB-Pro)をお持ちの方は、以下のSmilesの構造式を使って試すことができるのでチャレンジしてみて欲しい。

クロロキンchloroquine54-05-7CCN(CC)CCCC(C)NC1=C2C=CC(=CC2=NC=C1)Cl
リトナビルRitonavir155213-67-5CC(C)c4nc(CN(C)C(=O)N[C@@H](C(C)C)C(=O)N[C@@H](Cc1ccccc1)C[C@H](O)[C@H](Cc2ccccc2)NC(=O)OCc3cncs3)cs4
レムデシビルRemdesivir1809249-37-3Nc1ncnn2c1ccc2C3(C#N)C(O)C(O)C(O3)COP(=O)(Oc4ccccc4)NC(C)C(=O)OCC(CC)CC
ファビピラビルFavipiravir259793-96-9C1=C(N=C(C(=O)N1)C(=O)N)F
シクレソニドCiclesonide126544-47-6O=C(OCC(=O)[C@]25O[C@@H](O[C@@H]5C[C@H]1[C@H]4[C@H]([C@@H](O)C[C@@]12C)[C@]/3(/C=C\C(=O)\C=C\3CC4)C)C6CCCCC6)C(C)C

結果を纏めると下の表のようになる。

namedDdPdHdHAciddHBaseMvol
chloroquine18.44.55.52.94.3300.1
Ritonavir20104.51.27.7580.9
Remdesivir19.213.18.50.110.9460.9
Favipiravir18.920.813.315.16.898.4
Ciclesonide18.85.93.52.53.4455.9

自分は薬学に対する知識は余り無い。

(第一薬科大学で教えているのにと言われるかもしれないが。。。)

従って薬がどのようにコロナ・ウイルスの症状に作用するかは知らない。
しかし、ウイルスにも薬にも目も、耳も、鼻も無い。
そこで、単純な指標”Like Seeks Like” (似たものは似たものを探す)を使ってみる事にする。

上記のHSPをハンセン空間にプロットしてみる。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)がどのくらい離れていたら、似ていなくて、どのくらいなら似ているのかは初心者には判断が付きにくいだろう。
青い球(溶媒)をクリックすれば汎用溶媒の名前が表示される。
赤い球(薬)をクリックすれば薬の名前が表示される。
溶媒はHansen先生が最も広くHSP空間にちらばるように選定した85溶媒のHSPを3次元にプロットしてある。

似てる似ていないは、この一番広い「ハンセン空間上のどこに目的の化合物がプロットされるか?」で判断する。

ざっと見る限り、1と5、つまり、クロロキンとシクレソニドのHSPはかなり近いと言える(緑色の大きな球の中の赤い球)。

また、2(リトナビル)と3(レムデシビル)も比較的近い(水色の大きな球の中の赤い球)。

アビガン(ファビピラビル)だけ変なところにいる。



同じような溶解性(例えば緑色の球に入るような溶媒)を持つ化合物をリード化合物にしたらどうなるか?
そんな事を考えると面白いことも多い。

会社を4/20に定年退職して余裕なのと、大学の講義の準備で過去の資料に目を通していて気がついた事がある。
蚊の嫌いな匂い、忌避剤を検討した事がある。

 From wikipedia
  
1:matatabi-lactone  

最も有名なのはDEETと呼ばれる化合物で、アメリカ陸軍が開発した。多分ジャングルとかで戦う時にマラリア蚊に血を吸われないように使ったのだろう。

2: N,N-Diethyl-m-toluamide or N,N-Diethyl-3-methylbenzamide DEET

それから,植物由来の化合物には次の様なものがある。

3:cis,cis-Nepetalactone
CAS# 490-10-8  4: Citral   5: Citronellal

ペルメトリン(Permethrin)はピレスロイド系殺虫剤の一種だ。

6: Permethrin
CAS# 52645-53-1

構造からHSPを計算してまとめると次のようになる。

(2022.10 いくつか構造を継ぎ足したので、HSPiPを持っているなら自分で計算してみよう)

