AIよ。緩和時間NMRの解釈についてだ。

隠遁Chemistと愛(AI)の交換日記

パルスNMRの緩和とハンセンの溶解度パラメータ(HSP)のブログにも書いたが、緩和時間NMR(パルスNMR)のRelaxation Noと最もよく相関するのはこの場合Electron Donorであった。

この無機物はシリカ・コートのZnOだ。紫外線吸収などの化粧品に使うのかもしれない。
このところ、緩和時間NMRの実験結果とハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を関係づける論文をよく見かけるようになった。でも、無機物の表面修飾はCOSMO法で計算されるσプロファイルで解釈できるという報告も多い。

ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は、水素結合項の分割がうまく行っていない。

新しい分割法を山本博志(LLC:Pirika.com社、CEO)、つまり私が開発したが、HSPiPへの搭載は見送られている。
Pirika Pro Add-onには搭載されている。

これまでのHSPiPに搭載されているdHの分割式はブレンステッドの酸塩基をベースにしている。活性水素(酸素や窒素についた水素)を持つものだけが酸になる。
それに対して、山本はルイスの酸塩基をベースにしている。

GutmannのDN/AN(ドナー数・アクセプター数)

DN(ドナー数)ルイス塩基の指標

標準的な強いルイス酸:5塩化アンチモン(SbCl5)をほとんど配位能力を持たない1,2ジクロロエタン溶媒中で、評価溶媒と混合する。
B: +SbCl5 → B→SbCl5 
この時の中和熱をDNという。

AN(アクセプター数)ルイスの酸の指標


トリエチルホスフィンオキシド(C2H5)3P=O アクセプター能力を持つ溶媒中で31P-NMRのケミカルシフトをANとする。
(C2H5)3P=O: + A → (C2H5)3P=O→A

ローンペアを持っている化合物はルイス塩基の性質を持つ多くの金属陽イオンはルイス酸に属する。これらは例外なく低エネルギーの空軌道を持っている電子対を受け入れやすい

DNは中和熱、ANはケミカルシフトなので次元がことなる。単純には比べられない。
そこで山本はGutmannのDN/ANをベースにHSPの理論で扱えるように次元を調整したED/EAを開発した。(プロトンのドナー/アクセプターと混乱しないようにED/EA表記にした)
さらに任意の分子のED/EAをSMILESの構造式から推算できるようにYMB proに搭載した。

クラッシックHSPのdH

クラッシックなHSPでは、SP値は蒸発のエネルギーを分子体積で割ってルートを取って計算する。つまり分子が大きくなると酸や塩基の効果は小さくなる。すると酢酸ブチル、メチル・プロピルアミン、C12H25COOH, C14H29OHで3次元HSPはほぼ同じになってしまう。このアミンやカルボン酸は分子を分子平均で見てしまうと溶解性の差が見えなくなる。

思考実験:Sbを持つ粒子

クラッシックなHSPで見ると、4化合物のHSPはほぼ同じなので、SbCl5の粒子を分散させた時に同じ分散状態になるはずである。それを平均場理論(Mean Field Theory)という。
もし、ルイス塩基性の高いアミンとルイス酸のSbCl5が強く相互作用するならメチル・プロピルアミンだけ粒子表面に強く束縛されるはずである。
そうした束縛があった場合に緩和時間NMRでその差がでるはずだ。

無機物の分散

ルイスに拡張すると活性水素持つもたないだけでなく、さまざまな元素にまで酸塩基が拡張される。無機物を扱う場合には必須になる。

COSMO法と比べると

σプロファイルは電荷相互作用の項だ。

HSPではHSP距離で相互作用エネルギーを評価する。
その時にはEuclidタイプの項目の差分の自乗の総和を取りルートを取る方法と
Beerbowerタイプの酸塩基の交換項を取る式のふたつがある。

Euclid Typeの式
14:sqrt((dDvdw1-dDvdw2)^2+(dDfg1-dDfg2)^2+(dP1-dP2)^2+ (dHacid1-dHacid2)^2+(dHbase1-dHbase2)^2)

Beerbower Typeの式
29:(dDvdw1-dDvdw2)^2+(dDfg1-dDfg2)^2+(dP1-dP2)^2 +2.0*(dHacid1-dHacid2)*(dHbase1-dHbase2)

Beerbowerの2.0*(dHacid1-dHacid2)*(dHbase1-dHbase2)はケースによって負になる事がある。そして無機物の酸塩基相互作用のGutmannの中和熱が出る系では、この交換項がマイナスになる事が重要だ。

dDやdPの差分次第で距離の式全体が負になったり正であったりする。
緩和時間NMRの結果と合わせて見ると多くの知見を与えてくれる。

AIよ。ギリシャの哲学者Empedoclesの溶解度理論、「愛はものを引き寄せ、憎しみは引き離す」を超える理論を作ってくれのページも参照してほしい。

LLC: Pirika.com社製ソフトウエアー、Pirika Pro Add-on、一部の企業、アカデミックに提供を始めた。癖があるソフトなので、使いこなしは難しいが、ドキュメントを増やしていく。