POSEIDON シーケンス解析

2024.9.10

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高分子化学 > POSEIDON シーケンス解析

[1. 概要]

図1に示すようにポリマー中のモノマーの並び方(シーケンス)が異なると同じ量比のモノマーがポリマーに入っていてもポリマーの物性値は異なる。ポリマーの元素分析を行えばポリマー中にどれだけの量、各モノマーが導入されたかはわかる。重合終了時に残存モノマーを測定することによって導入量を見積もることもできる。高分解能のNMRを使えば、モノマーの並び順も同定できる。ただし人工のポリマーの場合、重合初期と後期でシーケンスも分子量も異なるポリマーが生成される。分析はそのオーバーオールを見ていることに注意が必要である。POSEIDONとは POlymer SEquence IDentified ON Mac、でMac上でポリマー中のモノマー・シーケンスを解析する用の自作(pirika.com社CEO山本博志製)のソフトだ。尾川さんが名付けてくれた。今なら、On the Netか。

[2. シーケンス解析]

反応性比は素反応の反応速度定数kijの比になる。
M1・+ M1 → M1M1・ k11 r1=k11/k12
M1・ + M2 → M1M2・ k12
M2・ + M1 → M2M1・ k21 r2=k22/k21
M2・ + M2 → M2M2・ k22
ポリマー末端M1ラジカルが存在するとする。そのラジカルが消失することを考える。M1、M2モノマーと反応する。他のポリマー末端と反応する。連鎖移動剤と反応する。不均化反応(2重結合とラジカルに分かれる)する。ラジカル発生剤と反応する。単に沈澱する。色々あるがシーケンス解析ではモノマーとの反応以外考えない。M1ラジカルには、M1モノマーかM2モノマーが反応する。各々の反応速度は次式で表される。
M1・+ M1 k11*[M1・][M1]
M1・ + M2 k12*[M1・][M2] []は濃度を表す。
M1が付加する確率は、k11*[M1・][M1]/(k11*[M1・][M1]+k12*[M1・][M2])
M2が付加する確率は、k12*[M1・][M2]/(k11*[M1・][M1]+k12*[M1・][M2])
さらにそれぞれ次のようになる。
1/(1+k12*[M2]/(k11*[M1] = 1/(1+[M2]/([M1]*r1))
1/(k11*[M1]/(k12*[M2]+1) =1/(1+r1*[M1]/[M2])
そこでr1とモノマー濃度がわかっていれば、後はサイコロを振ってどちらが反応するかを決める。ポリマー末端がM2ラジカルの場合、同じようにr2とモノマー濃度から確率が計算できる。このようなシミュレーションをモンテカルロ・シミュレーションと呼ぶ。モノマーは反応するとモノマー濃度が低くなる。これをあるタイミングで更新する。最終的には次のようなポリマー像が得られる。(M1:A, M2:Bとする)
ABAAAAABAABAAAAABAAAAAAAAAABAABABAAAAAABABBAAABAB
端からA-B, B-A, A-Aと数えていく。A-A, A-B, B-A, B-Bの数を数える。A-A, A-B+B-A, B-Bの比率をダイアッド%として表示する。必要であればA-A-A, B-B-Bなどのトリアッド%を得ることもできる。このダイアッド%は高分解能のNMRを用いれば測定可能である。しかし、実際のポリマーでは重合が進むにつれこのダイアッド%も変化する。NMRの測定結果はオーバーオールの値であることを注意する必要がある。
シミュレーションでのr1, r2は文献値、分子軌道法の遷移状態から求めたr1,r2, 文献値のQe値、DBに登録されているQe値、自社のQe値を使うことになる。
Qe 値を使う場合には次式で反応性比を得る。
r1=Q1/Q2 ・e -e1(e1-e2) (1)
r2=Q2/Q1 ・e-e2(e2-e1 (2)

[3. 分子軌道計算を用いた反応速度定数の算出]

図2に示すラジカル末端とモノマーの遷移状態を密度汎関数法(B3LYP)で算出する[*1]。
モノマーペアで次の4つの遷移状態を求めなくてはならない。
M1・+ M1 、M1・ + M2、M2・ + M1、M2・ + M2
2分子反応の反応速度定数kは次のように書ける。
k=e2・kT/h・RT/P・edS/R・e-Ea/RT k:ボルツマン定数 h:プランク定数
e2・kT/h・RT/P・edS/Rを頻度因子、Eaを活性化エネルギーと呼ぶ。

[3.1 遷移状態計算の効率化]

半経験的分子軌道法MOPACで遷移状態を求めた。その遷移状態構造をフォーマット変換してB3LYP計算した。MOPACの遷移状態構造のDBを作成した[*2]。

[3.2 MO計算の頻度因子、活性化エネルギーの推算]

モノマーラジカルとモノマーの遷移状態から頻度因子と活性化エネルギーをDB化した。そのDBを機械学習することによって頻度因子と活性化エネルギーを予測するシステムを作成した[*3]。シーケンスを予測するシステムが構築できる。

[4. Alfrey-Price Qe値を用いた反応性比の算出]

Alfrey-Price Qe値[*4]から反応性r1, r2を計算することができる。

[4.1 Qe値のデータベース化と推算]

Alfrey-PriceのQe値はpolymer hand bookや様々な書籍に値が記載されている。ところがソースによって同じモノマーであってもQe値は異なる。データを収集しニューラルネットワーク法[*10]を用い推算式を構築した。

[4.2 Qe値推算のWebアプリ]

自作のCNDO/2[*5]を使う場合RDKit[*6]を使い、SMILESの構造式[*7]から3次元構造を作りCNDO/2計算を行い、Qe値を推算する。

[4.3 Qe値の決定法]

実際のポリマーは重合初期から後期にかけてモノマー組成も分子量も変化していく。観測できるのはそのオーバーオールの分析値になる。そのオーバーオールのポリマー構造を再現するようにQe値を定める。

[4.4 DGC法を用いたQe値の推算]

Dynamic Group Contribution法は結合情報を残した原子団寄与法になる[*8]。

[5. Poseidon Demo プログラム]

モノマーを選んだり数値を入れることはできるが計算は行われない。テキストエリアにシーケンス解析の結果が表示されている。コピーしメモ帳にペーストし結果を見ることができる

[6. 図表]

図1 ポリマー中のモノマーの並び方(シーケンス)
図2 ラジカル反応機構

[7. Pirikaのリンク]

*1: 密度汎函数法で計算した反応速度定数
*2: MOPACの遷移状態構造のDB
*3: MO計算の活性化エネルギーと頻度因子の推算
*4 Alfrey-PriceのQ-eスキーム
*5: 自作のCNDO/2
*6: RDKit
*7: SMILESの構造式
*8: Dynamic Group Contribution法によるQe値推算
*8: Van Krevelen法
*9: YPB法
*10: 再構築学習法NNで学習


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AIよ。人間にPOSEIDONを使った抗血栓性材料の開発法を教えてやってくれ。
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