インドメタシンの共結晶形成剤

2022.10.17改訂(2020.11.29 rev.)(2012.4.22)

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HSPiPのユーザーから非常に興味深い文献を送って頂いた。

インドメタシンと共結晶を作って融点を下げるような組み合わせをハンセンの溶解度パラメータ(HSP)を使って検討した文献だ。

International Journal of Pharmaceutics 407 (2011) 63–71
”Hansen solubility parameter as a tool to predict cocrystal formation”

自分は薬学は門外漢なので、EutecticとCocrystalの区別がついていない。
(もし親切な方がおられたら説明して頂けると幸いだ。とか言って第一薬科大学で教えているのだからタチがわるい)

自分が理解した範囲は、

  • インドメタシンのHSPと近いHSPを持つCoCrystal Formerを使った時にCoCrystalとなる。
  • DSCで調べるとEutectic melt onset temperature はCoCrystal FormerによってもとのCoCrystal Formerの融点よりも低下する。

と言いたいようだ。

そこで、HSPiPを使ってこの現象をもう少し詳しく見てみた。(内容に間違いがあったら訂正していただけるとありがたい。)

元のデータ(▶︎をクリックして開く)
CAS Smiles Name T1 T2 Cocrystal
53-86-1 CC1=C(C2=C(N1C(=O)C3=CC=C(C=C3)Cl)C=CC(=C2)OC)CC(=O)O indomethacin
553-26-4 c1cnccc1c2ccncc2 4,4-bipyridine 111.5 96.3 Yes
2835-68-9 O=C(c1ccc(N)cc1)N 4-aminobenzamide; 182.4 132.6 No
150-13-0 OC(C1=CC=C(N)C=C1)=O 4-aminobenzoic acid; 187.7 133.7 No
619-57-8 O=C(c1ccc(O)cc1)N 4-hydroxybenzamide;
99-96-7 OC1=CC=C(C(O)=O)C=C1 4-hydroxybenzoic acid; 214.9 141.4 No
65-85-0 OC(C1=CC=CC=C1)=O benzoic acid; 122.1 102.2 No
621-82-9 C1=CC=C(C=C1)C=CC(=O)O cinnamic acid; 133.3 110.9 Yes
77-92-9 OC(C(O)=O)(CC(O)=O)CC(O)=O citric acid; 155.2 149.8 No
100-88-9 O=S(=O)(O)NC1CCCCC1 cyclamic acid; 179.3 152.5 No
110-17-8 OC(\C=C\C(O)=O)=O fumaric acid; 280 157.8 No
110-94-1 OC(CCCC(O)=O)=O glutaric acid; 95.5 92.3 No
110-16-7 O=C(O)\C=C/C(O)=O maleic acid; 143 133.6 No
6915-15-7 O=C(O)CC(O)C(=O)O malic acid; 130.2 102.7 No
141-82-2 O=C(O)CC(O)=O malonic acid; 134.5 128.1 No
165450-17-9 O=C(O)CC@@HC(=O)NC@@HCc1ccccc1 neotame; 75 72.1 No
98-92-0 NC(C1=CC=CN=C1)=O nicotinamide; 128.4 98.8 Yes
144-62-7 O=C(O)C(O)=O oxalic acid; 189.5 139.3 No
81-07-2 O=C2C1=CC=CC=C1S(N2)(=O)=O saccharin; 228 147.7 Yes
110-15-6 OC(CCC(O)=O)=O succinic acid; 187.8 148.5 No
57-13-6 O=C(N)N urea; 134.3 123.1 No
121-34-6 O-c(ccc1C(=O)O)c(c1)OC vanillic acid; 209.3 144.6 No

テーブルはエクセルなどコピペしておく。

分からないのが最後のカラムのCoCrystalの部分で、4つの Crystal FormerがCoCrystalを作るとある。他のCrystal FormerがCoCrystalを作らないのなら、 Eutectic meltは何を意味しているのだろうか?

ここで、T1は Cocrystal former onset melting temperature(℃)と記載されている。

これは実験値の融点とプロットしてみるときれいな直線になるので、Crystal Former(共結晶形成剤) 単独の融点だろう。

融点を持たずに分解するとDBにあるいくつかの化合物が、DSC的には融点として記載されているので注意が必要だ。

T1: Cocrystal former onset melting temperature(℃)

まずはこの共結晶形成剤の融点(T1)をHSP的に見てみる。

融点は分子同士の相互作用のエネルギーを打ち消すほどのエネルギー(熱振動エネルギー)が与えられた時に分子が自由運動を始める温度と考えることができる。

それでは分子同士の相互作用のエネルギーはどう評価することができるだろうか?

