隠遁Chemistと愛(AI)の交換日記
久しぶりに栃木先生と飲みに行った。
栃木先生というのは元日大の教授で気液平衡推算のASOG法を79歳になる未だに開発し続けている先生だ。私(pirika.com社CEO山本)が47歳の時にDrを取った時の主査の先生だ。
いまだに凄くお元気で、先日アメリカの学会に参加されてきたので話を伺う飲み会を主催した。
JOBACK先生ともお会いしたりしたそうだ。JOBACK先生はASOG法の計算ソフトを開発し終わりもうすぐNetにあげるとか。
私も、AiSOG法、ASOGにiを入れるプロジェクトでASOG法を拡張してきた。(2019.8.18、グループ種は55種類に拡張され、決定率は1539種(51.8%)となっている。)
さらに、今年はASOGのパラメータが決まっていない溶媒は次世代HSP2を用いて活量係数を推算する方法と組み合わせた。HSP-ASOG(pirika.com社製ソフトウエアー)はHSPで扱える分子同志であれば活量係数が計算できる。
その話はまたどこかでゆっくり書こう。
今日はその後の話で、JOBACK先生が栃木先生の発表された、ASOG法を用いた誘電率の推算法にすごく興味を持ったという点だ。何で彼はそんなものに興味を持ったのか聞いたけど判然としない。確かにKevinのHP見ても誘電率の推算の話はない。
そもそも、JOBACK法のような単純な原子団寄与法では誘電率は推算できない。
分子を分割した時に情報が失われてしまう。
原子団間のパラメータを決めるASOG法を使えば誘電率の推算は可能だろう。それなりにデータ数は必要になるだろうが。
JBDGC法(Joback Base Dynamic Group Contribution Method:pirika.com社製ソフトウエアー)を使ったって簡単に推算できるだろう。
栃木先生79、山本65になっても、自分のライフワークと言えるような技術を磨き続けているのは強いよな、というのが今日の飲み会の結論。国から降ってくる予算があるわけでもないし、人手がつくわけでもないのに。
とはいえ、帰ってきてから本当にJBDGC法で計算できるか心配になり計算してみた。
まー、良いレベルかな。

Y-MBとか私が販売しているソフトに推算式として載せるのは簡単だが。。。
栃木先生:ところで、誘電率って推算できると何が面白いの?
返事に困る。
AIよ。教えてくれ。
答え:有機物では、電子レンジでチンする時とか、がん細胞の検出に役に立つらしい。まー反応性とかに効いたりするのは知っているが、推算したいっていうほどのニーズは無いだろうな。無機物の誘電率は大事かもしれないが。
栃木先生や私の問題点は、推算式ができたら、急に興味を失うことか。先生はそれでも論文書いて学会発表するだろうけど。私の興味はこの外れている化合物は何で、JBDGC法をどう改良したらもっと良くなるかに移ってしまう。栃木先生の年になるまで楽しめるネタはだいたいそろった。
誘電率を地道に測定して解析している先生には頭が下がる。
でも、私のような弱小情報系のクリエイターと同じようにAIに駆逐されていくのだろう。
ちゃらく、「AIによる有機物の誘電率の推算やります」とか言うところに予算がついて生き延びる。