古いテーブル
dDdPdHVol
117.67.55.6166.7
2:DEET18.16.75.4191.6
317.77.45.6161.8
416.36.95.6171.4
516.25.95.2177.4
619.15.34.8315.5
Average17.56.65.4197.4

このように、分子の構造は非常に異なっているのに、HSPはどれも非常に良く似ている。

特にDEETは、Chloroquine、Ciclesonideに近い値を持っている。

namedDdPdH
chloroquine18.44.55.5
Ciclesonide18.85.93.5
2:DEET18.16.75.4

ちなみに自分で作った漢方薬のDBを調べた所、シトラールはレモングラスに多く含まれるとあった。
このレモングラスはマレーシア原産で、トムヤムクンの原料だ。
ということは、トムヤムクンを飲むと、体中からシトラールが放出されて、蚊がよってこないことになる。
そこで、蚊が媒介するマラリアにかかりにくくなる。

こうした、風土に密着した食べ物、スープなどと、病気の関係はとても興味深い。
マレーシアでは新型コロナウイルスの死亡者はずいぶん少ないようだし。

当面は「家にいよう」で庭ぐらいしか行く所は無いので、せめて蚊の忌避剤、DEETは身にまぶしておこうと思う。

医薬品とシクロデキストリン (CyD)の包摂化合物

それでは,こうした薬剤とシクロデキストリンとのStability Const. を予測してみよう。
シクロデキストリンはグルコースが環状に結合した穴の開いたバケツのような構造をしている。

そして,この環の中に疎水的な化合物を包摂する。包接?

そして,難溶性の薬をCyDに包摂させて溶解性を向上させたり,ターゲット付近で薬剤を放出させるドラッグ・デリバリー・システム(DDS)などに使われている。

私は何を隠そう,35年前,大学でCyDのポリマーを研究していた。

まず最初に行うことは,実験データの収集だ。
「シクロデキストリンを基盤にした新規製剤設計へのアプローチ」
上釜兼人
YAKUGAKU ZASSHI 132(1) 85-105 (2012)
という論文が見つかった。
この論文に記載のある薬の構造とCyDとのStability Const. の一覧を作る。
(分子が非常に大きいDigoxinとDigitoxinの2つは除外することにします。)

やりたい事を確認しておこう。

  • COVID-19の治療薬の候補として可能性のある薬の,さしあたってα-CyDとのStability Const.を分子の構造のみから推算したい。
  • Prostaglandin E1からIsosorbide dinitrateの14化合物については実験データがある。
  • HSPiPのQSAR式構築機能を利用して,モデル式を構築し,治療薬の候補とα-CyDとのStability Const.を予測する。
  • (私にはできないけど,そうしたStability Const.から治療薬+CyDの溶解性,徐放性,DDS性能を考える。)