分子同士のパッキングなども大きく寄与するため精度よく推算する方法は知られていないが、一つには凝集エネルギーで評価することができるだろう。

ポリマーの研究者であれば凝集エネルギー(Cohesive Energy)は馴染みが高い。
高分子鎖が融解するガラス転移温度(Tg)や溶融粘度を理解するために各原子団に凝集エネルギーが割り振られている。

著名なのはVan krevelenのものだろう。
この凝集エネルギーを体積で割った値、凝集エネルギー密度のルートを取ったものがSP値と定義される。

このSP値を分散項(dD)、分極項(dP)、水素結合項(dH)へ分割したものがハンセンの溶解度パラメータ(HSP)になる。

従って凝集エネルギーは次式で表すことが出来きる。

Cohesive Energy = (dD^2 +dP^2 +dH^2 )*Volume

共結晶形成剤の融点が高分子のガラス転移温度と同じ意味合いを持つのであれば、融点と凝集エネルギーは相関を持つはずだが、プロットしてみると下図のようにあまり相関は認められない。

それは何故だろうか?
おそらく高分子では鎖の自由度が低くdD,dP,dHの相互作用の自由度が低く有効に使われないのに対し、低分子では配置の自由度が高くdD,dP,dHのエネルギーが有効に使われているためと考えることができる。

そこで重回帰式を使って融点の推算式を検討してみる。
HSPiPにはQSAR機能が搭載されているので使ってみよう。
まずは、先ほど作成したテーブルから、一列目:名前など、2列目:SMILESの構造式、3列目:評価したい物性値のテーブルを作成し、データをコピーする。

そして、HSPiPのQSARを選択し、「クリップボードからペーストする」ボタンをクリックする。するとデータがQSARのテーブルにペーストされる。次にDataボタンをクリックするとY-MBがSmilesの構造式を解析して様々な物性値を推算し、テーブルに結果を戻す。つまり、3列目の目的変数を推算するための識別子(Descriptors)が手に入る。

まず、T1について何も知らないと言う前提で、ソフトにお任せのQSAR式を作成してみよう。
Fit to N Parameterに1を指定して、QSAR式を作成してみる。
ソフトの選んだDescriptorはMPt(Melting Point:融点)になる。Y-MBの融点の推算精度があまり高くないので、たいした決定係数(R^2 )は得られない。
それにしては、T1の事を何も知らないソフトは、変数の数を2,3,4と増やして行っても必ずMPt(Melting Point:融点)を選ぶ。そして変数が増えるにつれ、決定係数も高くなる。融点以外のどんな物性値が推算精度をより高くするかを理解するのはとても大事だ。

次に、マニュアルでQSAR式を構築してみよう。dD, dP, dHを選択(1を入れる)してQSARボタンを押すだけで最適な式を考えてくれる。

上図に示すように融点の推算式を

melting point = -731 + 41.8*dD-3.87*dP+8.17*dH

とすると、T1とHSPの間に相関が見えてくる。

融点を決める一番大事な項は係数の一番大きいファンデルワールス力に基づく分散項(dD)であることが示される。

ファンデルワールス力は原子同士が近い時に働く近接力で距離が離れると急に低下していく力だ。
そこで低分子の結晶中では大きな力として働くが、高分子になると値が小さくなってしまうと考えられる。

芳香族系の耐熱性ポリマー等の場合、パッキング性が良くなると、このdDの影響が非常に大きくなるので耐熱樹脂になるのだろう。

分極項(dP)はダイポールモーメントなどに基づく力で、近-中距離で働く力だ。
dDやdHと異なり温度の影響を余り受けないという特徴を持つ。
このdPの係数がマイナスで有ることは非常に興味深い。

