2010.8.10
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分析関係トップページ > HPLCの保持時間の最適化
概要
ハンセン溶解度パラメータを用いたHPLCの保持時間の最適化:
リテンションタイムがほとんど変わらない化合物の分解能を上げるにはカラムの長さを変える、流速を変える、温度を変えるなどがあるが、流出溶媒を最適化させるのなら、HSPiPを使うと非常に簡単に設計できる。
内容

HSPiPに搭載されている、HPLCの計算ルーチンは、ここで紹介しているルーチンとは別物です。
例題として、フェノール性の酸化防止剤を取り上げます。詳しい事は化学工業に連載の記事を参照してください。



2のピークと、3のピークの間を広くするキャリアー溶媒を探すという例題です。
2つの酸化防止剤について実際に計算してみます。
まず最初にTHBPとTBHQのHSPをHSPiPを使って求めます。
具体的には、化合物のSmilesの構造式を準備します。
この、Smilesの構造式をHSPiPのY-MBにペーストして計算ボタンを押すと、分子を原子団に分割してHSPを計算してくれます。
結果は
THBA[17.7, 8, 18.3] Mvol 157.7、
TBHQ[17.3, 7.2, 16] MVol 161.5
になります。このように溶質のHSPが決まると、ODSカラムのODSの部分への溶解性は決まってしまいます。
いろいろHPLCの計算をやってみると、リテンションタイムは、溶質とODSのHSP距離と分子の体積だけで大まかには決まっていることが分かっています。
したがって、リテンションタイムを変化させることができるのは、流出溶媒、キャリアー溶媒を工夫することぐらいです。
JAVAのアプレットを使って実際に計算するPirikaのJAVAのデモはこちらの [HPLC Solvent Designer]()をお試しください。 JAVA版は動きません。
これまで、このプログラムには誰からもコメントを頂けませんでした。
HTML5+Javascriptのプログラムは作っていません。
以降の説明は古いJAVA版なので、現在は動作しません。

プログラムを立ち上げ、分子1、分子2のHSPの値と、分子体積を入力し、Read Molボタンを押すと、固定相からの距離(Distance From Fixed Phase)と距離を体積(MVol)で割った値(Distance/Vol)が表示されます。
体積で割った値の方がリテンションタイムを正しく表現していると考えられます。
これが、0.127と0.109なので、この二つはかなり近い所に出てくる事が分かります。
(他の化合物を計算したい場合は、ここに値を入れ、次々に計算して値を控えておきます。)
それでは、この2つの化合物の分解能を上げたい時には、何ができるでしょうか?
カラムの長さを変えたり、温度を変えたりできますが、キャリアー溶媒を工夫するのが一般的でしょう。

元の記事では、二つの化合物のうち、片方に近く、もう片方に遠い溶媒を使えば、溶媒効果は最大になると説明しました。
実際にやってみましょう。溶媒として水ーアセトニトリル混合溶媒を選択します。

すると、混合溶媒への距離(Distance from carrier)と分子体積補正(Distance*Vol/100)の値が現れます。
スライドーバーを動かすと、混合比率が変わるので、ratio(Distance*Volの比率)に注目してみてください。

例えば、水(20)ーAN(80)では、二つの化合物のキャリアー溶媒に対する溶解度は等しくなってしまうので、分解能に関しては逆効果な事が分かります。
水(65)ーAN(35)から 水(49)ーAN(51)の間でRatioは0.85の最小になります。スライドバーを動かしたり、溶媒を変えたりして試してみてください。
このように、自分が分析したい化合物をHSPiPを使ってHSP値を計算すれば、リテンションタイムがどのくらいになって、分解能をあげる混合溶媒の比率はどのくらいかを知ることができます。
このようなシミュレーションを行うのに必要なデータは、Smilesの構造式のみなので、かなり応用範囲が広いやり方です。
日本以外の研究者は興味を持ってくれているWebアプリです。
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