2026.4.4
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高分子化学 > POSEIDON Pro
[1.概要]
POSEIDONというのはPOlymer SEquence IDentify ON Macというポリマー中のモノマーの並び順(シーケンス)を計算するソフトウエアーとしてLLC: Pirika.com社CEOの山本博志、つまり私によって開発されたソフトだ。これをPirika ProとマージしPOSEIDON Pirika Pro (POSEIDON PP)という名称にした。ラジカル重合のシーケンスを解析しポリマー物性の予測を行う。その為に必要なソフトを一つにまとめた。構成を図1に示す。
[2. POSEIDON PPの構成]
- シーケンス解析機能:
Alfrey-PriceのQ-eスキーム[*1]を使ったポリマー中モノマーのシーケンス解析
レジスト用途、膜用途などでモノマーQe値を設定。シーケンス解析。 - B3LYP-POSEIDON:
密度汎函数法で計算した反応速度定数からシーケンス解析[*2] - ラジカル-モノマーの遷移状態:
MOPACで得た遷移状態(TS)リスト。密度汎函数法で計算するための初期構造[*3] - Qe値の予測:
分子構造からQe値を予測する。[*4] - 実験値からQe値を定める:
自社独自のシステム構築。モノマー比率、重合度を変えた実験でポリマー中への導入量がある場合自社独自のQe値を定める[*5]。 - ポリマー物性推算:
Van Krevelen法[*6]、YPB法[*7]を用いた物性推算
[3. シーケンス解析]
シーケンス解析を行うためには、反応性比r1,r2が必要になる。
MMAとEBR-9を50mol%で重合度30%までPoseidonでシミュレーションする。Qe値は内蔵パラメータを使う。Qe値から計算したrijの値が出力される。A: MMA、B: EBR-9とする。50:50の濃度で重合をスタートする。モンテカルロのシミュレーション行うと次のようなイメージのポリマーができる。
AAABBAABAABABAABAABBABABBABABABBAAAABAABAAAABABAAAAAAB
ポリマー中にはA: 63.26 mol%、B: 36.74 mol%導入される。
1%重合した後には、残りのモノマーの比率は49.87:50.13になる。これを30%まで繰り返す。
Summaryから、重合が進むにつれMMAが早く消費され、EBR-9が濃くなる。ポリマー中の導入量はMMAで63.3%から59.8%へと変化する。平均するとMMA:61.7%、EBR-9:38.3%となる。元素分析や残存モノマーから導入量比率を求めた場合にはシミュレーションの平均導入比率で比較する。
[4. 反応性比の入手]
シーケンスを計算するには反応性比が必要になる。Poseidon Proでは分子軌道法の遷移状態から求める方法とAlfrey-Price Qe値から算出する方法を採用している。平均的なQe値はデータベースに持たせることも可能である。企業でラジカル重合シミュレーションを行う為には自社独自のQe値を定めた方が良い[*5]。図2にレジストに使われるモノマーを示した。多くのモノマーのQe値は知られていない。共重合体中のモノマー比率は[M1]x-[M2]yのように表記されているが、どのようなシーケンスになっているかは示されていない。遷移状態計算、CNDO/2、DGC法を使い構造のみから反応性を予測する。もしくは複数の実験結果を解析してPOSEIDONに都合のよいQe値を決定する。
[5. 理論式ではない]
重合シミュレータを作る時にラジカル重合論[*8]から組み立てる方法もある。POSEIDONはそれとは逆の方向のアプローチだ。現実がある。それを再現するパラメータを考えていく。
[6. わかってくる事がある]
重合と言うのは手繋ぎ鬼のようなものだ。手を繋いだ方は動きがどんどん遅くなる。ラジカルというのは反応性が高そうな語感がある。だからラジカルはモノマーを攻撃するように思ってしまう。ポリマー末端のラジカルは動けない。モノマーが近寄ってくるのを待つしかない。もしくは手繋ぎ鬼で校庭の隅に囲い込んで捕まえる。(重合で言うカゴ効果:重合後期で急速に反応が速くなる)
[7. 図表]





[8. pirika.comのリンク]
*1: Alfrey-PriceのQ-eスキーム
*2: 密度汎函数法で計算した反応速度定数
*3: MOPACで得た遷移状態(TS)
*4: 分子構造からQe値を予測する。
*5: Qe値の決定法
*6: Van Krevelen法
*7: YPB法
*8: ラジカル重合論
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Qe値とは何なのかを考える。
私は拡散係数なのかと思う。
ラジカルとモノマーの活性化エネルギーは低い。出会ったらほとんど障壁なしに反応する(開始剤が開裂する温度なら)。モノマー同士がどのように溶解しているのか、溶媒やポリマーの中をどう拡散していくのか。
ハンセンの溶解度パラメータ(HSP)は重合シミュレータの設計にも非常に多くの知見を与える。同じようにHSP-AiSOGで計算される活量係数も多くの洞察を与える。山本の中のHSPファミリーに新しいメンバーが加わった。