他社がいい特許出してきた。対抗してくれ

2026.5.12

明日からMI部署で頑張って!って言われたら > 他社がいい特許出してきた。対抗して

[0. ストーリー]

大きい顧客が新しい事を始めると、素材メーカーは対応できるように四苦八苦する。アップルがiPhoneのパネルにサファイアガラスを検討しているという記事が出た。そもそもサファイアはガラスでは無い。強度は非常に高く傷もつきにくい。透明度が少し足りないのが欠点。ほんとうにモノになるのかという段階。そう言う時には無茶振りされやすい。iPhone 保管推奨温度、-20℃ 〜 45℃ (使用時に高温になると自動保護)、(車載用デバイスだと上限は7-80℃要求される??)温度が変わる事によって材料は繰り返し伸び縮みする。フリットとサファイアで膨張係数が近いと良い。 42*10^-7 付近? Tg点は余り高いとシールしにくい。Tc(結晶化温度)とTs(軟化温度)は差が大きい方が扱いやすい。

[1. データ準備とクレンジング]

データは無鉛のフリット・ペーストのデータを流用した[*1]。クレンジングも済んでいるとする。収集した特許には低熱膨張率のものも含まれている。

[2. 物性推算と逆設計]

2014年ごろは物性推算と逆設計と呼んでいた。クロスターム重回帰式を使って複数の物性値を予測する。複数の物性値を満足する組成は非線形の原子団ペアまで考慮しないと探索は難しい。例えば熱膨張しにくい組成はネットワークを作る成分が多い方が良い。するとTg点が高くなりがちでシールしにくくなる。

[3. 遺伝的アルゴリズム法を使った逆設計]

組成設計を行う時に遺伝的アルゴリズム(GA)法を使う事は多い。物性に非線形性のある酸化物ペアのヒダの奥まで探すのであればGA法が最も優れている。
しかし、ガラスの組成設計には特有の難しさがある。ガラスは原料の酸化物が任意の割合で混合できるわけでは無い。SiO2のようなネットワークを作る(ネットワークフォーマー)Na2Oのようなターミネータ。モディファイアーを特定の比率で混ぜた時にガラス化する。重回帰の係数で計算される組成の物性予測値が、欲しい範囲には入ったところでガラス化するかどうかはわからない。この問題をどう解決するか? 0-1ができる研究者かどうかの分かれ目になる。2000年の計算機科学討論会[*2]、触媒学会[*3]にはガラスの組成の逆設計の方法を発表している。考えてみよう。一番楽しいところだ。

[4. アプリケーション化する]

人間の手作業で最適化できるような領域では無い。ガラス化領域まで考慮に入れた探索を行うアプリケーションを作成する。アプリケーションの動作を図1に示す。
酸化物のMol%を入力してcalcボタンを押すと熱膨張率とTgの予測値を出力する。この、Ca:B:Al:Si:Zr=20:25:45:5:5はNEGの低膨張封止剤の実際の組成だ。計算値では熱膨張率43.57でTgは462.1になる。それに対して右のテキストエリアには目標値を入れる。
ここではTECは10、Tgが400になる組成を探索する。つまりNEGの組成はガラス化することは担保されている。その組成を少し動かしてもガラス化する可能性が高い。
どの程度動かす事を許容するか、他の組成まで拡張する事を許すかバリエーションはいくらでもある。アプリケーションを作る研究者のセンスがものをいう。

TEC=10, Tg=400近くなるように遺伝的アルゴリズムで組成探索する。
NEGの組成 Ca:B:Al:Si:Zr=20:25:45:5:5 TEC=43.57 Tg=462.1
GAの提案  Ca:B:Al:Si:Zr=0:57.1:31.78:0:11.13 TEC=10.85 Tg=442.86
TEC=35、Tg=500なら
GAの提案  Ca:B:Al:Si:Zr=19:31.6:37.51:5.19:6.73 TEC=34.97 Tg=499.91

CaやSiを0にまですればTECは10近くになる。
単純にみればホウ素とアルミナのセラミック基板だからTECは低くなるだろう。

Tgをより低くする事を優先したり、他の屈折率、Abbe数の値を含めて探索するようにプログラムを改造するのは簡単だ。

[5. プロンプトエンジニアリングでどうにかなるか?]

こう言うページを作ると言う事は、このページを学んだAIが山本と同じように0-1研究ができるようになると良いな、を前提としている。MIを進めなくてはならない研究者は欲しい答えを求めるためのプログラムの改良が簡単にできるので嬉しいだろう。

NEGの人間の研究者が競争相手では無い。それを超える組成を設計できるアプリケーションができてしまうと、そこから1-100の研究力の競争が始まる。
タネ撒いておいて人ごとのようなこと言って申し訳ないが、やるしかない。

[6. 図表]

図1 低膨張封止剤の組成設計アプリケーション

[7. Pirikaへのリンク]

*1: 鉛を使わないガラス作ってよ
*2: 計算機科学討論会(2000)
*3: 触媒学会(2000)


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