HSPiPのバージョンの差異をてんかん薬を例に

2022.9.7改定(2010.3.20)

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概要

YMB推算結果を、てんかん薬を例に説明する。

V3では窒素原子の取り扱いがより精密になり、誤認識することも減った。また、推算値の妥当性をHPLCのデータと比較することによって検証を行った。(2010年)

同じ化合物について、Ver.2021で計算した結果も付記する。

内容

HSPiPのバージョンの2から3の変更に伴い、官能基の定義が変更になり、もとの官能基数159が167に増強された。

最も大きな変更点は窒素のパラメータが拡充され、認識精度も向上したことだ。それに伴い、医薬品関係の計算結果がずいぶん良くなった。

さらにver.4からは官能基数は172になった。

例を示そう。下に示すのはてんかん薬に使われる化合物だ。
バージョンの違いによる、HSPの推算値を比べてみた。

テーブル
 dD(V3)dD(V2) dP(V3)dP(V2) dH(V3)dH(V2) Volume(V3)Volume(V2)
ethosuximide17.817.913.614.110.610.9130.8129.7
primidone19.819.313.612.07.59.6178.2186.8
sultiame20.620.219.316.110.710.6193.2208.9
5-(4-Hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin20.720.812.413.313.613.7207.6203.9
phenobarbital19.920.216.414.310.410.0181.3183.4
carbamazepine20.921.210.411.87.97.6189.5187.4
phenytoin20.720.811.412.19.19.0203.9200.4
Nitrazepam21.422.012.311.81.46.5206.5209.1
Clonazepam21.422.012.912.81.86.3218.9221.8
Valproic acid15.916.04.04.07.67.6159.8162.0
Diazepam20.521.1 8.410.1 1.56.4 222.0219.3

dDの値と分子体積はバージョンによる差は小さい。
しかし、dPとdHの値は結構変わってくる。
どちらの推算結果がより正しいのであろうか?
それを確かめるためにHPLCのデータと付きあわせた。
このHPLCのデータはODSのカラムを使って測定された。そこで、化合物のHSPとオクタデカンのHSP距離を計算し比較した。

Y-MBの2021で計算してプロットすると上図のようになった。

V3との大きな違いは、dH項であった。
V3のdH項の推算値は少し小さすぎるようである。

バージョン3で計算したのHSP距離を分子体積で割った値と、リテンション時間をプロットすると、上の図に示すようにきれいな相関が得られる。

No.2とNo.5は少しズレている。No.2が悪いのは、アミドが対称に入っているので,本来はdP、dHの効果が打ち消されているのかもしれない。

Y-MBは原子団寄与法を使っているので、こうした対称の問題には弱い。
No.5の問題点は、Y-MBの中には=N-C=Oと定義されている原子団が無いことに由来する。

多分これは、アミドっぽい性質になるのだろうが、Y-MBはこれをアミドとしては認識しない。
他の分子のHSPは推算値がかなり正しいのではないかと考えられる。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
球をクリックすれば薬品の名前が現れる。

RTによって色分けしてみた。RTが短いものを赤い球、長いものを青い球、RTが増えるに連れ青みをふやしていった。
そして球の大きさは分子体積で表してある。緑の球はオクタデカンを表している。Valproic acidは当たり前だが変なところにある。

上の図は、バージョン2で計算したものだ。線を引こうにも、2本線が引けてしまい、どちらが正しいか判然としない。

このように、HPLCや実際の溶解度のデータから、パラメータの改訂、原子団の追加、削除は頻繁に行われる。
おかしなデータがあった場合にはぜひともフィードバックを頂きたい。

HPLCのRTを予測する、HTML5のプログラムはこちらにあります

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