星新一のショートショートにこんなのがあった。
人間は大人になると子どもを作る。その後すぐにコールドスリープの装置に入る。夢の中では、大金持ちだろうが、ハーレムの王だろうがスパイだろうが好きなものになれる。栄養補給と子育てはAIロボットが行う。
そこで見ている夢はフェイクかどうかって、考えること自体ナンセンスだ。
その装置は世界征服を夢見る科学者が開発したものだが、自分でその装置に入って夢を叶えれば良いことに気がついた。
今朝の新聞に、日本の新聞社が記事の盗用でAI開発の会社を提訴したとある。
正しい事実(ファクト)を生み出す、金の玉子を産む鶏の腹から産卵器官を抜き取るような真似をすれば新聞社が怒るのも無理はない。
アメリカの大リーグで選手がストライキをやって試合が行われない事があった。
その時に、ある番組が、過去の試合をまるまる流した。
これは実際の試合なのでフェイクではない。細かいところ(日付とか場所とか)を消してしまえば、見る方にすれば十分楽しめる。試合が無いことによって欲求不満がたまって暴動起こすよりはよっぽど良い。
それでは、弱小チームのフアンの人に、そのチームが活躍する映像を、その人だけのためにAIが作ったとしたらどうだろう?
ドラマなんって事実では無いので、もともとフェイクだろう。
でも野球の試合だって、その人が望むドラマならフェイクかどうかは関係ない。楽しければ良い。
会社に行って働いている間がフェイクで、家に帰ってきてドラマを見ているときだけが現実になる日も近い。
AIを開発する会社は、正しい事実(ファクト)を目指すから新聞社に怒られるんだ。
「ほぼ日刊、フェイクニュース」というサイトでも作って、AIが作ったフェイクニュースを楽しむサイトにしてしまえばいい。
来訪者の好みに合わせ、記事を変える。ただし、あくまでもエンタメなので、楽しくなくては駄目だ。夢見るコールドスリープの装置が10000兆円で販売になった、なんてニュースはどうだろうか?
想像力が物を言う。星新一や藤子不二雄並みの才能が必要だろう。