モデル構築用のデータと予測用データは次のようになる。

データをコピペしておこう。

テーブル
CAS Substrate Smiles logStbilityConst. αCyD
645-65-3 Prostaglandin E1 CCCCCC@@HO 3.155336037
551-11-1 Prostaglandin f2α O=C(O)CCC/C=C\C[C@H]1C@@HCC@@H[C@@H]1/C=C/C@@HCCCCC 2.397940009
57-83-0 progesterone CC(=O)[C@H]1CC[C@@H]2[C@@]1(CC[C@H]3[C@H]2CCC4=CC(=O)CC[C@]34C)C 2.176091259
58-22-0 Testosterone O=C4\C=C2/C@(C)CC4 2.113943352
50-23-7 Hydrocortisone O=C4\C=C2/C@(C)CC4 1.77815125
124-94-7 Triamcinolone O=C(CO)[C@]3(O)[C@]2(CC@H[C@]4(F)[C@@]/1(\C(=C/C(=O)\C=C\1)CC[C@H]4[C@@H]2C[C@H]3O)C)C 2.079181246
378-44-9 Betamethasone O=C(CO)[C@]3(O)[C@]2(CC@H[C@]4(F)[C@@]/1(\C(=C/C(=O)\C=C\1)CC[C@H]4[C@@H]2C[C@@H]3C)C)C 2.342422681
52-01-7 Spironolactone O=C5O[C@@]4([C@@]3(C@HCC4)C)CC5 2.982271233
439-14-5 Diazepam Clc3cc\1c(N(C(=O)C/N=C/1c2ccccc2)C)cc3 1.812913357
53-86-1 indometacin n1(c2c(c(c1C)CC(=O)O)cc(cc2)OC)C(=O)c1ccc(cc1)Cl 2.278753601
5104-49-4 flurbiprofen CC(C1=CC(=C(C=C1)C2=CC=CC=C2)F)C(=O)O 1.301029996
22071-15-4 ketoprofen CC(C1=CC(=CC=C1)C(=O)C2=CC=CC=C2)C(=O)O 1.113943352
76-75-5 thiopental CCCC(C)C1(C(=O)NC(=S)NC1=O)CC 2.414973348
87-33-2 Isosorbide dinitrate [O-]N+O[C@H]1[C@H]2OCC@H[C@H]2OC1 1.477121255
Predict
54-05-7 chloroquine CCN(CC)CCCC(C)NC1=C2C=CC(=CC2=NC=C1)Cl
155213-67-5 Ritonavir CC(C)c4nc(CN(C)C(=O)NC@@HC(=O)NC@@HCC@HC@HNC(=O)OCc3cncs3)cs4
1809249-37-3 Remdesivir Nc1ncnn2c1ccc2C3(C#N)C(O)C(O)C(O3)COP(=O)(Oc4ccccc4)NC(C)C(=O)OCC(CC)CC
259793-96-9 Favipiravir C1=C(N=C(C(=O)N1)C(=O)N)F
126544-47-6 Ciclesonide O=C(OCC(=O)[C@]25OC@@HC6CCCCC6)C(C)C
118-42-3 Hydroxychloroquine Clc1cc2nccc(c2cc1)NC(C)CCCN(CC)CCO

132_85-CyDexb

HSPiPのQSAR機能の使い方は
経皮吸収型ドラッグデリバリーシステム
のページで詳しく説明している。

そちらを参照しながら、下図に示すところまでやってみよう。

HSPiPを立ち上げる。 必要なデータをエクセルからクリップボードに読み込んでおく。

  1. QSARボタンを押す。
  2. クリップポードの内容をテーブルにペーストする。
  3. Dataボタンを押してYMBの推算値をテーブルに加える。
  4. タイトルの部分をダブルクリックしてみる。
  5. 3列目のlog Stability Const.とdHDonの関係が図示される。

この様に、log Stability Const.とYMBで推算された物性値の単相関を検討することができる。

分子体積や、形状因子Ovality(卵形度)などとも大きな相関があることがわかる。

そこで、ここでは一番単純にハンセンの溶解度パラメータ(HSP)と分子体積、OvalityでQSAR式を構築してみる。

  1. マニュアルでパラメータを設定する。
  2. QSARに使う項目のSelectionを1にする。(ダブルクリックする)
  3. QSARボタンを押す。
  4. QSAR式が構築され、グラフが表示される。

この式の妥当性は、その現象を一番よく知っている研究者自身が判断できる。

(CyDの環の中はTHFぐらいの極性だと考えられている。その極性の差分で考える方が妥当とか。本来は分子を取り巻く最小の直方体を計算して、それと環の大きさとの比較する方が妥当など、どこまでこだわるかは研究者とソフト次第のところがある。

妥当性が低いと判断した場合には、Selectionを入れ替えながら式を改良していく。
Selectionの数を指定して、自動で検討させたQSAR式も参考になる。
ここでは次式で良いとして薬の候補とのStability Const.を予測する。

log StbilityConst. αCyD = 0.222 – 0.101*δD + 0.077*δP – 0.0348*δHDon – 0.146*δHAcc + 0.00607*MVol + 1.44*Ovality

  1. 予測したい化合物の名称とSmilesの構造式を入れる。
  2. Predictボタンを押す。
  3. Smiles式からYMBが物性を推算し、QSAR式に従ってStability Const.を計算する。

レムデシビル(Remdesivir)はlog Stability Const. =3.68となる。

モデル式を作成した医薬品の中で最大のものは、Prostaglandin E1 = 3.16なのでα-シクロデキストリン と非常に大きなStability Const.を持つと予測される。