自由混合の場合、ダイポールモーメントは正負逆に相互作用して強い結合を作るが、結晶中では自由な配置を取れず、逆に反発力として働き、融点を下げているのかもしれない。

水素結合項(dH)には水素結合に加え、dD, dPに分類されないエネルギーもこの項の中に押し込まれている。
温度により低下するエネルギーでもある。

このHSPに他にどんな項目を入れたら決定係数がさらに高くなるか? を考えることは非常に楽しいことだ。興味があったらやってみて欲しい。

Eutectic melt onset temperature

次に、共結晶形成剤とインドメタシンのT2を見ていこう。
T2は Eutectic melt onset temperatureとなっている。
Eutecticは共結晶という意味なので、インドメタシンと共結晶を作ると、融点が共結晶形成剤の融点から低下する事を意味しているのだろうか。

論文ではこのHSPベクトルが近いものは、”似たものは似たものを溶かす”の原理で共結晶を作りやすいのでは無いか?としている。

HSPではベクトルの類似度をHSP距離と呼ぶ。

HSP距離

HSP distance(Ra)={4*(dD1-dD2)^2 + (dP1-dP2)^2 +(dH1-dH2)^2 }^0.5

(dDの前には4と言う係数が入ることに注意しよう。)

このHSP距離を計算するためには、インドメタシンのHSPが必要になる。
HSPiPのメイン画面で、まずデータベースを表示させ、indomethacinを検索する。もしデータベースに見つからない場合には、その化合物のSMILESの構造式を探し、DIY機能のYMBを使って値を推算する。

このHSP距離をEutectic melt onset temperatureに対してプロットすると以下のような図になる。
CoCrystalを作る(YESとなる)ものを赤四角で示している。HSP距離は10近辺以下である事が分かる。

HSP距離が短いもの=HSPベクトルが似ているものは共結晶を作りやすいというのは、この結果からも分かるだろう。

しかし、HSP距離が短くてもCoCrystalを作らない(NOとなる)例外もある。

横軸をEutectic melt onset temperatureからdT(=T1-T2)に変更してみる。

この図は、HSP距離が短いと融点低下効果がどのくらいあるかを示していることになる。あまり明確な相関はない。

dTを予測するQSAR(定量的構造活性相関)式を構築してみる。
まずは、ΔTのlogを取ったものを予測することにする。
Descriptor(識別子)を自動選択させると以下のような結果になった。

前のT1と異なり、δDやδHDonが選択される。

マニュアルでdD, dP, dH だけでQSAR式を作成すると係数は

0.431*dD-0.0435*dP+0.0615*dH

となった。

つまり、T1の時と同様に、dD(分散項)、dH(水素結合項)の値はdTを大きくするのに働く。
dP(分極項)は逆にdTを小さくするのに働いている。

つまり、dTを大きくしたいのならdD、dHが大きく、dPが小さな化合物を選択すれば良い事が分かる。

この結果から考えると次のようになるのだろうか。

  • HSP距離の似たものはCoCrystalを作りやすい。
  • しかしそれが結晶になるかどうかは、分子体積や卵形度などパッキングに基づく相互作用がありHSP距離だけでは決まらない。

インドメタシンとCrystal Formerの相互作用はファンデル・ワールスの力に基づくdDと水素結合のdHに基づく力が支配的で、Crystal Former自身の融点に相当する凝集エネルギーがインドメタシンに割り振られ融点が低下するということだろうか。

