大学との共同研究ならHSPiPを購入しなくても良いか?

化粧品会社ミルボンが、関西大学の山本秀樹教授と協働により 日本動物実験代替法学会第 33 回大会で「板垣宏学生奨励賞」受賞したとある。発表タイトルは「Hansen 溶解度パラメータを用いた新規安全性試験の検討」だ。

しかし、ミルボンはこれまでにHSPiPを購入したという実績はない。

大学と異なり、企業は(コーポレートライセンス、CLIライセンス以外は)記名式ライセンスを購入しなくてはならない。これは記名者のみが使って良い。
この記名式ライセンスをミルボン社は1つも購入していないのだ。

ミルボン社は、HSPiPを使っているのは学生なので問題はないと主張している。

リターンキーを押したのが学生で、その結果を受け取る。自分らは触ってもいないので購入する必要はない?

そんな言い訳が通用するだろうか?
物理的にリターンキーを押したのは誰であろう関係ない。
HSPiPを使わなくては出せない結果を出して、その結果をもとに特許を出願し、会社としてプレス・リリースする。それで使っていないと主張できるなら、ソフトビジネスなど成立しない。

関西大学は、HSPiPを購入している。それでは大学で購入したソフトウエアーを共同研究している企業に無償で利用させて良いかというと、それは問題だ。
HSPiPはアカデミック・ディスカウントは無いソフトだが、研究室で購入した場合、研究室のメンバーは自由に使って良い事になっている。

ソフトウエアー・ベンダーがアカデミックにそうした優遇をするのは、将来社会人になった卒業生や、共同研究している会社が正規の購入をしてくれる事を期待してのことだ。

もし、その化粧品会社に、「大学で購入したソフトウエアーを自由に使って良い」と大学関係者が許可を与えたなら大変な事になる。
大学以外は記名式ライセンスを購入しなくてはならないのだから。

HSPiPは著作権で保護されたソフトウエアーだ。
著作権、出版権、著作隣接権の侵害の場合、罰則は原則として「10年以下の懲役」または「1000万円以下の罰金」となる。
しかも、どちらか一方ではなく懲役と罰金を両方とも科すことができる。
侵害者が法人の場合には、罰則は、「3億円以下の罰金」となる。

そこで、HSPiP利用の許可を与えたなら、大学関係者は、このような刑事罰を覚悟したほうが良い。

特許を調べたところ、まだ出願は無いようだ。(出願の情報をいただいた。ありがとうございます!)
しかし、新聞発表で、「Hansen 溶解度パラメータを用い」と言ってしまっている以上、HSPiPを使っていないという言い訳は難しいだろう。出願したものにHSPiPのスクリーンショットを載せているので、使ったことは明らかだ。

水の沸点が100℃なのは科学的事実なので、誰に断らずに使っても良い。
Hansen 溶解度パラメータは科学的事実ではない。
Hansen先生、Abbott先生と私が、ある意味”恣意的に”決めた値だ。
その最新の値を得るにはHSPiPを使うことが必須だ。

最近、多くの大学がHSPiPを購入してくれる。
論文も書きやすいし、特許も書きやすいし、それについては微力ながら協力をするのもやぶさかではない。
外部に発表するときに、HSPの値とともに発表する事は全く問題ない。

しかし、企業との共同研究で、企業と共同発表、共同特許、企業からのスポンサーシップがあって、かつHSPiPが本質であれば、その企業にHSPiPを正式に購入するように求めるのは、共同研究をする者の当然の務めであると思うのであるがどうだろう?

私は、HSPiPの開発者として、日々、さらに精度の高いパラメータの作成、役に立つ機能の搭載に苦労している。

ユーザーは、そうした開発者の成果を使っているのだ。
関西大学の教授は、そうした開発には何の貢献もしていない。講習会とかやって稼いでいるだけだ。

そのような状況下で、本来の購入しなければならない企業ユーザーが、大学にただのりするのであれば、ソフトウエアー開発など、ビジネスとして成立するはずがない。

ジャパン・プレミアムで日本で購入する場合、違法コピーも含めて20倍の値段などというのも冗談ではなくなる。
大学にグループ内であれば自由に使えるという特典も止めるしかなくなる。

アカデミックの先生は、「Hansen 溶解度パラメータを用いた新規安全性試験の検討」で検索して状況を真剣に考えて欲しい。

真面目にHSPiPを使って成果を出したい大学や企業は圧倒的に大勢いる。
我々HSPiPの開発者たち(とは言っても開発しているのは私とAbbott先生の二人でHansen先生はもう開発はしないが)は、とても感謝している。
そうしたwin-winの関係が続くことを願っている。

色々な意見をお待ちしています。