コロナ軽症用、経口治療薬のハンセン溶解度パラメータ。

コロナ探知犬のデジタル・トランスフォーメション(DX)のブログをアップしました。

新聞を見ていたら、コロナ軽症用、経口治療薬の話が出ていた。昔のインフルエンザにもワクチンはワクチンとして、それとは別にタミフル、リレンザなどの薬がある。
そうした薬のHSP(ハンセン溶解度パラメータ)を計算してきた。
同じように、今回新たにわかった、コロナ軽症用、経口治療薬のHSPを計算してみよう。
HSPiPを持っている人が計算できるように、SMILESの構造式もつけておく。
モルヌピラビル(メルク):CC(C)C(=O)OCC2OC(n1ccc(=NO)[nH]c1=O)C(O)C2O
AT-527(ロシュ):CNc1nc(N)nc2c1NCN2C4OC(COP(=O)(NC(C)C(=O)OC(C)C)Oc3ccccc3)C(O)C4F
S-217622(塩野義製薬):COc4cccc5[nH]c(C(=O)NC(CC(C)C)C(=O)NC(CC1CCNC1=O)C(=O)c3nc2ccccc2s3)cc45
PF-07321332(ファイザー: パクスロビド ):CC(C)(C)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(=O)N1CC3C(C1C(=O)NC(C#N)CC2CCNC2=O)C3(C)C
Baricitinib : CCS(=O)(=O)N4CC(n3cc(c1ncnc2[nH]ccc12)cn3)C4CC#N

最近思うのだが、こうした化合物の多くは構造を3つに分けて考えると良い気がする。
その理由をこちらで解説した。大きな構造全体の平均としてのHSPはあまり意味がなく、部分構造のHSPがどんな寄与をしているのか考えるのが重要だと考えている。

ハンセンの溶解度パラメータのコンセプトは、似たHSPのものは、似たHSPのところに溶けるだ。これらの薬はどんな所に溶けているのだろうか?

また、QSAR的には電子受容性(EA)や電子供与性(ED)も大事なので合わせて計算結果を載せておく。(EDやEAをHSPに加え、7次元にした時の解析法を解説した。)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: Baricitinib.png

オーバーオールで見ても、結構よく似たHSPになっているので面白い。BaricitinibはシオノギのYH-53に似ているかな。

namedD19dP19dH19dHAcid16dHBase16ElectronDonorElectronAcceptor
Molnupiravir18.869.2713.498.4919.6715.621.3
AT-5272010.6910.356.2616.5732.224
Y H-5320.0713.29.846.8410.1730.527.2
PF-07321332
パクスロビド
18.2412.677.685.667.0430.527.2
Baricitinib20.6511.358.263.469.9120.725.5

コロナのHSPと比べると、薬のdHが小さいのがちょっと気になる。

では、実際にこうした部分構造を含めてSMILESの構造式をどう得たら良いのだろうか?
JSMEにSMILESの構造を入れて次のようにして3つの部分のSMILESを入手する。

ファイザーのパクスロビドは、抗ウイルス薬(PF-07321332)と、抗HIV薬であるリトナビルとを組み合わせた合剤だそうだ。そのような時にはこのような計算が役に立つ。

コロナウイルスのHSPの計算

HSPiPを持っていれば、HSPが既知の溶媒で溶解試験を行えば、溶質のHSPを決定する事ができる。それと同じようにウイルスの各部分とHSPが既知の化合物との結合エネルギーがわかれば、ウイルスの各部分のHSPを求める事ができる。

オミクロン株はこのスパイクの部分が変異してしまったので、抗体などがスパイクを認識できなくなったらしい。具体的にスパイクの部分に絞って解説した。

今ある薬をオミクロン株に対応させるため、生物等価性を利用して薬を設計するならこうなるのだろう。CLIライセンスを持っていればすぐだ。

実はまだ、このHSP計算用のパラメータは未公開(ver. 2019)だ。
このところ毎日、ver.2021を作成している。段々飽きてきたので、ちょっと遊びで計算してみた。
CLIライセンス・ユーザとかの限定ユーザーにはテスト用に使い始めてもらっている。
このY-MBはver. 6に搭載されることが正式に決定した。
2022年年末までにはリリースされるだろう。

人類に役立つ薬の開発に役立つなら、こうした溶解度パラメータも提供していこうと思う。
実際にHSPiPを利用するところが、中国だろうがインドだろうがどこでもいいから、早くいい薬を作って欲しい。そのためにどうしてもY-MB2021パラメータが必要ならちょっと考えよう。先に使えるように便宜を図るとか。

このページをハンセン先生に送ったら、次のような返事をもらった。

Back in 2008 I did get something similar published. The attachment finally got through the review process after some help from a certain Prof. Steven Abbott. It is his title, for example. Well anyway, I correlated the HSP for the chemotherapy drugs and got a very good HSP sphere out of it later. An average HSP for the DNA bases was 18.3, 10.3, 12.3. I think these are not too different from what you report. This HSP would also suffice for what it necessary for getting through cell walls, since these drugs just get in the way for reproductive processes at the DNA base sites (where the HSP match is good). The article has gotten 33 citations according to Google Scholar. Some time later I heard a talk where the speaker got a large molecule through cell walls by attaching to one or both ends what my memory says was DOX (Doxrubricin). This could get into the cell wall, and the rest could worm through afterwards. The point I have speculated on has been just how the cell walls are passed by virus. I know the receptor is there, but is it necessary if a part of the virus has the right HSP? I wish I could find someone to discuss this with, but either of you are welcome to pursue if you so choose.

In parentheses, which I use too many of, I had a project with a potential drug for psoriasis many years ago. I had it measured at FORCE. I had calculated the HSP and those measured were only off by 1 or 2 units. I resembled DOX with several rings, and had one OH group less, as I remember. I was very pleased with the calculation. I add this since what you are doing with the Y-MB are basically what I did back then by hand. About one hour for each chemical trying different ways to get at it.

このページにアクセスする研究者はとても多いけど、何のコメントも貰えないので、相談はできない。外国に期待しよう。

「コロナ軽症用、経口治療薬のハンセン溶解度パラメータ。」への4件のフィードバック

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