アゲハの糸と蚕の糸のハンセン溶解度パラメータ

蚕は繭を作るときに糸を吐くことはよく知られている。アゲハもサナギになる前に糸を出す。
口から出すのはわかりやすい。

サナギになった時に体を支える糸は口から出す。
それでは質問です。
首(と呼んでよいのか)にある糸がありながら、どうやって緑の服を脱ぐのでしょうか?上から脱ぐのでしょうか? 下から脱ぐのでしょうか?
ちなみに、お尻はお尻で固定されています。

口から糸を出すのは良いですけど、どうやって胸(と呼んで良いのか)のあたりに固定するのでしょうか?

上のものと比べると糸はものすごく細くなっている。
単に溶媒が飛んだだけではなく、引き伸ばされて一種の液晶配向が起きているようだ。

不思議でしょうがなく、徹夜で観察してしまった。リクエストが多ければ公開しよう。

お尻の部分を固定する時には、逆さになって口から接着剤をなすりつける。
(下の二枚目の写真で壁が一段と白い部分は口から出した部分で、その後お尻をこすりつけて固定する)

そこまでは良いのだけど、全身から糸を吹き出している。

容器は100円ショップで売っていた虫かごなので、材質はポリスチレンだろう。

気門(なんてあるのか知らないが)から糸の成分が溶けたミストを吹き出しているような感じだ。

このミストはポリスチレンを溶解するらしい。

アゲハが孵った後、これをエタノール100%で拭いても取れない。

また、おバカな幼虫が虫かごの上の網の部分でサナギになったことがある。

ザンネーン。
ポリプロピレンは溶かせないのか接着剤がくっつかず、外れてしまった。
(ちなみに、そう言う時には、巣立った他のアゲハの蛹の殻に差し込んでやる)

アゲハの幼虫は、柑橘類を主食にするので、多分、リモネン系の溶剤に溶かして紡糸しているのだろう。(リモネンはポリスチレンをよく溶かし、PPは溶かさない。)

だとすると、アゲハはアゲハでも、キアゲハはセリカの植物、にんじんやパセリを食べる。糸は、パセリに含まれるβセスキフェランドレン (イソブレンが二つ結合したモノテルペン化合物)に溶けるのであろうか?
リモネンもモノテルペンなのでHSPはそんなに変わらないだろうな。

家庭ではそのぐらいまでしか調べられない。
誰か溶解試験をして、アゲハの糸のハンセン溶解度パラメータを決めてくれないものだろうか?(決まったところで、なんの役にも立たないが。。。)

ちなみに、知り合いの研究者で、カブトムシの幼虫の糞の大きさと形を機械学習して雄と雌を当てると言う研究をしている方がおられる。

それなら、家庭でもできる研究なので、「おー、素晴らしい!やろう!」と思ったのだが、アゲハを見ても雄と雌が区別できていない。「うーん。残念!」

蚕の作る絹は最近繊維だけではなく、化粧品などにも使われている。
絹のメカノケミカル反応に関する研究
有機溶媒による絹糸の収縮挙動
と言う論文がネットに転がっている。

このデータはHSPiPのQSAR機能の例題に入っている。(Silk-Shrink.hsq)
データをMain Tableにインポートして、実データ(0,1ではなく溶解量でハンセンの溶解球を求める)でHSPを計算すると次のようになる。

[dD, dP, dH]=[15.64, 10.53, 14.41]なので非常に極性が高い。
アミノ酸のセリン[HSP=17.7, 11.67, 24.25]が主体なので、ポリリジンに近いポリマーなのだろうか。

保水性や抗菌性を生かした化粧品材料になるようだ。
流石に、アゲハの糸とは格が違う。

HSPiPで実データをGAで処理する方法はあまり使われていないが、QSARも含め色々使える技術だ。
知らないと損をする。

最近、アゲハに関するブログへのアクセスが急増している。
こんな一般受けしない情報よりは、育て方に特化したページにした方がアクセス数を稼げるだろうな。

今年も、このところ毎日アゲハが飛んでくる。
庭の柚子と山椒の木が目当てだ。
もし、そういう木があって、アゲハを育てないなら、枝を切ってきてバケツに放り込んでおこう。
なぜだか知らないが、そうやって低い位置に葉っぱを置いておくとよく卵を産んでいく。

今、もう4つ産み付けられた。

1週間くらい経つと中が黒くなる。

そしたら家の中に保護する。

iPhoneに接写レンズをつけて拡大してみると、中で動いているのがわかる。

幼虫が孵ったら、すぐにタイムラプスで撮影しよう。
幼虫は生まれるとすぐに卵の殻を食べてしまう。それを撮影できるかもしれない。
本人に聞いたわけではないからわからないが、大事な栄養素が入っているからとか、他の捕食者に見つからないようにとか言われている。

農家さんは虫の害って困るだろう。
蝶が卵を産まないように殺虫剤を撒く。
しかし、すでに産まれてしまったものは、効果の薄れる1週間後ぐらいに生まれる。
問題は、卵の殻を浸透して中身を殺すのは難しいことだ。
そうした時に殻に高濃度に溶解するようにHSPを設計すると、生まれてすぐその殻を食べて死ぬ。

うちは農薬撒いていないから、うちにおいで。
でも、青ちゃんを狙って、トカゲは木に登り、トカゲを狙って鳥がバサバサしているので保護されたやつ以外が生き延びるのも大変だろうけど。

最初はまっくろくろすけだけど、何回か脱皮する。その脱皮した皮も食べてしまう。

そう言うのが撮影できた時も結構嬉しい。

2022.6.11
コンサルの後酔っ払って帰ってきて翌日。
いきなり6匹と卵1つの大家族を部屋に引き取った。
しばらく、外泊はできないな。

「アゲハの糸と蚕の糸のハンセン溶解度パラメータ」への2件のフィードバック

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