それでは、他にどんな共結晶形成剤があるのかを調べてみた。

トランスフォーム・ファーマシューチカルズ・Inc.が出している特許(JP 2008-503495)に非常に良くまとまっている。

HSPiPのデータベースは溶媒などが主体なので、固体の化合物はそれほど多くない。特許に出てきた構造のうち62個がDBにあった。

残りの27個の化合物については、DBにないので、ご興味があれば構造式は特許に書いてあるので自分でやってみれば良い。

特許データ(▶︎で開く)
Hcode CAS Name2 Smiles MP
54 65-85-0 benzoic acid OC(C1=CC=CC=C1)=O 122
603 1592-23-0 octadecanoic acid CCCCCCCCCCCCCCCCCC(O)=O 70
860 57-13-6 Urea O=C(N)N Dec
917 123-31-9 p-hydroquinone C1=CC(=CC=C1O)O 170
1052 110-85-0 piperazine C1CNCCN1 106
1152 124-04-9 adipic acid OC(CCCCC(O)=O)=O 152
1156 144-62-7 oxalic acid O=C(O)C(O)=O 189Dec
1163 50-81-7 ascorbic acid O=C1C(O)=C(O)[C@@H]([C@@H](O)CO)O1 190
1196 81-07-2 Saccharin O=C2C1=CC=CC=C1S(N2)(=O)=O 228
1200 58-08-2 Caffeine O=C(N(C)C2=C1N(C)C=N2)N(C)C1=O 238
1204 147-93-3 salicylic acid OC1=CC=CC=C1C(O)=O 159
1205 504-24-5 4-Aminopyridine NC1=CC=NC=C1 158
1225 111-20-6 sebacic acid OC(CCCCCCCCC(O)=O)=O 134.5
1232 60-18-4 l-Tyrosine N[C@@H](CC1=CC=C(O)C=C1)C(O)=O 342
1243 73-24-5 Adenine NC1=NC=NC2=C1N=CN2 220Subl.
5157 110-15-6 succinic acid OC(CCC(O)=O)=O 185
6094 147-71-7 tartaric acid OC([C@H](O)[C@@H](O)C(O)=O)=O 205
7024 79-14-1 Glycolic Acid O=C(O)CO 80
7031 110-17-8 fumaric acid OC(\C=C\C(O)=O)=O 287
7032 110-16-7 maleic acid O=C(O)\C=C/C(O)=O 138
7101 617-65-2 l-glutamic acid O=C(O)[C@@H](N)CCC(O)=O 160
7105 56-87-1 lysine N[C@H](C(O)=O)CCCCN 225Dec
7116 110-94-1 glutaric acid OC(CCCC(O)=O)=O 98
7123 77-92-9 citric acid OC(C(O)=O)(CC(O)=O)CC(O)=O 153
7299 334-48-5 decanoic acid CCCCCCCCCC(O)=O 31.4
7315 143-07-7 dodecanoic acid CCCCCCCCCCCC(O)=O 44
7331 57-10-3 palmitic acid CCCCCCCCCCCCCCCC(O)=O 63
8112 73-22-3 L-TRYPTOPHAN O=C(O)[C@@H](N)CC1=CNC2=C1C=CC=C2 289Dec
8190 56-40-6 Glycine O=C(O)CN 182
8201 141-82-2 Malonic acid O=C(O)CC(O)=O 135
8213 52-90-4 L-CYSTEINE SC[C@H](N)C(O)=O
8246 70-47-3 L-ASPARAGINE NC(C[C@H](N)C(O)=O)=O 234
8290 72-18-4 Valine N[C@H](C(O)=O)C(C)C 315
8396 61-90-5 Leucine N[C@@H](CC(C)C)C(O)=O 145Subl.
8418 59-67-6 Niacin O=C(O)C1=CN=CC=C1 236
8421 98-92-0 Niacinamide NC(C1=CC=CN=C1)=O 128
8657 495-69-2 HIPPURIC ACID C1=CC=C(C=C1)C(=O)NCC(O)=O 187
8965 150-13-0 p-aminobenzoic acid OC(C1=CC=C(N)C=C1)=O 187
8967 288-32-4 imidazole C1=CN=CN1 90
8984 140-10-3 trans-cinnamic acid O=C(O)\C=C\C1=CC=CC=C1 133
9053 150-30-1 DL-Phenylalanine NC(CC1=CC=CC=C1)C(O)=O 283Dec
10151 490-79-9 2 5-DIHYDROXYBENZOIC ACID OC(C1=CC(O)=CC=C1O)=O 199
10163 98-11-3 BENZENSULFONIC ACID OS(C1=CC=CC=C1)(=O)=O 43
10415 6915-15-7 malic acid O=C(O)CC(O)C(=O)O 131
11417 611-71-2 mandelic acid OC(C(O)=O)C1=CC=CC=C1 119
16524 104-15-4 p-TOLUENESULFONIC ACID S(=O)(=O)(O)-c(ccc1C)cc1  106
16721 87-99-0 Xylitol C(O)(C(CO)O)C(O)CO 93
