Alfrey-PriceのQe 値のDB化と推算

2026.4.6 (2005.7.20)

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高分子化学 > ポリマー中のモノマーのシーケンス(並び方 > Alfrey-Price Qe 値> Qe 値のDB化と推算

[1. 概要]

Alfrey-PriceのQe値はpolymer hand bookや様々な書籍に値が記載されている。ところがソースによって同じモノマーであってもQe値は異なる。山本の研究では、2つのモノマーが液相で反応する場合、モノマーの拡散係数[*1]が重要になる。ポリマーのラジカル末端は動けない。モノマーが大きく拡散しにくい場合には2重結合の反応性が高くても反応できない。モノマー同士の溶解性や拡散性の違いで、相手によってQe値が異なってしまう。異なる値も含めQe値のデータを収集した。その値の中で、適当な値を選択して推算式を構築した。世の中には精度の高いQe値推算法を構築したとか言う論文もあるが意味がない。精度高く推算したいのは、任意のペアの濃度、任意の温度・圧力、重合系(固相、液相、気相)での反応性比だ。

[2. Alfrey-Price Qe 値の収集]

ラジカル共重合の理論ではラジカル末端がモノマーと反応する時の反応速度定数kijから反応性比を求める。
M1・+ M1 → M1M1・ k11 r1=k11/k12
M1・ + M2 → M1M2・ k12
M2・ + M1 → M2M1・ k21 r2=k22/k21
M2・ + M2 → M2M2・ k22
様々な系の反応性比r1,r2がHandbookに記載されている。
Alfrey-PriceのQe 値から次式で簡単に反応性比が得られる。
r1=Q1/Q2 ・e -e1(e1-e2) (1)
r2=Q2/Q1 ・e-e2(e2-e1 (2)
Q-e値はスチレンのQ,e値(Q=1.0, e=-0.8)をベースに決めていく。フッ素系のモノマーではTFE(テトラフルオロエチレン)をベースに決めたりもする。すると、ひ孫のあたりのモノマーでは同じモノマーでもさまざまなQe値になってしまう。収集したQe値のうち、Q値に関しては同じモノマーで図1ぐらいばらつく。横軸はあるモノマーをQe値の大きさによってソートし小さいものから順に取っている。縦軸はDBに複数のQ値がある場合に、その値がどれだけバラついているかを示している。横軸のQ値は対角の値を採用している。Qe値がこのぐらいばらつくと言う前提で、推算式を構築する。

[3. ニューラルネットワーク法Qe値の推算]

2005.7.20の古い記述。
MOPAC PM3で分子軌道計算をしてその計算結果を用いてQe値を推算した。新しいモノマーを計算するするにはMOPACで分子軌道計算する必要がある。現在(2026)MOPACはオープンソースになったので、新しいモノマーを計算するのも簡単だ。しかし、自作のCNDO/2[*2]であれば、Webアプリ[*3]で簡単にQe値が計算できる。データベースにあるモノマーをすべてCNDO/2で計算し、その値を使ってNNに学習[*4]させる。その値を表1に示す。(実際には特にQ値はMO計算だけでは合わないので、補正項を入れて学習させる。)
163モノマー化合物のQeとCNDO/2の計算結果から重回帰計算[*5]を行う。図2にCNDO/2の計算結果を使った[a] log(Q値)の重回帰計算結果、[b] e値の重回帰計算結果を示す。推算精度はとても低いと言わざるを得ない。図3にCNDO/2の計算結果を使った[a] log(Q値)のニューラルネットワーク法計算結果、[b] e値のニューラルネットワーク法計算結果を示す。pirika.comでは再構築学習法のNN法[*4]を使っている。これは過学習を抑え予測性が高い[*6]方法である。しかし、重回帰法でこれだけ精度が低いのは、説明変数として、まだ何か足りない可能性を示している。(2005年の技術ではある意味これが限界であった。)

[4. Qe値を分子構造のみから推算する]

CNDO/2の計算を行うには分子の3次元構造が必要になる。2005年当時には自作の簡易のMM(分子力場)計算を行って3次元構造を得ていた。あまり精度の高い3次元構造は得られなかった。現在(2026)はSMILESの構造式[*7]からRDKit[*8]を使い3次元構造を作ることができる。この3次元構造からCNDO/2を計算し表1のテーブルを埋めることができる。すぐにSmilesの構造式からQe値を予測するWebアプリ[*3]を作ることが可能になる。

[5. 図表]

図1モノマーのQ値のばらつき

nameQHOMOLUMOcharge1charge2・・・・・・
エチレン0.015-10.6421.22823-0.153-0.153 
プロピレン0.002-10.1041.17756-0.17-0.136 
1−ブテン0.007-10.1821.17514-0.166-0.138 
イソブチレン0.023-9.80241.12324-0.175-0.114 
1-ヘキセン0.02-10.0331.16941-0.175-0.135 
アクリル酸1.27-11.138-0.1901-0.06-0.171 
アクリル酸メチル0.42-11.064-0.0475-0.068-0.173 
アクリル酸エチル0.41-11.009-0.0695-0.065-0.178 
   
スチレン1-11.2341.53174-0.051-0.091 
o-クロロスチレン1.28-9.1103-0.3314-0.1462-0.1017 
m-クロロスチレン1.03-9.2136-0.3197-0.1508-0.0954 
p-クロロスチレン1.03-9.0118-0.3757-0.1523-0.0942  
nameeHOMOLUMOcharge1charge2・・・・・・
エチレン-0.2-10.6421.22823-0.153-0.153 
プロピレン-0.78-10.1041.17756-0.17-0.136 
1−ブテン-0.06-10.1821.17514-0.166-0.138 
イソブチレン-1.2-9.80241.12324-0.175-0.114 
1-ヘキセン-0.28-10.0331.16941-0.175-0.135 
アクリル酸0.77-11.138-0.1901-0.06-0.171 
アクリル酸メチル0.6-11.064-0.0475-0.068-0.173 
アクリル酸エチル0.55-11.009-0.0695-0.065-0.178 
   
スチレン-0.8-11.2341.53174-0.051-0.091 
o-クロロスチレン-0.36-9.1103-0.3314-0.1462-0.1017 
m-クロロスチレン-0.36-9.2136-0.3197-0.1508-0.0954 
p-クロロスチレン-0.33-9.0118-0.3757-0.1523-0.0942  
表1 Q値、e値とCNDO/2の計算値のテーブル
図2 CNDO/2の計算結果を使った[a] log(Q値)の重回帰計算結果、[b] e値の重回帰計算結果
図3 CNDO/2の計算結果を使った[a] log(Q値)のニューラルネットワーク法計算結果、[b] e値のニューラルネットワーク法計算結果

[6. pirika.comのリンク]

*1: 液相拡散係数の予測
*2: 自作のCNDO/2
*3: Webアプリで簡単にQe値を計算
*4: 再構築学習法NNで学習
*5: 重回帰計算
*6: 過学習を抑え予測性が高い方法
*7: SMILESの構造式
*8: RDKit

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