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ファイザーの新型コロナに対する飲み薬、パクスロビドのハンセン溶解度パラメータ

今朝の新聞に、ファイザーのパクスロビドが最終治験でも重症化を9割抑制したとあった。オミクロン株にも有効だとか言っているらしい。

このパクスロビドと言う薬は、抗ウイルス薬(PF-07321332)と、抗HIV薬であるリトナビルとを組み合わせた合剤だそうです。
抗ウイルス薬(PF-07321332)のハンセン溶解度パラメータはこちらで、
リトナビルのハンセン溶解度パラメータはこちらで紹介しているので、今更になるが、この2つをまとめておこう。

PF-07321332(ファイザー ):CC(C)(C)C(NC(=O)C(F)(F)F)C(=O)N1CC3C(C1C(=O)NC(C#N)CC2CCNC2=O)C3(C)C

ファイザーのPF-07321332については、3つの部分に分けて、各部分のHSPを計算した方が良いことをこちらで説明している。大きな分子を平均値で見てしまうと各パーツの溶解性が曖昧になるからだ。

リトナビルはずいぶん昔に計算したので、平均値で議論した。
今回はよくわからないので、エイヤーと3つに分けてみた。
異論があるかもしれない。
何せ、薬学は全くの素人なので、専門家の意見があれば無条件で従います。コメントください。

Ritonavir(リトナビル): CC(C)c4nc(CN(C)C(=O)N[C@@H](C(C)C)C(=O)N[C@@H](Cc1ccccc1)C[C@H](O)[C@H](Cc2ccccc2)NC(=O)OCc3cncs3)cs4


今回は、2つの成分の合剤と言うことで、2つの薬剤の平均値、各部分のHSPがハンセン空間のどこに位置するか調べてみた。
下のキャンバスに、小さい多くの青い球が表示されている。この一つ一つは溶媒を示している。球をクリックしてみよう。その球がどの溶媒か表示される。この88溶媒はハンセン先生が初期に溶解試験に使った溶媒である。赤い球は各部分のHSPになる。平均値のHSPは赤い球と半径5の大きな水色か緑の球で示してある。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

見やすいように、マウスでドラッグして、拡大してみよう。

水色(Ritonavir)と緑(PF-07321332)の大きな球は結構よく重なっている。
そして、Rito-rightとPF-leftは大きな球から外れる。分子を平均値で見てしまうと、この部分構造がどのような溶解性になるのかを見落としてしまう。
周りの溶媒(青い球)をクリックしてどのような溶媒のHSPと近いかチェックしよう。

次に、大きな球の内側にある、Rito-CenterとPF-Centerの赤い球を探してみよう。
すると、真ん中の部分の構造は、RitonavirとPF-07321332で全然異なるのに、HSPは非常に近いことがわかる。真ん中同士はよく溶け合うのでは無いかと予想される。
(反対だったらごめんなさい。予想というのは、反対から読めば。。。。)

”このリトナビルは、プロテアーゼ阻害薬という種類の抗ウイルス薬と併用することで、プロテアーゼ阻害薬の血中濃度を高く維持する効果があり” 忽那賢志先生のブログより
抗HIV薬として効いているので無いなら、溶解性をあげるには、PF-CenterのHSP [dD, dP, dH, dHAcid, dHBase]=[18.08, 12.19, 8.61, 3.43, 4.6] を持つような構造をHSPiPで探して側鎖に溶解性を上げる置換基でも良いような気もする。

HSPを使った共結晶作成と融点低下現象の説明と近い気がする。

もともと、何故、薬学門外漢の私が薬のHSPを提供しているか?
薬が細胞膜を透過するなら、薬のHSP と細胞膜のHSPの関係はどうなっているのだろうか?とか
XXX阻害薬って、結局なんなのだろう?
ウイルスが自分を複製するときに、餌を食べる。
それをどうして餌と認識するのだろう?
人間でも、味や匂いはHSPとかなり関係がある。
ウイルスもこんなHSPのものは餌だと思って食べてみたら、先っぽの方が違っていて、複製がそこで止まってしまうから?
そんな議論をハンセン先生達と良くするので、徒然に書き進めているだけだ。

このブログは世界中からアクセスされるようなので、それなりに評価されているのだろうか? でも、日本からは未だになにもリアクションは無い。

インドの研究者とはZOOM会議でここのところを議論した。
薬の設計の人とHSPの利用を議論したのは初めてだ。

世界の大手製薬メーカーは膨大な予算を計算機科学に注ぎ込んでいる。
AI/MLなどはお手の物だろうから、頑張って進めて欲しい。

それに比べれば、途上国や大学は予算も限られるので、普通のPCと$1195のHSPiPでこんな研究ができるのは、美味しいツールだ。
まー、国はどこでも良いから早く良い薬を作って欲しいものだ。