17155 50-69-1 dextro-ribose C([C@@H]1[C@H]([C@H](C(O1)O)O)O)O 87
17158 56-84-8 laevo-aspartic acid C([C@@H](C(=O)O)N)C(=O)O 270
17159 56-85-9 laevo-glutamine O=C(N)CCC(N)C(=O)O 185
17161 59-51-8 dextro laevo-methionine CSCCC(C(=O)O)N 280Dec
17167 71-00-1 laevo-histidine C1=C(NC=N1)C[C@@H](C(=O)O)N 287Dec
17168 74-79-3 laevo-arginine C(C[C@@H](C(=O)O)N)CN=C(N)N 244Dec
17259 107-95-9 beta-alanine C(CN)C(=O)O 289
21229 56-45-1 Serine O=C(O)C(N)CO 228Dec
21249 1118-68-9 N N-Dimethylglycine O=C(O)CN(C)C 178
21254 72-19-5 Threonine O=C(O)C(N)C(O)C 255Dec
21296 73-32-5 Isoleucine O=C(O)C(N)C(C)CC 168Subl.
21930 59-46-1 Procaine O=C(OCCN(CC)CC)c1ccc(N)cc1 61
22142 117-39-5 Quercetin O=C1c3c(O/C(=C1/O)c2ccc(O)c(O)c2)cc(O)cc3O 314Dec
22195 480-40-0 Chrysin O=C\1c3c(O/C(=C/1)c2ccccc2)cc(O)cc3O 285
22200 501-36-0 Resveratrol (trans) Oc2cc(\C=C\c1ccc(O)cc1)cc(O)c2 253
86-48-6 1-Hydroxy-2-naphthoic Acid C1=CC=C2C(=C1)C=CC(=C2O)C(=O)O 191
98-66-8 4-Chlorobenzenesulfonic Acid C1=CC(=CC=C1S(=O)(=O)O)Cl 67
150-69-6 (4-Ethoxyphenyl)urea CCOC1=CC=C(C=C1)NC(=O)N 173
566-19-8 7-Keto-dehydroepiandrosterone C[C@]12CC[C@H]3[C@H]([C@@H]1CCC2=O)C(=O)C=C4[C@@]3(CC[C@@H](C4)O)C 190
33665-90-6 Acesulfame CC1=CC(=O)NS(=O)(=O)O1 123
546-88-3 Acetohydroxamic Acid CC(=O)NO 89
315-30-0 Allopurinaol C1=NNC2=C1C(=O)NC=N2 >350
124-83-4 (+)-Camphoric Acid C[C@]1(CC[C@@H](C1(C)C)C(=O)O)C(=O)O 186
442-52-4 CLEMIZOLE C1CCN(C1)CC2=NC3=CC=CC=C3N2CC4=CC=C(C=C4)Cl 167
100-88-9 Cyclamic acid C1CCC(CC1)NS(=O)(=O)O 169
526-99-8 Galactaric Acid [C@@H]([C@@H]([C@H](C(=O)O)O)O)([C@@H](C(=O)O)O)O 255Dec
446-72-0 Genistein C1=CC(=CC=C1C2=COC3=CC(=CC(=C3C2=O)O)O)O 297
6284-40-8 N-Methyl-D(-)-glucamine CNC[C@@H]([C@H]([C@@H]([C@@H](CO)O)O)O)O 128
526-95-4 D-Gluconic acid C([C@H]([C@H]([C@@H]([C@H](C(=O)O)O)O)O)O)O 131
3416-24-8 D-Glucosamine C([C@@H]1[C@H]([C@@H]([C@H](C(O1)O)N)O)O)O 88
6556-12-3 D-Glucoronic acid C(=O)[C@@H]([C@H]([C@@H]([C@@H](C(=O)O)O)O)O)O 165
35212-22-7 Ipriflavone CC(C)OC1=CC2=C(C=C1)C(=O)C(=CO2)C3=CC=CC=C3 115
96-82-2 Lactobionic Acid C([C@@H]1[C@@H]([C@@H]([C@H]([C@@H](O1)O[C@H]([C@@H](CO)O)[C@@H]([C@H](C(=O)O)O)O)O)O)O)O 128
65-86-1 Orotic acid C1=C(NC(=O)NC1=O)C(=O)O 345
130-85-8 Pamoic Acid C1=CC=C2C(=C1)C=C(C(=C2CC3=C(C(=CC4=CC=CC=C43)C(=O)O)O)O)C(=O)O 280Dec
609-36-9 DL-Proline C1CC(NC1)C(=O)O 220Dec
85-87-0 Pyridoxamine CC1=NC=C(C(=C1O)CN)CO 193
65-23-6 Pyridoxine CC1=NC=C(C(=C1O)CO)CO 160
149-87-1 DL-Pyroglutamic Acid C1CC(=O)NC1C(=O)O 162
65-49-6 4-Aminosalicylic Acid C1=CC(=C(C=C1N)O)C(=O)O 150
77-86-1 Tris (Hydroxymethyl) Aminomethane C(C(CO)(CO)N)O 171
83-70-5 Vitamin K5 CC1=C(C2=CC=CC=C2C(=C1)N)O 280Dec

