ポリマー用の防カビ剤の溶解度パラメータ

2022.11.24改訂(2010.7.14)

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概要

ポリ乳酸を用いたポリマーは生分解性が高く土の中に埋めれば半年から1年で分解される。
しかし、一般のポリマーも結構カビが生えやすいものだ。
例えば浴室の洗面器も使い始めて3年ぐらいでカビが生えてきた経験はないだろうか? 

これは正確にはわからないけど、高分子材料には防黴剤が配合されている。
それが、溶出してしまったのではないだろうか。

そのカビにカビ・キラーをかけると、一瞬綺麗になるが、また、今度はすぐにカビが生えてくる。

これは防カビ剤が表面にいないからだろう。それでは防カビ剤を長持ちさせたかったら何が出来るだろう? 

高分子と防カビ剤の溶解度パラメータがよく合っていれば溶出しにくいだろう。

内容

ポリマー(塗料)用の防カビ剤のリストを入手した。

あるポリマーにどの防カビ剤がいいか?
それはポリマーから簡単に溶け出して欲しくないので、なるべくHSPが似た防カビ剤を使うといいだろう。

まず、各化合物のSmilesの構造式を用意した。

そのSmilesの構造をHSPiPのY-MB物性推算機能を使ってHSPの値を得る。

NoCAS#dDdPdHMvol
112673-72-217.35.85.6210.1
226172-55-419.211.18.9104.8
32634-33-522.215.66.6108.8
419.27.55.1179.9
528558-32-92011.512.9155.7
6102040-01​-719.616.211.2151
751200-87-416.85.77111.5
8104732-42​-517.19.28.2181.8
91085-98-91910.96227.2
10731-27-11910.65.6243.1
1121564-17-021138.7164.8
121897-45-620.911.62.8158.3
1335691-65-71811.86.5147.9
1413108-52-61914.67.4178.3
151322-20-919.85.69.3156.3
161321-10-419.36.711.1121.7
17719-96-020.39.63.8179.6
1820018-09-120.911.97.2187.4
1929772-02-918.96.27.6191.9
20330-54-119.811.58.6173.6
NoName
12-octyl-1,2-thiazol-3(2H)-one
25-chloro-2-methyl-1,2-thiazol-3(2H)-one
31,2-benzothiazol-3(2H)-one
42-butyl-1,2-benzisothiazol-3(2H)-one
52-(1,3-thiazol-4-yl)-1H-benzimidazole
6methyl 1H-benzimidazol-2-ylcarbamate
74,4-dimethyl-1,3-oxazolidine
83-iodoprop-2-yn-1-yl butylcarbamate
9N-{[dichloro(fluoro)methyl]sulfanyl}-N’,N’-dimethyl-N-phenylsulfu​ ric diamide
10N-{[dichloro(fluoro)methyl]sulfanyl}-N’,N’-dimethyl-N-(4-methylph ​enyl)sulfuric diamide
11(1,3-benzothiazol-2-ylsulfanyl)methyl thiocyanate
122,4,5,6-tetrachlorobenzene-1,3-dicarbonitrile
132-bromo-2-(bromomethyl)pentanedinitrile
142,3,5,6-tetrachloro-4-(methylsulfonyl)pyridine
15biphenyl-2-ol
164-chloro-3-methyl-phenol
172-{[dichloro(fluoro)methyl]sulfanyl}-1H-isoindole-1,3(2H)-dione
181-[(diiodomethyl)sulfonyl]-4-methylbenzene
191-chloro-4-{[(3-iodoprop-2-yn-1-yl)oxy]methoxy}benzene
203-(3,4-dichlorophenyl)-1,1-dimethylurea

構造は異なっていてもHSP的には似通ったものがあるので、選択する時の参考にして欲しい。

上の表は,HSPのうち,dP,dHが近いものを同じ色分けしてみた。なるべく違う色に分類されたもので防カビ効果を検証して、一番性能の良い群(色)を選ぶ。

そして、次には一番効果のあった群(同じ色の物)の中で比べて性能の良いものを選ぶとよいだろう。

すべてをテストするより一番合理的だ。

今回は、すべて推算値を用いた。もしこれらの化合物のHPLC 分析の結果とかあれば推算の結果の妥当性が検証できる。せめてlogPの値でもと思ったが、これらの化合物はそれもほとんど無かった。

ポリマーの酸化防止剤のところでも述べたが、こうした防カビ剤は働く場所も問題になる。
ポリウレタンは非常にカビやすいポリマーだが、カビの生えるのは、ウレタン結合の部分だ。
長いポリオールの部分よりはウレタン結合の部分により良く溶ける防カビ剤が有効であろう。

2011.4.25

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

HSPiPの中にあるポリマーを選んで、これらの防カビ剤とどのような位置関係にあるか3次元表示してみる。小さな球をクリックすればポリマーの名前か防カビ剤の名前が現れる。

ポリマーは青い球、防カビ剤は赤い球で現してある。あるポリマーに近い防カビ剤はどれか、実際に試してみていただきたい。

防カビ剤自体は,極性基を持つので,ポリエチレンなどの非極性ポリマーとHSPが近い防カビ剤は無い。まーポリエチレンはカビの生えにくいポリマーだからそれでも良いか。

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