AIよ。イオン液体や深共晶溶媒(DES)の研究リスタート。

隠遁Chemistと愛(AI)の交換日記

イオン液体のイオン伝導度(IC)と粘度の推算に関して昔論文を書いた。
J. Phys. Chem. C, Vol. 111, No. 43, 2007 
Journal of Computer Aided Chemistry , Vol.7, 18-29 (2006

物性推算と逆設計
構造から物性へー物性から構造へ

東京大学、俯瞰環境工学寄付講座:公開シンポジウム 2007.2.6
で発表している。

概要を説明しよう。

MOPACを使ってMO計算する

このMOの結果を用いてイオン液体の物性値を計算する。
Viscosity, Ionic Conductivity, Density, Thermal stability, Yield(反応溶媒に使う場合)などをターゲットにした。

多項式展開法

現在はMIRAI法と呼んでいる。LLC: pirika.com社製のソフトウエアーだ。

MIRAI法を使うと、物性値に与えるグループごとの影響を評価できる。
例えばイオン伝導度に関して次のような式が構築できる。

イオン伝導度= Const1+Const2*(
POWER((温度*0.00926+1),9.094) *
POWER((ダイポールモーメント*-0.0149+1),8.367)*
POWER((LUMO効果) *
POWER((表面積*3.765+1),-0.818)*
POWER((Ovality*1.356+1),5.813)*
POWER((窒素電荷効果)*
POWER(アニオン効果)                  Eq.(4)                                                          

イオン伝導度の温度依存性

4式で
温度効果:POWER((温度*0.00926+1),9.094)
温度効果:POWER(アニオン効果)      
を使いEMI系のイオン液体のイオン伝導度を計算して論文の値と比較してみた。

うまく推算できていた。

イオン液体の粘度推算

アニオンが大きくなるにつれ粘度は下がる。
しかし、特にBF4は分子が小さいにも関わらず、低粘度化している。
EMI-BF4 の系には何か未知の効果が影響している事が示唆される。

EMI-BF4の融点は13-15℃とされている。従って粘度はTmに近づくにつれ急に増加する。粘度とイオン伝導度の関係がワルデンプロットであるとするとイオン伝導度はTmに近づくにつれ急激に減少しなければならない。ところが実際は図に示すように,イオン伝導度は融点の影響を全く受けずに温度に対して直線的に変化する。そこで溶けかけのシャーベットモデルを提案している。式を立て、式に乗らないものに価値がある。

Ovalityの効果

カチオンの形状が球に近づくにつれ粘度はあがる。Na+は完全な球なのでOvalityは1だ。

ダイポールモーメントと分子表面積の効果

このように、イオン液体の物性値を推算するのにMOPACで分子軌道計算するのはとても有効だった。

前振りが長すぎたが

ChemDrawに付属のMOPACはMacでは使えなくなった。MOPACは2016ぐらいから販売されていたが、とても高価で個人で持てるようなものでは無くなってしまった。
そこで、足が遠のいていた。

Open MOPAC

MOPACがOpen化されてソフトをダウンロードできるようになったのは嬉しい。ところが動くのはIntelのCPUだけだった。さいごのIntel Mac はキードードにコーヒーを飲ませてしまった。(液晶がイカれているが外部モニターに繋げば使える。もーOSとかサポートされていないし)

昨日だかに、「Apple siliconeで動くMOPACは無いか?」AIに聞いてみた。
Rosette 使えば動きますよと優しく教えてくれた。

いやー、簡単にMacでもWindowsでもMOPACが動くようになった。
これができると、YMBでの計算にMOPACの結果を取り込むことが可能になりそうだ。
(多分、AIがやり方を教えてくれるに違いない)

ちゃんとMOPACが動くか、HDの肥溜めを探したらイオン液体の計算結果がたんまり出てきた。
イオン液体や深共晶溶媒(DES)の研究リスタートだ。
これまで自作のCNDO/2で頑張ってきたことがMOPACでできる。

良い時代になったな。