それでは、これらのうち、インドメタシンと共結晶を作るものはどれだろう? 
HSP距離が12以下が条件なので、以下のものが候補となる。
(必要条件ではあるが十分条件ではない。)

dTを大きくする共結晶形成剤は以下のものが良いだろう。

HCode CAS name Name SMILES MP
8984 140-10-3 桂皮酸 trans-cinnamic acid O=C(O)C=CC1=CC=CC=C1 133
8112 73-22-3 トリプトファン L-TRYPTOPHAN O=C(O)C@@HCC1=CNC2=C1C=CC=C2 289Dec
21930 59-46-1 プロカイン Procaine O=C(OCCN(CC)CC)c1ccc(N)cc1 61
9053 150-30-1 フェニルアラニン DL-Phenylalanine NC(CC1=CC=CC=C1)C(O)=O 283Dec
1200 _58-08-2 カフェイン Caffeine O=C(N(C)C2=C1N(C)C=N2)N(C)C1=O 238
22195 480-40-0 クリシン Chrysin C1=CC=C(C=C1)C2=CC(=O)C3=C(C=C(C=C3O2)O)O 285
1052 110-85-0 ピペラジン piperazine C1CNCCN1 106
17161 59-51-8 メチオニン dextro,laevo-methionine CSCCC(C(=O)O)N 280Dec
1205 504-24-5 4-アミノピリジン 4-Aminopyridine NC1=CC=NC=C1 158
54 65-85-0 安息香酸 benzoic acid OC(C1=CC=CC=C1)=O 122
22200 501-36-0 レスペラトロル Resveratrol (trans) Oc2cc(C=Cc1ccc(O)cc1)cc(O)c2 253
11417 90-64-2 マンデル酸 mandelic acid OC(C(O)=O)C1=CC=CC=C1 119
7299 334-48-5 カプリン酸 decanoic acid CCCCCCCCCC(O)=O 31.4
7315 143-07-7 ラウリン酸 dodecanoic acid CCCCCCCCCCCC(O)=O 44
1225 111-20-6 セバシン酸 sebacic acid OC(CCCCCCCCC(O)=O)=O 134.5
21296 73-32-5 イソロイシン Isoleucine O=C(O)C(N)C(C)CC 168昇華
7331 _57-10-3 パルミチン酸 hexadecanoic acid palmitic acid CCCCCCCCCCCCCCCC(O)=O 63
8396 61-90-5 ロイシン Leucine NC@@HC(O)=O 145昇華
7105 56-87-1 リシン lysine NC@HCCCCN 225Dec
603 _57-11-4 ステアリン酸 octadecanoic acid CCCCCCCCCCCCCCCCCC(O)=O 70
8290 72-18-4 バリン Valine NC@HC(C)C 315
8418 59-67-6 ニコチン酸 Niacin O=C(O)C1=CN=CC=C1 236
17168 74-79-3 アルギニン laevo-arginine C(CC@@HN)CN=C(N)N 244Dec
1204 69-72-7 サリチル酸 salicylic acid OC1=CC=CC=C1C(O)=O 159
1232 60-18-4 チロシン l-Tyrosine NC@@HC(O)=O 342
8967 288-32-4 イミダゾール imidazole C1=CN=CN1 90
8657 495-69-2 馬尿酸 HIPPURIC ACID C1=CC=C(C=C1)C(=O)NCC(O)=O 187
21249 1118-68-9 ジメチルグリシン N,N-Dimethylglycine O=C(O)CN(C)C 178
8213 52-90-4 システィン L-CYSTEINE SCC@HC(O)=O
8421 98-92-0 ニコチンアミド Niacinamide NC(C1=CC=CN=C1)=O 128
17167 71-00-1 ヒスチジン laevo-histidine C1=C(NC=N1)CC@@HN 287Dec
HCode CAS name Name SMILES MP
22142 117-39-5 ケルセチン Quercetin O=C1c3c(O/C(=C1/O)c2ccc(O)c(O)c2)cc(O)cc3O 314Dec
1163 50-81-7 アスコルビン酸 ascorbic acid O=C1C(O)=C(O)C@@HO1 190
22195 480-40-0 クリシン Chrysin C1=CC=C(C=C1)C2=CC(=O)C3=C(C=C(C=C3O2)O)O 285
22200 501-36-0 レスペラトロル Resveratrol (trans) Oc2cc(C=Cc1ccc(O)cc1)cc(O)c2 253
1243 73-24-5 アデニン Adenine NC1=NC=NC2=C1N=CN2 220subl.
10151 490-79-9 ゲンチシン酸 2,5-DIHYDROXYBENZOIC ACID OC(C1=CC(O)=CC=C1O)=O 199
1196 _81-07-2 サッカリン Saccharin O=C2C1=CC=CC=C1S(N2)(=O)=O 228
17155 50-69-1 D-リボース dextro-ribose C([C@@H]1C@HO)O 87
16721 87-99-0 キシリトール Xylitol C(O)(C(CO)O)C(O)CO 93
8965 150-13-0 4-アミノ安息香酸 p-aminobenzoic acid OC(C1=CC=C(N)C=C1)=O 187
917 123-31-9 ヒドロキノン p-hydroquinone C1=CC(=CC=C1O)O 170
8112 73-22-3 トリプトファン L-TRYPTOPHAN O=C(O)C@@HCC1=CNC2=C1C=CC=C2 289Dec
1232 60-18-4 チロシン l-Tyrosine NC@@HC(O)=O 342
8657 495-69-2 馬尿酸 HIPPURIC ACID C1=CC=C(C=C1)C(=O)NCC(O)=O 187

