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2026.6.15 においは3次元HSPでは足りない。
水素結合項の分割について解説した
概要
カルフォニア工科大学で行われている、”人工の鼻”プロジェクトでは、ある香り物質があるポリマーに溶解し膨潤したときに、その膨潤の度合いを電気信号に変換し匂いを検出する。
そのようなポリマー電極を数種類用意し、ニューラルネットワークを用いて電気信号のパターンから香りを判別する。
それでは、どのようなポリマー電極を用意すればいいだろうか?
花の香りのHSPを自己組織化マップすることによって、ポリマーのHSPを検討してみた。
内容
コンピュータを使った香りの設計
香りをコンピュータが理解するには?
花の香りに関する非常に良いホームページがある。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/iromizu/hana_kaori_for_so-net.html
その中に次のようなテーブルがあり,どの花にどんな成分が含まれているかが記述されている。(◎: 香りを特徴づける成分 □ : 香りの主成分)
Jspreadsheet CE
A:バラ、B:ジャスミン、C:ジョンキルすいせん、D:ヒアシンス、E:橙花、F:ミモザ、G:月下香、H:イランイラン、I:キンモクセイ、J:カ-ネ-ション、K:ラベンダ-、L:ライラック、M:すずらん、N:グレ-プ、O:ゆり、P:くちなし、Q:じんちょうげ、R:スミレ
このようなデータに対して,まず化合物のHansen Solubility Parameter (HSP:ハンセンの溶解度パラメーター)を推算する。
我々の香りに対する基本的な考え方は,嗅覚細胞に対する化合物の”溶解“があって初めて匂いを感知できる。
従って,HSPのベクトルは花の香りを識別するのに非常に適していると考えられる。

まるッと、香物質ごとに3つの数字を割り振ることができる。

例えば、お酢は赤い三角が大きくて、酸っぱく感じるとか、都市ガスの硫黄の匂いは緑が大きいとか、分子特有のHSPを得ることができる。3つの大きさを嗅上皮にあるセンサーで測ってその信号を脳に送っていると考える。
問題なのは香りというのは、複数の香り物質の集合体だということだ。薔薇の香りという1つの分子があるわけではない。
Jspreadsheet CE
HSPは分子の構造の線形表記であるSmilesの構造式があればすぐに計算できる。テーブルからコピーして計算してみよう。

表中のSmilesをコピーし、Y-MBにペーストし計算ボタンを押して計算結果を上の表に戻すことが簡単にできる。Y-MBを使って一括で計算することもできる。
2026.7.3 Smilesの構造式からHSPiPのデータファイルを作ってしまえば、香り成分をハンセン空間にプロットすることができる。赤い球はバラに含まれる化学物質だ。この赤い成分(濃度の問題はあるが)を嗅いだ時に脳はバラと認識する。バラという香り物質が一つあるわけでは無い。緑色の球はライラックの香りのマップだ。バラと重なっている化合物はない。PirikaProでは簡単にデータ作成を行い結果を確認できる。
Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。
2010.3.24 当時はSOMを使って解析していた。
つぎにこのHSPの値を使ってSOM(自己組織化マップ)法を使って解析をする。
各々の成分は40*40のマトリックスの1点にマッピングされる。そして,似たベクトルは似た位置にマッピングされる。
円で示したのは花の香りで重要な成分である。

各花が持つ成分だけを囲むパターンを作って見ると,代表的なものは次の5パターンになる。
こうしたパターンで花の”香り“を”見る“と大きく異なっている事がわかる。
これなら,本物の鼻でも匂いを識別できるだろう。
カルフォニア工科大学で行われている”人工の鼻”のプロジュエクトは,香りを吸着する数種類のポリマーとポリマーが香りを吸着した時の変化を電気信号に変えるセンサーからできている。
ある香りのHSPと同じHSPを持つポリマーはその香りが溶解しやすい。
香りがこのようなパターン化されればコンピュータでも識別できる。

橙花,ジョンキル水仙,ジャスミンのパターンは似ている。 ジョンキル水仙は単純だけど, 橙花とジャスミンは複雑な構成になっている。

月下香とイランイランのパターンは非常に良く似ている。どちらも花としてはなじみがないので,区別がつかないかもしれない。

ラベンダーとくちなしはどちらも強い香りをもっている。基本成分はそのままに,例えばラベンダーにクチナシを特徴づける,Methyl Anthranilateを混ぜたらどんな匂いになるのだろうか? 興味は尽きない。

すずらん,バラ,ジャスミンは3大香料として有名である。パターンは大きく異なるし,使っている成分も近くはあるが微妙にずれている。

月下香は(橙花+バラ+ジャスミン)をたして3で割ったようなパターンになっているというのは考え過ぎだろうか?


このパターンを電気信号に変える事ができれば、Electric-Noseを作る事ができる。
そこで、このSOMの分類から、代表的な領域を抜き出してみる。おおよそ、7種類の領域があると考えてよさそうだ。

後は、香りの成分と同じHSPをもつポリマーを用意して、そのポリマーが香り成分で膨潤するのを電気信号に変えて検出する。
下の図で言えば各領域のHSPをもつポリマーをデータベースから検索すると図に示したようなポリマーが候補としてあがる。
例えば、こうしたポリマーにカーボンブラックを練りこみ、電極を作る。
何も溶けこんでこないときには、カーボンブラック同士は接触していて電気が流れる。
しかし、ニオイ成分が溶けこんできて膨潤すると、カーボンブラック同士の接触は減りその差が電気信号として観測される。
におい物質の溶け込み方はHSPがことなれば異なる。そこで、この7種類の電極からの信号パターンで香りを特徴付けることができる。

環境ホルモン、アレルゲン、悪臭、VOC規制化合物のセンサーを作りたい場合にも考え方は同じだ。

ただし、話はそんなに簡単ではなく、香気成分の沸点は皆異なる。
つまり同じ量の香料があっても、蒸気の量は非常に異なる。
HSPiPにはRER(相対揮発度)を予測するルーチンが搭載されている。
それを使うと酢酸ブチルを1とした時のRERの値が求まる。それを1000倍したものが上の図だ。
蒸発しやすい成分のそばにある香気成分はかぶってしまうので、センサーのポリマーの選択には注意が必要だ。
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