YMB物性推算

2026.3.15

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[1. 概要]

YMBはYamamoto Molecular Breakの略だ。低-中分子(Molecule)を分割(Break)して物性推算を行うLLC: pirika.comのCEO, 山本博志(Yamamoto)が作成したソフトウエアだ。山本は化合物の物性推算式を開発しWebページで公開[*1]してきた。原子団寄与法[*2]、対応状態原理法[*3]、ニュータルネットワーク法[*4]を駆使し、分子の構造のみ(SMILESの構造式[*5])から熱物性を推算する。
商用ソフト、HSPiP[*6]とPirika Pro[*7]に搭載されて販売されている。

[2. 分子分割のアルゴリズム]

物性推算法基礎[*8]に示すように物性推算法は原子団寄与法を使う事が多かった。例えばJoback法[*9]では分子を構成する原子団の数を入力する必要がある。人為的な分割ミスがありうる。
YMBはSMILESの構造式を入力に用い山本のアルゴリズムで自動分割する。分割は大きな原子団から順番に定義していく。例えばt -butylがあった時にCH3が3つ、4級炭素が1つとは数えない。t -butylが1つと数える。数え方を間違えると正しい計算結果にならない。自動で分割するためには分子を構成する原子団[*13]が先に定義されている必要がある。原子団のパラメータが決定されていない場合には推算値は得られない。分子を原子団に分割した段階で結合情報は失われる。それを回避するDGC(Dynamic Group Contribution)法[*14]を開発した。

[3. YMBの推算精度]

Classic HSPの推算精度に関してはY-MB 3.0.x (2010)[*10], Y-MB2021の推算精度[*11]を公開している。HSPiP ver. 6.0にはY-MB2021、ver 6.2 にはY-MB2023が搭載された。物性推算は学習に使ったデータセットに依存する。今のバージョンはデータセットを少し大きい方へ動かした。大きめの分子で計算が破綻しない特徴を持つ。

[4. YMBの出力]

大学版YMB(2011)[*12]の出力を解説している。温度依存性の物性値[*16]も出力する。1分子1行で表現するためHSPiPやPirikaProでは温度依存性物性値は25℃のものだけを扱う。HSPも温度に依存する物性値だ。別途説明[*15]する

物性値説明HSPiP ver.6.2Pirika Pro for MIPirika Pro Add-On
dD23HSPの分散項
dDvdw23HSPの分散項をVDWの体積項へ分割
dDfg23HSPの分散項を官能機項寄与分
dP23HSPの分極項
dH23HSPの水素結合項
yHAcid26Hiroshi法のdHのLewis Acid分
yHBase26Hiroshi法のdHのLewis Base分
yED26Hiroshi法のElectron Donor(ED)
yEA26Hiroshi法のElectron Acceptor(EA)
MVol1825度での分子体積
Ovality21卵形度(完全球形で1)
yEDL26一番大きなED(官能基ごと)
yEAL26一番大きなEA(官能基ごと)
dHAcidLaOldHSPiPの一番大きいdHAcid (官能基ごと)
dHBaceLaOldHSPiPの一番大きいdHBase
(官能基ごと)
MW分子量
Melting Point23GA[K]融点
Density1925度での密度
BP23GA沸点
Tc23GA[K]臨界温度
Pc23GA[MPa]臨界圧力
Vc21GA[cm^3]臨界体積
AntA23GAAntoine 蒸気圧式 A
AntB23GAAntoine 蒸気圧式 B
AntC23GAAntoine 蒸気圧式 C
Ant1T23GA蒸気圧が1mmHgとなる温度
logP19GAオクタノール/水分配比率
logS23水への溶解度(g/100g水)
logBCF23生物濃縮性
RI19GA23屈折率
Hv@BP23GA沸点における蒸発潜熱
FlashP現在出力していないXXX
FGF内部パラメータ
Abraham yAcid26Abraham Acid山本版
Abraham yBase26Abraham Base山本版
dNet23正則溶液以上の水素結合ネットワーク分のSP
dReg23正則溶液(蒸発潜熱/沸点が88)分のSP
COSMO_VolCOSMO法で計算された分子体積
MCIMolecular Connectivity Index
Gamma-d表面張力の分散項
Gamma-p表面張力の分極項
Gamma-Hacid表面張力の水素結合酸性項
Gamma-Hbase表面張力の水素結合塩基性項
Parachor表面張力を計算する用のパラコール
SurTen表面張力
Viscocity粘度
Edmister-omegaEdmister 偏心因子
LK-omegaLee-Kesler 偏心因子
yHacidLHiroshi法のdHの一番大きいLewis Acid分
yHbaseLHiroshi法のdHの一番大きいLewis Base分
dHacidOldHSPiPのHAcid ブレンステッド酸
dHbaseOldHSPiPのdHBaseブレンステッド塩基
2DMaxPChr2D電荷平衡法一番大きいプラス電荷
2DMinChr2D電荷平衡法一番小さいマイナス電荷

[5. 混合物の物性]

多くの物性値には明確な混合則は存在しない。臨界定数を用いた対応状態原理法では混合臨界定数を入力値に使うことによって混合物の物性値を推算することもある。
まずはHSP関連の混合則から見直している。
Classic HSPでは混合HSPは体積分率で計算する。これは理想溶液としての混合則になる。しかし理想溶液近似で済むのはTroutonの通則[*17]が成立するものだけであろう。
dNet23は正則溶液以上の水素結合ネットワーク分のSP値になる。この値がゼロに近ければ正則溶液と考えることができる。
HSPiP ver. 6.0やPirikaProではYMBの混合則[*18]は線形ではない。新たに混合溶液の活量係数[*19]を推算するHSP-AiSOG法をPirikaProに搭載した。

[6. 整形されたデータ]

YMBの結果から用途に合わせたフォーマットを出力する。
6.1 HSPiPフォーマット
6.2 NewSphereフォーマット
6.3 QSAR (QSAR用に全ての数値を出力)
6.4 sof (HSPiPの溶媒最適化 Solvent Optimizer Fileのフォーマットで出力
6.5 dH分割 (水素結合分割値だけ出力)
6.6 IGC (インバースガスクロ用フォーマット)
6.7 FG-List (原子団リスト)

[7. Pirikaのリンク]

*1 TCPE(Thermo Chemical Properties Estimation)
*2 原子団寄与法
*3 対応状態原理法
*4 ニューラルネットワーク法
*5 SMILESの構造式
*6 HSPiP
*7 Pirika Pro
*8 物性推算法基礎
*9 Joback法
*10 Y-MB 3.0.x (2010)の推算精度
*11 Y-MB2021の推算精度
*12 大学版YMB(2011)物性推算法
*13 原子団一覧
*14 DGC(Dynamic Group Contribution)法
*15 HSPの温度依存性(ブログ:将来移動する)
*16 温度依存性の物性値
*17 Troutonの通則
*18 YMB2021以降のHSP混合則(ブログ:将来移動する)
*19 活量係数(ブログ:将来移動する)


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