T2が小さくするものを選びたいのなら以下のものが良いだろう。

Hcode CAS name Name SMILES MP dTcalc MP−dT
10163 _98-11-3 ベンゼンスルホン酸 BENZENSULFONIC ACID OS(C1=CC=CC=C1)(=O)=O 43 48.8306791 -5.830679096
17155 50-69-1 D-リボース dextro-ribose C([C@@H]1C@HO)O 87 63.81007314 23.18992686
16721 87-99-0 キシリトール Xylitol C(O)(C(CO)O)C(O)CO 93 62.87309391 30.12690609
16524 104-15-4 P-トルエンスルホン酸 p-TOLUENESULFONIC ACID S(=O)(=O)(O)c(ccc1C)cc1 106 50.66866087 55.33133913
7299 334-48-5 カプリン酸 decanoic acid CCCCCCCCCC(O)=O 31.4 -44.71334777 76.11334777
21930 59-46-1 プロカイン Procaine O=C(OCCN(CC)CC)c1ccc(N)cc1 61 -17.26381336 78.26381336
7024 79-14-1 グリコール酸 Glycolic Acid (Hydroxyacetic Acid) O=C(O)CO 80 -0.268703423 80.26870342
8967 288-32-4 イミダゾール imidazole C1=CN=CN1 90 6.282054972 83.71794503
1163 50-81-7 アスコルビン酸 ascorbic acid O=C1C(O)=C(O)C@@HO1 190 102.5249088 87.47509122
7315 143-07-7 ラウリン酸 dodecanoic acid CCCCCCCCCCCC(O)=O 44 -44.49669017 88.49669017
7116 110-94-1 グルタル酸 glutaric acid OC(CCCC(O)=O)=O 98 1.156042362 96.84395764
8421 98-92-0 ニコチンアミド Niacinamide NC(C1=CC=CN=C1)=O 128 29.45560689 98.54439311
7032 110-16-7 マレイン酸 maleic acid O=C(O)C=C/C(O)=O 138 39.27852969 98.72147031

実際に試すのであれば上の方の化合物ほど可能性が高くなる。

化合物全てを確かめるのは手間ひまかかることなので、HSPが優先順位をつけてくれるだけで非常に有意義であると言えるのではないだろうか。

インドメタシンはバンテリン・コーワなど肩こりの薬などに使われている。

HcodeNamedDdPdHScoreREDMvol
7107ジイソプロパノールアミン1619.221.21131.8
585プロピレングリコール16.810.421.3173.7
58ベンジルアルコール18.46.313.71103.8
18210アジピン酸ジイソプロピル164.261237.7
570イソプロパノール15.86.116.4176.9
20359インドメタシン20.59.411283.1
1132l-メントール164.79177.5
皮膚17.123.0313.89