薬はセルロース誘導体を使って錠剤化される事が多いらしい。そこにα-シクロデキストリンを加え安定化させるという使い方が考えられる。

アビガン(Favipiravir)の予測値は1.28なので非常に小さな値になる。おそらく、アビガンは水溶性が高く小さな分子なのでこの様な結果になるのだろう。

リトナビル(Ritonavir)は分子体積が580と非常に大きく、溶解性などもその分小さい事が予測される。

その様な薬が効果が無かった場合、溶けないからダメだったのでは無いか?と考えるのは大事だろう。log Stability Const. =4.74なので、CyDとコンプレックスを作り投与を試みるなどを考える足しになる。

この様な計算をHSPiPのCLI・ライセンスを使って、片っ端から計算してしまうのが、マテリアルズ ・インフォマティクス を使った医薬品開発になる。

2020.5.10
具体的にはどうやるのか質問があった。

例えば、HSPiPを使った推算値は、レムデシビル(Remdesivir)のlogKow=6.17, log S= -2.39(水への溶解度g/100cc水)なのに対して、アビガン(Favipiravir)はlogKow=-1.44, log S= 2以上になる。

アビガンは非常に水溶性が高く脂質に溶けにくい事になる。
それでは、アビガンのFのところを、R-CF2に変える事を考える。
そしてRを文字通り片っ端から変化させ、log Stability Const., logKow, log Sを計算する。

芳香族、鎖状炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、ケトンなどを導入し logKow, log Sがレムデシビル(Remdesivir)に近い、アビガン変性体を探してしまう。

CyDとのlog Stability Const.でスクリーニングしてしまう。
などをやればいいだけなので簡単だ。自動で分子構造(Smiles構造)を発生させるプログラムを書いてしまえば、後々便利だ。(会社でMIの部署に頼めばすぐやってくれるだろう)

これまでは,医薬品の溶解性は,logKow(オクタノール/水分配比率)で考えることは多かったように思う。

HSPをベースとして作った推算式と、別にlogKowをベースに作った推算式。更に違う推算式。

色々な推算式を作成し、予測を行い、比較検討するのが大事になる。
ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)や解析用ソフトウエアー(HSPiP)を用いると更に色々な事ができるようになる。

興味があったら、β-CyD、γ-CyDとのStability Const.も予測してほしい。

2020.11.29追記
レムデシビルもアビガンも効いたという情報や効かないという情報が錯綜している。
成功率90%を超えるワクチンが続々と出てきているのとは対照的だ。
COVID19は変異が激しいので、ワクチンであってもインフルエンザと同様に毎年打たなくてはならないものになるかもしれない。

そんな事になったら、所謂総合感冒薬(熱、咳、鼻水、くしゃみを抑える)のような対症療法薬はどうしても欲しい。
熱が出てもそれを飲めば重症化しない薬が早く欲しい。
特に私も重症化しやすい60代だし。

昨日、奈良県立医大で「お茶で新型コロナ無害化、1分で最大99%」というニュースが出ていた。

「カテキンはインフルエンザウイルスなどの表面にある突起状のタンパク質に付着し、感染力をなくすことが確認されており、新型コロナでも同様の効果が推測される」

付着力、接着力とくれば、「HSPベクトルの近いもの同士は付着力、接着力が高い」が使える。

SMILES: C1C(C(OC2=CC(=CC(=C21)O)O)C3=CC(=C(C=C3)O)O)O
CAS: 7295-85-4

がわかれば、ハンセンの溶解度パラメータを計算することができる。
HSPiPのYMBでSMILESを入力して計算ボタンを押すだけだ。

[dD, dP, dH]=[20.7, 7.4, 11.9] HSPが得られた。

そうしたら、HSPiPのデータベースの中から、カテキンと同じくらいのHSP(±1.0)の化合物を探してしまう。
10,000DBから探すと30種類の化合物が見つかった。
(多分、ドナー、アクセプターまで入れてサーチする方が正しいだろう。興味があればやってみて欲しい。)

ニュースを見かけてから15分もあれば、こうしたリード化合物のリストが得られるのが、HSPiPの良いところだ。

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