有効成分はインドメタシンとl-メントールだ。
これと皮膚、溶媒のHSP位置の関係を見たいならSphere View Makerにデータを入れれば次のように3次元で見る事ができる。

Drag=回転, Drag+Shift キー=拡大、縮小, Drag+コマンドキーかAltキー=移動。

溶媒をクリックすれば溶媒の名前が現れる。

赤い小さな球は溶媒、皮膚は黄色の大きな球、緑色がインドメタシン、水色がl-メントールになる。

l-メントール、皮膚、アジピン酸ジイソプロピルは良く重なっている事が分かる。
l-メントールが皮膚のHSPに近いのが面白い。

l-メントールを皮膚に塗るとす~とする清涼感があり、薬理作用としては血管を広げるとかあるらしい。

それもこれも皮膚の表皮を透過しての話だろう。そのあたりはこのHPに詳しく書かれている
これらの化合物の皮膚透過性を知りたいものだ。

2012.8.18
フランスのAutomaxionという会社からメールが来た。

共結晶形成剤のキットを販売しているそうだ。

「現在Kit1-4,Xを販売しているが、HSPを使ってHSP距離が短い共結晶形成剤の組みを自動的に提案できないか?というのが相談の趣旨だ。」

そんな事はHSPiPユーザーなら誰でもできる、と返答したが、ついでなので詳しいやり方を説明しておこう。

もし、HTML5対応のブラウザーを使っているなら、CCF Designerのプログラムが走るだろう。そしたら、インドメタシンの場合、

[20.4, 6.7, 4.7, 5.7]

を入力してサーチボタンを押す。プログラムには148種類のAutomaxionが提案するCo-Crystal Former(CCF)が内蔵されている。

ターゲットのHSPとCCFの距離を計算した結果を吐き出すので、コピーして表計算ソフトにペーストし、distanceでソートを掛けるだけだ。

距離の短いものが共結晶を作る候補になる。CCFの名称の後ろにある()の数字はCCFの融点を示している。

CCF1distance
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)2.733391157
O-PHENYLBENZOIC ACID(114.3)2.751498068
4-Biphenylylacetic acid(160.5)3.649500577
Acetyl Salicylic Acid(135)3.99386958
P-NITROBENZOIC ACID(242)4.087376811
benzoic acid(122.4)4.310990679
2-naphthol(123)4.314851992
1-Naphthol(95)4.336105098

従ってインドメタシンの場合はAutomaxionに上のような化合物を発注すればいいだろう。

CCF1Volume1CCF2Volume2distance
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)716-Nitro-1H-indazole(182)290.747
4,4′-bipyridine(111)624,4′-DIHYDROXYBIPHENYL(283)380.824
4,4′-bipyridine(111)471-Naphthol(95)530.842
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)86Saccharin(228 dec)141.000
4,4′-bipyridine(111)672,7-Naphthalenediol(193)331.064
isophthalic acid(347)414,4′-bipyridine(111)591.174
4,4′-bipyridine(111)71resorcinol(111)291.345
1-Hydroxy-2-naphthoic acid(195)404,4′-bipyridine(111)601.350
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)78p-benzoquinone(115.7)221.407
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)78Phthalimide(238)221.539
4-HYDROXYBENZOIC ACID(214.5)334,4′-bipyridine(111)671.554
4,4′-bipyridine(111)73p-hydroquinone(172.3)271.555
P-PHENYLBENZOIC ACID(228)84succinic anhydride(119)161.583

2成分の混合系についても出力される。これは全くの憶測であるが、我々はポリマーの溶媒を探索する時に混合溶媒のHSPがポリマーのHSPに一致する時には、個々の溶媒が貧溶媒でもポリマーを溶解する事がある事を知っている。

そこでCCFを2種類混合した時に混合HSPが一番ターゲットのHSPに近くなる体積比率を計算し結果を表示する機能を付け加えた。
だまされたと思って試して欲しい。

この混合系の探索には48種類の代表的なCCFだけを使っている。フルバージョンは要請が多ければ提供されるかもしれない。

このように、HSPやYMBの結果を応用して、すぐに応用プログラムを作成することが可能だ。
コンサルティングが必要でしたら問い合わせて欲しい。

インドメタシンとインドのどうでもいい関係
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